産業遺産に関する事例

209 ノルドシュテーン・パーク

(ドイツ連邦共和国)

ノルドシュテーン・パークはドイツ・ルール地方のゲルゼンキルヘン市にある公園である。1993年まで操業していたツェヒェ・ノルドシュテーン炭鉱跡地につくられた。土壌汚染や水質汚染などの問題を解決しながら開発するにあたって、ゲルゼンキルヘン市は、IBA(国際建築展)だけでなく、連邦庭園博覧会までをも活用することになった。これは、いわば万博とオリンピックを同時に開催するようなもので、ある意味、非常に贅沢なことではあるが、逆にいえば、それだけ同市が本事業において失敗は許されないという自覚をもっていたことの裏返しと推察される。

194 テトラエーダー

(ドイツ連邦共和国)

IBAエムシャーパークの事業として、ボットロップ市のバーテンブロック地区のぼた山の上に1995年につくられた。それは鋼鉄でできた一辺60メートルの三角錐の建築構造物で、底面は地面から9メートルの高さに浮いている。ここからはまさに360度のルール地方の展望を得ることができる。

188 ブルックリン・ブリッジ・パーク

(アメリカ合衆国)

イースト・リバー沿いにある34ヘクタールの公園。ウォーターフロントの2キロメートルの長さの土地を公園として開発した。2008年から開始された埋め立て事業には、ワールド・トレード・センターの瓦礫が使われている。

183 ドルトムンダーUタワー

(ドイツ連邦共和国)

もとはドイツでも最大の生産量を誇るドルトムント・ユニオン・ビールの醸造所かつ貯蔵所の建物であったドルトムンダーUタワーは、現在、展示・研究・教育、そして製作活動といった多様な機能を有した新しいタイプの文化拠点となっている。

182 鶴岡まちなかキネマ

(日本)

鶴岡まちなかキネマは、織物工場の移転をきっかけとして立ち上がったプロジェクト。映画館だけでなく、文化施設として、落語や朗読会、ミニ・コンサート、講演会などもここで行われている。旧織物工場というストックを過去のものとして保存するというアプローチではなく、現在の生活の中に融合させ、再生させている。

174 カール・ハイネ運河の再生事業

(ドイツ連邦共和国)

カール・ハイネ運河は旧東ドイツ時代には下水道として使われ、その環境汚染は凄まじいものがあった。しかし、東西ドイツ統一後、この環境汚染を解決させ、新たに人々が憩えるようなウォーターフロントへと再生することを計画。さらに孤立した港として放置されてきたリンデナウ港とこの運河を結んだことで、港周辺の環境改善や住宅開発も進み、良好な生活環境が生み出されている。

088 ジズコフ駅の再生プロジェクト

(チェコ共和国)

無骨で巨大な産業建築の中に、お洒落なお花畑やバーなどがある。私が訪れた時は、ランドスケープの展示がされていたが、それを眺めながらゆったりと産業遺産の巨大な構造物の中でビールを飲むのは、なかなかの空間体験である。

027 ギラデリ・スクエア

(アメリカ合衆国)

ギラデリ・スクエアはサンフランシスコの北部にあるフィッシャーマンズ・ワーフ地区にある、歴史的建造物であるチョコレート工場を再利用した商業施設である。サンフランシスコのウォーターフロントの歴史、そしてアイデンティティを体現するウォーターフロントのランドマークとして隣接するキャナリー・ワーフとともに重要な役割を担っている。そして、この施設はアメリカでも工場等の建物を商業施設として再利用した最初の事例でもあるのだ。

023 ランドシャフツ・パーク

(ドイツ連邦共和国)

ドイツはノルトライン・ヴェストファーレン州にあるデュースブルクの北部地区にあったティッセン社の製鉄所跡地を公園として再生した事例である。この製鉄所は1985年に操業を停止した後、周辺を汚染したまま放置されていた。

020 ニューラナークの再生

(スコットランド)

ニューラナークはスコットランドのグラスゴーの南にあるラナークシャー郡の世界遺産である。グラスゴーからローカル鉄道で一時間ぐらいのところにあるラナークの町から2キロメートルほど離れた場所にクライド川が流れている。ニューラナークは、この川の水力を活かした綿工場と従業員のための住居がセットにして計画的につくられた町であり、都市計画史の観点からはメルクマールとなるようなプロジェクトである。

