交通施設に関する事例

220 出島表門橋

(日本)

出島表門橋は、物理的に現在の長崎市と復元されつつある出島を結ぶというだけではない。それは現代の長崎と鎖国時代の長崎とを時間を越えて結ぶ役割をも担っている。それは、忘れられていた出島という都市の記憶を現在へと繋ぐタイムマシーンのようなものだ。そして、その役割を見事に象徴させているのが、この橋のデザインであると考えられる。

219 カペル橋

(スイス連邦)

スイス中央部に位置するルツェルンのカペル橋はヨーロッパで最古の屋根付きの木橋であり、また現存するトラス橋としても世界最古のものである。この橋がルツェルンの宝であるというのは間違いないが、私はルツェルンが有するさらに輝くような宝は、ルツェルンの市民が、それを宝であると強く意識し、それを共有していることだと考える。これこそがルツェルン市を特別なものとし、そこに住む人達にシビック・プライドという帰属意識を持たせる要因になっているのではないだろうか。

218 松應寺横丁にぎわいプロジェクト

(日本)

松應寺横丁には、戦後の闇市発祥の商店街と木造のアーケード、狭隘な路地が残っており、それらが昭和30年代のレトロな雰囲気を醸しだし、訪れる人々に強烈な郷愁を誘う。しかし、同プロジェクトが開始される前は、ここはもはや崩れかける寸前のような状態であった。それを、地元のNPOが住民と丁寧なコミュニケーションを重ねることで、その問題をテキスト化し、人々に共通した問題意識を持たせることに成功した。

215 眼鏡橋の保全運動

(日本)

長崎市の中島川に架けられた、日本最古といわれるアーチ式の石橋。長崎市のランドマークとして強烈な存在感を放っている。1982年の長崎大水害で一部損壊し、復興事業によって撤去される計画が進められたが、地域文化の保全をめざす市民らの奮闘を受け、撤去計画が見直された経緯を持つ。

212 トラファルガー広場の歩行者空間化事業

(イングランド)

トラファルガー広場は、ロンドンを代表するランドマークの一つ。自動車交通量が多く、騒音と大気汚染がひどい状態であったのを改造し、歩行者によるアクセシビリティがよく、快適で多くの人々に常時、楽しんでもらえる空間へと変貌させることに成功した。

204 16番ストリート・モール

(アメリカ合衆国)

16番ストリート・モールは、デンバーの都心部にある2キロメートルほどの長さのトランジット・モールである。その設計コンセプトは屋外広場であり、多くの人々が集い、交歓する場として機能している。多くのイベントが開催され、チェスをしたりする設備なども備えられている。「フリー・モールライド(Free
Mall Ride)」という無料バスはこの16番街モールを楽しむための快適なアクセスを提供しており、それによってデンバーという都市の魅力が一層開花していると考えられている。

199 ユニオン・ステーションの再生事業

(アメリカ合衆国)

ユニオン駅の改修事業をするうえでのコンセプトは、「デンバーの居間」として、より多様な機能を担うということが挙げられた。その考えによってホテル、レストランや小売店、そして鉄道待ちの人以外でも使われるような公共空間という機能がここに導入されたのである。

198 フィルバート通りの階段

(アメリカ合衆国)

グレース・マーチャントという一人の人間の無償の奉仕によって、ごみ捨て場という人々が嫌忌するような場所が、人々が思慕するような庭園へと変貌することになった。そして、その意思を住民達が継承し、その存続が脅かされた時には、それを守り抜くことに成功した。
素晴らしい公共的な空間は、住民の意思によって維持され、継承されるという優れた事例であると考えられる。

187 セーヌ河岸のパリ・プラージュ

(フランス共和国)

パリのセーヌ河岸、ルーブル美術館側は多くの自動車が行き来する自動車専用道路であったが、2016年、自動車が閉め出され、歩行者専用空間として6ヶ月間試行的に使われるようになった。アンヌ・イダルゴ市長はその後、永久に自動車をこの道路から追放すると発表。

184 ザンド広場の再生

(ベルギー)

