博物館・美術館に関する事例

219 カペル橋

(スイス連邦)

スイス中央部に位置するルツェルンのカペル橋はヨーロッパで最古の屋根付きの木橋であり、また現存するトラス橋としても世界最古のものである。この橋がルツェルンの宝であるというのは間違いないが、私はルツェルンが有するさらに輝くような宝は、ルツェルンの市民が、それを宝であると強く意識し、それを共有していることだと考える。これこそがルツェルン市を特別なものとし、そこに住む人達にシビック・プライドという帰属意識を持たせる要因になっているのではないだろうか。

216 いわき震災伝承みらい館

(日本)

地震、津波に加えて、原発事故が重なるという未曾有の複合災害に襲われたいわき市の震災経験を次代に継承し、震災の記憶や教訓を風化させず、危機意識や防災意識の醸成等を図ることを目的とした「いわき市震災メモリアル事業」の中核拠点施設。

203 デンバー美術館(ハミルトン・ビルディング)

(アメリカ合衆国)

デンバー美術館はデンバーのシビック・センター(行政地区)にある。ダニエル・リベスキント設計のハミルトン・ビルディングは、その斬新な意匠によって、ほとんど一夜にしてデンバー市の重要なランドマークとして人々に認識されることになった。また都市計画的にも、行政地区の西端に集客施設をつくり、都心部を西に拡張させる役割も果たしている。

200 世田谷美術館

(日本)

既存の美術館の硬直性を、設計という創造的行為によって解放させようとした内井昭蔵と建築設計事務所のスタッフの熱意が、生活美術館、オープン美術館、公園美術館という斬新な視座をもたらし、それを「健康な建築」という大きな理念で包み込むことに成功した。

189 ポンピドー・センター

(フランス共和国)

パリはホーブール地区の市場跡地に、ポンピドー大統領の指示によって1977年につくられたモダン・アート(現代美術)のための文化施設。そのデザインは、当時、随分と突飛な印象を人々に与えた。設計者のレンゾ・ピアノはその意図を「いかめしい文化施設のイメージを破壊したかった」(Figaro, 2017年2月)と述べている。

183 ドルトムンダーUタワー

(ドイツ連邦共和国)

もとはドイツでも最大の生産量を誇るドルトムント・ユニオン・ビールの醸造所かつ貯蔵所の建物であったドルトムンダーUタワーは、現在、展示・研究・教育、そして製作活動といった多様な機能を有した新しいタイプの文化拠点となっている。

163 サントスの珈琲博物館

(ブラジル連邦共和国)

港町サントスは、珈琲の出荷港として20世紀前半には大変栄えていた。1922年にそこにつくられた珈琲取引所の建物はサントス市内でも、最も華美な建物として捉えられていた。この珈琲取引所を珈琲博物館にしたことで、サントス市は由緒ある歴史的建築物を有効に活用することに成功した。

158 ベルリン市立ユダヤ博物館

(ドイツ連邦共和国)

ベルリン市立ユダヤ博物館は、4世紀から現在に至るまでのドイツにおけるユダヤ人の社会、政治、文化的な歴史を展示している。それは、ドイツにおけるホロコーストという悲惨な歴史的事実を経て、それらをこれまでのドイツにおけるユダヤ人の歴史の文脈の中で位置づけ、展示することも意図している。

132 ダイナミック・アース

(スコットランド)

これは、スコットランド唯一のミレニアム・プロジェクトであり、地球とその環境に関しての展示が為されている地球環境教育施設である。地球の資源が有限であること、環境に配慮しないで活動することによって、必ずしっぺ返しが来ることを、強制的ではなく自らの思考の結果として得られるような見事な展示構成がなされている。

118 黒壁スクエア

(日本)

黒壁スクエアのユニークなところは、地元産業ではないガラスを街づくりのテーマにしたことである。通常、街づくりを考えるうえでは、地元の歴史などそのアイデンティティを活かすことが有効であり、王道であると捉えられている。

109 オスカー・ニーマイヤー博物館

(ブラジル連邦共和国)

ここは更地に新しくつくった訳ではない。人々から忘れ去られていたニーマイヤーの建築物をも新たに再生するという意義も有していたのである。計画当時、パラナ州には美術系の博物館がなかった。

106 国立映画博物館(トリノ)

(イタリア共和国)

十分にそのポテンシャルが発揮できていなかったトリノのランドマークを観光資源として再生させることに成功した事例である。この博物館はその魅力を発現させるうえで様々な工夫が施され、そして成功している。そして、それが一人の情熱的な女性によって具体化されたところが素晴らしい。