013 ローウェル・ナショナル・ヒストリック・パーク

(アメリカ合衆国)

ローウェル・ナショナル・ヒストリカル・パークは、歴史保全をし、なおかつそれを博物館として展示し、解説するという機能を持つ都市公園としては全米初のものである。

009 ツォルフェライン

(ドイツ連邦共和国)

 IBAエムシャーパークによって、ルール地方は産業遺産を活用した斬新なプロジェクトを展開する。その象徴が、世界文化遺産に指定されたエッセンにあるこのツォルフェライン炭鉱である。

004 エンジェル・オブ・ザ・ノース

(イングランド)

イギリスの北東部にある都市ゲーツヘッドの南からの玄関口の岡の上につくられた重量200トンという巨大な鋼鉄製の天使の彫刻。新しいゲーツヘッドの目指す都市像でもあり、市民の郷土意識を喚起させるゲーツヘッドの新たなるシンボルとしても機能している。

001 ガス・ワークス・パーク

(アメリカ合衆国)

シアトル市の北部、ダウンタウンのスカイラインの見事な展望が望めるユニオン湖に面した場所に位置する広大な公園。ここは工業跡地が公園として生まれ変わった世界でも初めてのケースであり、以後の工業跡地の公共用地への転換への流れをつくった。

インタビュー

ジャイメ・レルネル氏インタビュー

(建築家・元クリチバ市長)

「よりよい都市を目指すには、スピードが重要です。なぜなら、創造は「始める」ということだからです。我々はプロジェクトが完了したり、すべての答えが準備されたりするまで待つ必要はないのです。時には、ただ始めた方がいい場合もあるのです。そして、そのアイデアに人々がどのように反応するかをみればいいのです。」(ジャイメ・レルネル)

鳴海邦碩氏インタビュー

(大阪大学名誉教授)

1970年代から長年にわたり日本の都市計画・都市デザインの研究をリードしてきた鳴海先生。ひとびとが生き生きと暮らせる都市をめざすにはどういう視点が大事なのか。
これまでの研究と実践活動の歩みを具体的に振り返りながら語っていただきました。

中村ひとし氏インタビュー

(クリチバ市元環境局長)

シリーズ「都市の鍼治療」。今回は「クリチバの奇跡」と呼ばれる都市計画の実行にたずさわったクリチバ市元環境局長の中村ひとしさんをゲストに迎え、お話をお聞きします。

対談 福田知弘 × 服部圭郎

(大阪大学サイバーメディアコモンズにて収録)

お金がなくても知恵を活かせば都市は元気になる。ヴァーチャルリアリティの専門家でもある福田先生に、国内・海外の「都市の鍼治療」事例をたくさんご紹介いただきました。聞き手は「都市の鍼治療」伝道師でもある、服部圭郎 明治学院大学経済学部教授です。

対談 阿部大輔 × 服部圭郎

(龍谷大学政策学部にて収録)

「市街地に孔を開けることで、都市は元気になる。」(阿部大輔 龍谷大学准教授)
データベース「都市の鍼治療」。今回はスペシャル版として、京都・龍谷大学より、対談形式の録画番組をお届けします。お話をうかがうのは、都市デザインがご専門の阿部大輔 龍谷大学政策学部政策学科准教授です。スペイン・バルセロナの都市再生に詳しい阿部先生に、バルセロナ流の「都市の鍼治療」について解説していただきました。

岡部明子氏インタビュー

(建築家・東京大学教授)

「本当に現実に向き合うと、(統計データとは)違ったものが見えてきます。この塩見という土地で、わたしたちが、大学、学生という立場を活かして何かをすることが、一種のツボ押しになり、新しい経済活動がそのまわりに生まれてくる。新たなものがまわりに出てくることが大切で、そういうことが鍼治療なのだと思います。」(岡部明子)

今回は、建築家で東京大学教授の岡部明子氏へのインタビューをお送りします。

土肥真人氏インタビュー

(東京工業大学准教授)

今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、東京工業大学准教授の土肥真人氏へのインタビューをお送りします。土肥先生は「エコロジカル・デモクラシー」をキーワードに、人間と都市を生態系の中に位置づけなおす研究に取り組み、市民と共に新しいまちづくりを実践されています。