歴史的地区が世界遺産に指定されているブルージュにおいて、新たに都市を改造する機会はほとんどない。そのような状況下では、歴史的地区の縁に存在するヘト・ザンド広場のリ・デザインは、ブルージュにとって多くの課題を解消させる千載一遇の機会であった。

181 門司港駅の改修と広場の再生

(日本)

門司港駅の復元事業は素晴らしいものであるが、それと同時に、建物だけではなく、その駅前広場を再生させることで、その都市空間的機能をも再編成させてしまった。この二つを同時に行えたことで、この駅の建物としての魅力はもちろんのこと、その駅の公共性も大きく向上させることに成功した、見事な「都市の鍼治療」事例であると考えられる。

178 ブルックリン橋

(アメリカ合衆国)

自動車専用部分以外に、歩行者と自転車専用の部分を設けただけでなく、自動車より一段と高いレベルにしたことで、ここを徒歩、自転車で横断するものは自動車に煩わされることがない。この歩行者のプロムナードを設置したことで、ブルックリン橋は幾多とある大都市の橋梁と一線を画すことに成功した。

175 デュッケ・ダヴィラ・アヴェニーダの歩道拡幅事業

(ポルトガル)

1980年頃からのヨーロッパの都市における大きな政策的トレンドは、公共空間の人間回帰である。具体的にはヒューマン・スケールを重視し、都心部における自動車の交通を制限し、歩行者を主体とした空間の再創造を図るというものだ。このデュッケ・ダヴィラ・アヴェニーダの試みもそのようなトレンドの延長線上にある。ただリスボンでも都心部ではなく、どちらかというと自動車利用が高い近郊部において、このような歩行者主体の公共空間をつくろうと試みたことが注目に値する。

173 マンチェスター・カーブ(ピカデリー・カーブ)

(イングランド)

この橋がつくられたことで、新しくつくられたピカデリー・プレイスはもちろんのこと、マンチェスターの中心でもあるピカデリー・ガーデンスと中央駅との歩行者のアクセスも格段に改善された。

171 ナウムブルクのトラム

(ドイツ連邦共和国)

ナウムブルクは旧東ドイツ、ザクセン・アンハルト州にある人口約33,000人の古都。その歴史的な空間の中を縫うようにトラムが走っている。1メートルという狭軌(標準軌は1435mm)を、1950年代から1970年代の旧東ドイツ時代につくられた車輌がのんびりと走る光景は、まるで50年前にタイムスリップをしたような錯覚を覚えさせる。

170 ヴィア・スパラーノ(Via Sparano)の改修事業

(イタリア共和国)

バーリは治安が決してよいとは言えない。治安がよくないと人々は公共空間に不安を覚え、あまり近寄らなくなる。公共空間の魅力をつくりだすのは、そこに多くの人が滞在していることが必要条件である。そのため、デカロ市長は、この「バーリの居間」と呼ばれる中心街路に人が安心して、そして快適に過ごせるための仕掛けをつくりあげた。

169 ジュビリー・ウォーク

(シンガポール共和国)

ジュビリー・ウォークは、シンガポールの建国50周年を祝して整備された延長8キロメートルの歩道である。この歩道は、フォート・カニングの丘、シンガポール川、行政地区、マリーナ・ベイといったシンガポールの過去、現在、将来の物語を象徴するような23のランドマークを結んでおり、ここを歩くことでシンガポールという都市国家を形成した人々やコミュニティの営みが理解でき、その都市形成の歴史を学習できるように意図されている。

167 パリ地下鉄のアールヌーヴォー・デザイン

(フランス共和国)

パリの地下鉄駅は、地下鉄という公共施設であるため、多くの人が利用する。そのような施設において、アール・ヌーヴォー時代のパリを思い起こさせるこの地下鉄駅の意匠は、都市の貴重な記憶を継承させる装置としても重要な役割を担っていると考えられる。特に、取壊を免れたポルト・ドフィーヌ駅とアベス駅はオリジナルな姿を今日に伝え、建築文化遺産としても重要な存在である。

166 クリチバのバス・システム

(ブラジル連邦共和国)

