歩道に関する事例

198 フィルバート通りの階段

(アメリカ合衆国)

グレース・マーチャントという一人の人間の無償の奉仕によって、ごみ捨て場という人々が嫌忌するような場所が、人々が思慕するような庭園へと変貌することになった。そして、その意思を住民達が継承し、その存続が脅かされた時には、それを守り抜くことに成功した。
素晴らしい公共的な空間は、住民の意思によって維持され、継承されるという優れた事例であると考えられる。

187 セーヌ河岸のパリ・プラージュ

(フランス共和国)

パリのセーヌ河岸、ルーブル美術館側は多くの自動車が行き来する自動車専用道路であったが、2016年、自動車が閉め出され、歩行者専用空間として6ヶ月間試行的に使われるようになった。アンヌ・イダルゴ市長はその後、永久に自動車をこの道路から追放すると発表。

178 ブルックリン橋

(アメリカ合衆国)

自動車専用部分以外に、歩行者と自転車専用の部分を設けただけでなく、自動車より一段と高いレベルにしたことで、ここを徒歩、自転車で横断するものは自動車に煩わされることがない。この歩行者のプロムナードを設置したことで、ブルックリン橋は幾多とある大都市の橋梁と一線を画すことに成功した。

175 デュッケ・ダヴィラ・アヴェニーダの歩道拡幅事業

(ポルトガル)

1980年頃からのヨーロッパの都市における大きな政策的トレンドは、公共空間の人間回帰である。具体的にはヒューマン・スケールを重視し、都心部における自動車の交通を制限し、歩行者を主体とした空間の再創造を図るというものだ。このデュッケ・ダヴィラ・アヴェニーダの試みもそのようなトレンドの延長線上にある。ただリスボンでも都心部ではなく、どちらかというと自動車利用が高い近郊部において、このような歩行者主体の公共空間をつくろうと試みたことが注目に値する。

174 カール・ハイネ運河の再生事業

(ドイツ連邦共和国)

カール・ハイネ運河は旧東ドイツ時代には下水道として使われ、その環境汚染は凄まじいものがあった。しかし、東西ドイツ統一後、この環境汚染を解決させ、新たに人々が憩えるようなウォーターフロントへと再生することを計画。さらに孤立した港として放置されてきたリンデナウ港とこの運河を結んだことで、港周辺の環境改善や住宅開発も進み、良好な生活環境が生み出されている。

170 ヴィア・スパラーノ(Via Sparano)の改修事業

(イタリア共和国)

バーリは治安が決してよいとは言えない。治安がよくないと人々は公共空間に不安を覚え、あまり近寄らなくなる。公共空間の魅力をつくりだすのは、そこに多くの人が滞在していることが必要条件である。そのため、デカロ市長は、この「バーリの居間」と呼ばれる中心街路に人が安心して、そして快適に過ごせるための仕掛けをつくりあげた。

169 ジュビリー・ウォーク

(シンガポール共和国)

ジュビリー・ウォークは、シンガポールの建国50周年を祝して整備された延長8キロメートルの歩道である。この歩道は、フォート・カニングの丘、シンガポール川、行政地区、マリーナ・ベイといったシンガポールの過去、現在、将来の物語を象徴するような23のランドマークを結んでおり、ここを歩くことでシンガポールという都市国家を形成した人々やコミュニティの営みが理解でき、その都市形成の歴史を学習できるように意図されている。

137 チェスターの城壁

(イングランド)

チェスターの壁は、イギリスの西部にあるチェスター市の旧市街地を囲むようにつくられた3キロメートルに及ぶ城壁である。現在では、その上を歩くことができ、ちょっとした空中散歩を楽しむことができる。この壁の歴史は古く、そもそもは西暦70年、80年にローマ人によって築かれた。

117 街中がせせらぎ事業

(日本)

歩きやすい環境を活かして、湧き水を再生させ、管理し、それらをめぐる散策路を整備すれば街の活性化に繋がるのではないかという考えのもと、三島市では1996年から「街中がせせらぎ事業」を展開することにした。

090 デッサウ「赤い糸」

(ドイツ連邦共和国)

デッサウでは、住宅市場の供給過剰に対応するために不要な建物を撤去した跡地を、「図」ではなくむしろ「地」に注目した都市像として提示している。そして、この「地」を空間的にネットワーク化し、新しく創出されたランドスケープを人々に認識してもらうために、それらを「赤い糸」で繋ぐことにした。

053 ハイライン

(アメリカ合衆国)

ハイラインはニューヨークに新しく出現した公共空間であり、また観光スポットである。それは、マンハッタンの西側、ハドソン川沿いにて放置されていた元高架貨物鉄道の跡地を公園として再生したものだ。

035 オーフス川開渠化事業とプロムナード整備

(デンマーク王国)