クリチバのバス・システムは、コロンビアのボゴタ、インドネシアのジャカルタ、韓国のソウルなどで模倣され、クリチバ・モデルとでも呼ぶべき効率的なシステムを実現している。

165 ハガ地区の街並み保全

(スウェーデン王国)

数少ないイエテボリ特有の建築物である郡庁舎様式の建物をしっかりと集積した形で保全することに成功したハガ地区は、イエテボリのアイデンティティを具現化できる貴重な地区となり、その結果、多くの小売店舗が集積しており、歩行者中心の人が溢れる魅力的な都市空間となっている。

161 ジュビリー橋

(シンガポール共和国)

シンガポールのシンボルであるマーライオンがあるシンガポール川の河口は、エスプラネード橋でマーライオン公園と対岸のエスプラネード劇場とが結ばれていた。そこに、新たにこの橋と平行するように2015年につくられたのが歩行者専用橋であるジュビリー橋である。

154 ストックホルムの地下鉄ホームのアート事業

(スウェーデン王国)

ストックホルムの冬の夜は長い。そのような中、地下鉄といったそうでなくても日が差さない陰鬱な空間において芸術作品を展示をすることで、そこを創造的・刺激的な空間へと変容させることにした逆転の発想は、まさに「都市の鍼治療」的な事例であると考えられる。

143 グラフトン通り地区公共空間計画

(アイルランド)

ダブリン一賑やかな通りである。ブティック、バー、レストランなどの商店がひしめき合う。バスカーズとよばれる大道芸人もここに多く集まり、行く人を楽しませてくれる。さらに、歴史的建築を多く保全しており、まさにダブリンを代表する都市空間となっている。

141 グランヴィル・トランジット・モール

(カナダ)

賑わいを確保するために、銀行などの金融機関は店舗の間口を25フィート以下(約8メートル)にするよう規制されている。これは、これらの金融機関は小売業の店舗に比べて人の出入りが少なく、道の賑わいをなくすという考えからである。一方で、オープン・カフェは多く立地するよう、それを促進するようなガイドラインもつくられている。

140 ロブソン・スクエア

(カナダ)

ロブソン・スクエアはヴァンクーバーの中核に位置し、約3ブロックにわたって広がる裁判所兼パブリック・スペースである。建築家アーサー・エリクソンが打ち出したアイデアは、予定されていた高層建築物を倒して横にしてしまい、人々がその建物の上を歩けるようにする、というものであった。

137 チェスターの城壁

(イングランド)

チェスターの壁は、イギリスの西部にあるチェスター市の旧市街地を囲むようにつくられた3キロメートルに及ぶ城壁である。現在では、その上を歩くことができ、ちょっとした空中散歩を楽しむことができる。この壁の歴史は古く、そもそもは西暦70年、80年にローマ人によって築かれた。

136 プロムナード・プランテ

(フランス共和国)

パリの12区にある4.9キロメートルに及ぶ世界で最初に高架橋につくられた直線上の回廊公園である。一度、このプロムナード・プランテに上ると自動車をまったく意識せずに、パリの空中散歩を楽しむことができる。

131 スティーフン・アヴェニュー

(カナダ)

都心から自動車を排除して、歩行者専用の空間にするのは「都市の鍼治療」としては、極めて汎用的であり、外さない方法論である。しかし、北米の都市ではうまく行かない場合が少なくない。そのような課題を解決し、しかも歩行者専用空間を都市に維持させるうえで、カルガリー市がスティーフン・アヴェニューにて実践した対策は極めて効果的であった。

124 リスボンのトラム

(ポルトガル)

車両の大改修を1990年代に行ったのだが、外観と車内の内装はレトロなままで維持した。渋みのある車体の黄色は、リスボンの歴史的街並みと見事にマッチしている。

122 サンタ・ジュスタのエレベーター

(ポルトガル)

リスボンのサンタジュスタのエレベーターは、おそらく世界で最も有名なエレベーターなのではないだろうか。リスボンの低地バイシャ地区と丘のシアード地区とを結ぶサンタジュスタのエレベーターは観光資源となっており、しかもランドマークとしても強烈な存在感を放つ建築物である。

121 姫路駅前トランジット・モール

(日本)

姫路駅の姫路城側(北口)に出ると、素晴らしいサンクン・ガーデンが目の前に広がる。それは人が憩えるようなランドスケープ・デザインがされた極めて贅沢な公共空間である。

113 クレーマー橋

(ドイツ連邦共和国)

クレーマー橋は、ドイツのチューリンゲン州の州都であるエアフルトにあるランドマークである。それはブライト川に架かる橋で、その両側に木造の建物が肩を寄せ合うように建っている。

107 御堂筋イルミネーション

(日本)

構想時の理念は、これをイベントで終わらせないで、都市を魅力化させるトリガーとして位置づけるというものであった。単に道路空間だけでなく沿道の建物や寺社、またはランドマーク等もライトアップすることで、御堂筋という回廊全体の夜間景観を見事に演出している。

101 観塘プロムナード

(香港特別行政区)

ジョギングをしている人、ギターの演奏をしている人、運動器具でシェイプアップしている人、散策をしている人、パーゴラの下で読書をしている人などを見るにつけ、優れた公共空間を整備することで都市生活はかくも豊かになるのだな、ということを改めて確認する。

100 先斗町の景観形成

(日本)

先斗町(ぽんとちょう)は京都市中京区、河原町駅から北にある鴨川と高津川に挟まれた南北に延びる花街である。細長い石畳の道は幅が2メートルちょっとしかなく、そのヒューマン・スケールで、江戸時代から引き継がれる街並みの都市空間は内外の観光客を大いに魅了させる。

099 旭川駅

(日本)

線路の線形を変更させるなど、空間整序を優先的に捉え、長期的なビジョンから、この駅を設計した。妥協を許さないデザイナー達の胆力が問われるような交渉を経て、初めて実現できたことなのではないかと推察する。旭川市の象徴として素晴らしい公共施設。

095 メキシコ・シティ・メトロバス(BRT)

(メキシコ)

メキシコ・シティ・メトロバスは、バス・ラピッド・トランジット、通称BRTとよばれる交通システムである。2005年に開業し、2013年までには5本の路線が完成し、それまでは非常に使い勝手の悪かったメキシコ・シティのバス・システムを大きく改善させることに成功した。

094 マデロ・ストリート Madero Street

(メキシコ)

歴史家のイラン・セモは、この数ブロックに国の歴史が凝縮されている、と述べたが、マデロ・ストリートから自動車を排除し、人間に開放することで、メキシコ・シティだけではなくメキシコをも代表する都市公共空間を人々は獲得することができたのである。

091 平和通買物公園

(日本)

平和通り買物公園は、北海道の旭川市の駅前にある歩行者専用道路である。最初に車両交通の禁止を検討したのは1963年。その後、1969年に社会実験として道路から自動車を排除させ、その良好な結果を受けて、1972年6月には日本で最初の恒久的歩行者天国となった。これは、銀座の歩行者天国事業よりもはやい。

088 ジズコフ駅の再生プロジェクト

(チェコ共和国)

無骨で巨大な産業建築の中に、お洒落なお花畑やバーなどがある。私が訪れた時は、ランドスケープの展示がされていたが、それを眺めながらゆったりと産業遺産の巨大な構造物の中でビールを飲むのは、なかなかの空間体験である。

084 ランブラス

(スペイン)

ランブラスは歩行者が安全に時間を過ごすことができる空間となっている。そこは、レルネル氏が指摘するように、また人々が出会い、交流する場である。バルセロナの都市らしさを凝縮した空間であり、都市としてのバルセロナのまさにツボとでもいえるような空間であると思われる。

077 富山ライトレール

(日本)

富山ライトレールは単なる交通サービスを提供しているだけでなく、富山市が抱える都市課題の解決手段としても位置づけられている。富山市は「コンパクトなまちづくり」を指向している。鉄軌道などの公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の都市機能を集積させ、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを目指しているのである。

076 自転車ステーション ミュンスター

(ドイツ連邦共和国)

そこは単なる駐輪場ではなく、修理などもできる自転車のクリニックのようであり、また、いろいろな関連部品も購入できる。それだけでなく、レンタサイクルのサービスまでもが提供される。まるで自転車の総合商社のようなビルなのである。