オーフスはデンマーク第二の都市である。とはいえ、人口はわずか29万人。このオーフスの都心にオーフス川が流れている。このオーフス川、1930年代に増加し始めた自動車交通に対応するために暗渠化をして、その上にオー通りという幹線道路を整備した。その後、月日が経つ。1962年には首都コペンハーゲンの都心部から自動車を排除して、歩行者空間ストロイエをつくったことの成功などを経験し、デンマークの都市は全国的に、都心部は自動車ではなくて歩行者を主人公とした都市づくりをしようというトレンド、というか理念が形成されていく。

021 大横川の桜並木

(日本)

墨田区と江東区を流れる運河、大横川。見事な桜並木を誇り、4月の開花時期には大勢の花見客で賑わう。この花見の季節には、土曜日と日曜日に地元商店街が「お江戸さくら祭り」を開催し、大横川には花見客を乗せた和船が行き来し、失われつつある江戸の下町情緒を感じさせる、ちょっとした地元の風物となっている。

016 チョンゲチョン(清渓川)再生事業

(大韓民国)

チョンゲチョン川は、ソウル市内を東西に縦断するように流れ、漢江に注ぎ込む総延長10.92kmの都市河川である。このチョンゲチョン川は、頻繁に大氾濫を起こし、その治水事業は朝鮮王朝時代からの大きな課題であった。

013 ローウェル・ナショナル・ヒストリック・パーク

(アメリカ合衆国)

ローウェル・ナショナル・ヒストリカル・パークは、歴史保全をし、なおかつそれを博物館として展示し、解説するという機能を持つ都市公園としては全米初のものである。

012 パセオ・デル・リオ

(アメリカ合衆国)

パセオ・デル・リオは、素晴らしい都市空間が持つべきほとんどすべての要素を兼ね備えている。このパセオ・デル・リオを暗渠化していたら、サンアントニオはまったく別の都市になってしまったであろう。

011 ライン・プロムナード

(ドイツ連邦共和国)

ライン川と都心部とを分断していた国道のトンネル化と、ライン川沿いのプロムナードの整備により、デュッセルドルフのウォーターフロントは魅力的な空間に生まれ変わった。

インタビュー

ジャイメ・レルネル氏インタビュー

(建築家・元クリチバ市長)

「よりよい都市を目指すには、スピードが重要です。なぜなら、創造は「始める」ということだからです。我々はプロジェクトが完了したり、すべての答えが準備されたりするまで待つ必要はないのです。時には、ただ始めた方がいい場合もあるのです。そして、そのアイデアに人々がどのように反応するかをみればいいのです。」(ジャイメ・レルネル)

鳴海邦碩氏インタビュー

(大阪大学名誉教授)

1970年代から長年にわたり日本の都市計画・都市デザインの研究をリードしてきた鳴海先生。ひとびとが生き生きと暮らせる都市をめざすにはどういう視点が大事なのか。
これまでの研究と実践活動の歩みを具体的に振り返りながら語っていただきました。

中村ひとし氏インタビュー

(クリチバ市元環境局長)

シリーズ「都市の鍼治療」。今回は「クリチバの奇跡」と呼ばれる都市計画の実行にたずさわったクリチバ市元環境局長の中村ひとしさんをゲストに迎え、お話をお聞きします。

対談 福田知弘 × 服部圭郎

(大阪大学サイバーメディアコモンズにて収録)

お金がなくても知恵を活かせば都市は元気になる。ヴァーチャルリアリティの専門家でもある福田先生に、国内・海外の「都市の鍼治療」事例をたくさんご紹介いただきました。聞き手は「都市の鍼治療」伝道師でもある、服部圭郎 明治学院大学経済学部教授です。

対談 阿部大輔 × 服部圭郎

(龍谷大学政策学部にて収録)

「市街地に孔を開けることで、都市は元気になる。」(阿部大輔 龍谷大学准教授)
データベース「都市の鍼治療」。今回はスペシャル版として、京都・龍谷大学より、対談形式の録画番組をお届けします。お話をうかがうのは、都市デザインがご専門の阿部大輔 龍谷大学政策学部政策学科准教授です。スペイン・バルセロナの都市再生に詳しい阿部先生に、バルセロナ流の「都市の鍼治療」について解説していただきました。

岡部明子氏インタビュー

(建築家・東京大学教授)

「本当に現実に向き合うと、(統計データとは)違ったものが見えてきます。この塩見という土地で、わたしたちが、大学、学生という立場を活かして何かをすることが、一種のツボ押しになり、新しい経済活動がそのまわりに生まれてくる。新たなものがまわりに出てくることが大切で、そういうことが鍼治療なのだと思います。」(岡部明子)

今回は、建築家で東京大学教授の岡部明子氏へのインタビューをお送りします。

土肥真人氏インタビュー

(東京工業大学准教授)

今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、東京工業大学准教授の土肥真人氏へのインタビューをお送りします。土肥先生は「エコロジカル・デモクラシー」をキーワードに、人間と都市を生態系の中に位置づけなおす研究に取り組み、市民と共に新しいまちづくりを実践されています。