074 ブロードウェイの歩行者専用化

(アメリカ合衆国)

ブロードウェイは、格子状の規則性のある区画を、唯一斜めに走るマンハッタンで最も個性的な道路。そのブロードウェイから自動車を全面もしくは部分排除するプログラムが2008年から開始された。

069 花通り

(ブラジル連邦共和国)

「都心は自動車ではなくて人間のためにあるべきである」という信念のもと、レルネル市長は連休中の3日間で2ブロックほどの道路の舗装を剥がし、そのうえに花壇を置き、自動車を通れなくした。1972年5月20日のことである。

062 ストリッシュコフ駅

(チェコ共和国)

味気ない郊外住宅地に現れた宇宙船のような地下鉄駅。地域アイデンティティの薄い地域に強烈なランドマークをつくりだすと同時に、交通移動のハブとしての象徴性をも見事に表現することに成功した。

060 ストラスブールのトラム

(フランス共和国)

世界遺産の街並みを誇るストラスブール。しかし道路が狭く、慢性的な渋滞に悩んでいた。その都心部の再生を促すために導入されたのがライトレール。脱自動車化をすすめ、都市空間をヒューマン・スケールへとリデザインすることに成功した。

053 ハイライン

(アメリカ合衆国)

ハイラインはニューヨークに新しく出現した公共空間であり、また観光スポットである。それは、マンハッタンの西側、ハドソン川沿いにて放置されていた元高架貨物鉄道の跡地を公園として再生したものだ。

050 マドリッド・リオ

(スペイン)

この大プロジェクトによって、マドリッドは河川という新たな都市景観を獲得し、また数少ない貴重なウォーターフロントを憩いの場に変容させた。週末には6万人が訪れるレクリエーション空間にもなっている。それまで自動車が占用していたウォーターフロント沿いのプロムナードを歩くと、ルイス・ガジャルドンはマドリッド市民にとって、とてつもなく素晴らしいプレゼントをあげたのだな、ということに気づかされる。世紀の大鍼治療である。

041 エクスヒビション・ロード

(イングランド)

エクスヒビション・ロード。それは、日本語に訳せば「展示道」とでもなろうか。ロンドンはハイド・パークの南から、サウス・ケンジントンにある800メートルに及ぶ道路は、沿道に18の文化施設を擁する。ヴィクトリア&アルバート博物館、科学博物館、自然博物館、ロイヤル・アルバート・ホール、王立公園、インペリアル・カレッジなどである。

039 サイクル・スーパーハイウェイ

(デンマーク王国)

サイクル・スーパーハイウェイは、コペンハーゲンを中心とした20の自治体の協働作業によって整備されることになった。その目的は、コペンハーゲンを中心とする首都地域が、国内でも最も自転車に乗りやすい地域にすることと同時に、環境に優しく、サステイナブルな交通手段である自転車をより普及させていくことにあった。

038 サイクルスランゲン

(デンマーク王国)

サイクルスランゲンは235メートルの長さの歩行者そして自転車専用の橋である。それは、同じく歩行者そして自転車専用のブリエーブロ橋と国道2号線とを結ぶことになる。この橋は190メートルの長さで4メートルの幅を有している。
 コペンハーゲン港の東西を結ぶ200メートルのブリエーブロ橋が完成したのが2006年。これは、自転車移動時間を大幅に短縮させ、また自転車利用を増加させたことで3300万デンマーク・クローネの社会的便益をもたらした事業として評価された。しかし、コペンハーゲンの都心部側(西側)へと橋を渡った後には、目の前にある国道2号線とは高低差があり、せっかく橋を渡っても遠回りをしなくてはならなかった。そのボトルネックを、このサイクルスランゲンは解消することになった。これによって、ブリエーブロ橋の使い勝手が大きく改善され、都心部へのアクセスも向上することになったのである。

022 パール・ストリート

(アメリカ合衆国)

コロラド州のボルダーの中心市街地に、パール・ストリートという4ブロックに渡る歩行者専用モールがある。ここは、常に人が溢れて賑わっている大変活力のあるモールである。しかしこのように賑わうようになったのは、1960年代から70年代にかけてボルダー市民の大英断があったからなのである。

012 パセオ・デル・リオ

(アメリカ合衆国)

パセオ・デル・リオは、素晴らしい都市空間が持つべきほとんどすべての要素を兼ね備えている。このパセオ・デル・リオを暗渠化していたら、サンアントニオはまったく別の都市になってしまったであろう。

011 ライン・プロムナード

(ドイツ連邦共和国)

ライン川と都心部とを分断していた国道のトンネル化と、ライン川沿いのプロムナードの整備により、デュッセルドルフのウォーターフロントは魅力的な空間に生まれ変わった。

003 ゲーツヘッド・ミレニアム・ブリッジ

(イングランド)

イギリスの北東部、ニューキャッスル市とゲーツヘッド市の境界を流れるタイン川に架けられた歩行者・自転車専用のアーチ橋。この橋がつくられたことで、バルチック現代美術館をはじめとしたゲーツヘッド市のウォーターフロントを訪れる人が増え、かつての工業地区は文化地区として大きく変貌を遂げつつある。

インタビュー

ジャイメ・レルネル氏インタビュー

(建築家・元クリチバ市長)

「よりよい都市を目指すには、スピードが重要です。なぜなら、創造は「始める」ということだからです。我々はプロジェクトが完了したり、すべての答えが準備されたりするまで待つ必要はないのです。時には、ただ始めた方がいい場合もあるのです。そして、そのアイデアに人々がどのように反応するかをみればいいのです。」(ジャイメ・レルネル)

鳴海邦碩氏インタビュー

(大阪大学名誉教授)

1970年代から長年にわたり日本の都市計画・都市デザインの研究をリードしてきた鳴海先生。ひとびとが生き生きと暮らせる都市をめざすにはどういう視点が大事なのか。
これまでの研究と実践活動の歩みを具体的に振り返りながら語っていただきました。

中村ひとし氏インタビュー

(クリチバ市元環境局長)

シリーズ「都市の鍼治療」。今回は「クリチバの奇跡」と呼ばれる都市計画の実行にたずさわったクリチバ市元環境局長の中村ひとしさんをゲストに迎え、お話をお聞きします。

対談 福田知弘 × 服部圭郎

(大阪大学サイバーメディアコモンズにて収録)

お金がなくても知恵を活かせば都市は元気になる。ヴァーチャルリアリティの専門家でもある福田先生に、国内・海外の「都市の鍼治療」事例をたくさんご紹介いただきました。聞き手は「都市の鍼治療」伝道師でもある、服部圭郎 明治学院大学経済学部教授です。

対談 阿部大輔 × 服部圭郎

(龍谷大学政策学部にて収録)

「市街地に孔を開けることで、都市は元気になる。」(阿部大輔 龍谷大学准教授)
データベース「都市の鍼治療」。今回はスペシャル版として、京都・龍谷大学より、対談形式の録画番組をお届けします。お話をうかがうのは、都市デザインがご専門の阿部大輔 龍谷大学政策学部政策学科准教授です。スペイン・バルセロナの都市再生に詳しい阿部先生に、バルセロナ流の「都市の鍼治療」について解説していただきました。

岡部明子氏インタビュー

(建築家・東京大学教授)

「本当に現実に向き合うと、(統計データとは)違ったものが見えてきます。この塩見という土地で、わたしたちが、大学、学生という立場を活かして何かをすることが、一種のツボ押しになり、新しい経済活動がそのまわりに生まれてくる。新たなものがまわりに出てくることが大切で、そういうことが鍼治療なのだと思います。」(岡部明子)

今回は、建築家で東京大学教授の岡部明子氏へのインタビューをお送りします。

土肥真人氏インタビュー

(東京工業大学准教授)

今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、東京工業大学准教授の土肥真人氏へのインタビューをお送りします。土肥先生は「エコロジカル・デモクラシー」をキーワードに、人間と都市を生態系の中に位置づけなおす研究に取り組み、市民と共に新しいまちづくりを実践されています。