071 稲米故事館

(台湾)

日本の占領時代に、ここには食料の貯蔵を目的とした穀物倉庫と加工工場が建設された。すべて煉瓦造りで、屋根は日本の瓦でできており、麒麟や獅子などによって飾られている。これらは今日に至るまで、当時のまま保存されている。

065 シュピネライ

(ドイツ連邦共和国)

ドイツ再統一後、競争力の無さから閉鎖され、放置された広大な工場跡地がアーティストたちの活動の場として復活。ライプチッヒ市でも若者にも人気のある文化ゾーンへと変容した。何か創造したくなるような気分にさせられる刺激的な場所。

055 ビルバオ・グッゲンハイム美術館

(スペイン)

スペインは北東部に位置するバスク州の首都ともいえるビルバオ。鉄鋼業や造船で栄えるも、1970年代以降、これら産業が衰退すると同時に人口も縮小しはじめる。工業都市からサービス産業へと産業構造の大転換を図ることになり、そのために大きく都市開発を推進するのだが、その起爆剤となったのがビルバオ・グッゲンハイム美術館であった。

046 ギネス・ストアハウス(ギネスビール博物館)

(アイルランド)

ギネスのビール醸造所は1902年から1904年の間にダブリンの近郊にて建造された。それは、ビールの醸造所としてアーサー・ギネス・サン会社によってつくられた。シカゴ・スタイルの巨大な構造物はアイルランド最初の鉄鋼でつくられた高層建築であった。それは、ダブリンの西地区のランドマークとして人々に親しまれていた。しかし、1980年代には醸造所としては時代遅れとなり、この醸造所を移転して、ストアハウスは1986年に閉鎖された。

033 ジェノサイド・メモリアル

(ルワンダ共和国)

ルワンダのおぞましい歴史として、1994年に起きた国民同士が殺しあう大虐殺がある。これは、以前の宗主国であるベルギー人が、支配をしやすくするために、ルワンダ人をフツ族とツチ族に分けて、ツチ族にフツ族を支配させる構造をつくりあげたことによって生じた悲劇である。

031 剥皮寮(ボーピーリャウ)の歴史保全

(台湾)

台北市萬華区の路地裏に「剥皮寮(ボーピーリャウ)」と言う伝統的街並みを保全した地区がある。台北の観光名所である龍山寺のそばにある、数少ない清朝時代の面影を残す町並みが保存された地区だ。清朝時代の伝統的な店屋や、日本統治時代の建物などが再生されているのだが、この再生が非常に丁寧に行われている。

013 ローウェル・ナショナル・ヒストリック・パーク

(アメリカ合衆国)

ローウェル・ナショナル・ヒストリカル・パークは、歴史保全をし、なおかつそれを博物館として展示し、解説するという機能を持つ都市公園としては全米初のものである。

009 ツォルフェライン

(ドイツ連邦共和国)

 IBAエムシャーパークによって、ルール地方は産業遺産を活用した斬新なプロジェクトを展開する。その象徴が、世界文化遺産に指定されたエッセンにあるこのツォルフェライン炭鉱である。

インタビュー

ジャイメ・レルネル氏インタビュー

(建築家・元クリチバ市長)

「よりよい都市を目指すには、スピードが重要です。なぜなら、創造は「始める」ということだからです。我々はプロジェクトが完了したり、すべての答えが準備されたりするまで待つ必要はないのです。時には、ただ始めた方がいい場合もあるのです。そして、そのアイデアに人々がどのように反応するかをみればいいのです。」(ジャイメ・レルネル)

鳴海邦碩氏インタビュー

(大阪大学名誉教授)

1970年代から長年にわたり日本の都市計画・都市デザインの研究をリードしてきた鳴海先生。ひとびとが生き生きと暮らせる都市をめざすにはどういう視点が大事なのか。
これまでの研究と実践活動の歩みを具体的に振り返りながら語っていただきました。

中村ひとし氏インタビュー

(クリチバ市元環境局長)

シリーズ「都市の鍼治療」。今回は「クリチバの奇跡」と呼ばれる都市計画の実行にたずさわったクリチバ市元環境局長の中村ひとしさんをゲストに迎え、お話をお聞きします。

対談 福田知弘 × 服部圭郎

(大阪大学サイバーメディアコモンズにて収録)

お金がなくても知恵を活かせば都市は元気になる。ヴァーチャルリアリティの専門家でもある福田先生に、国内・海外の「都市の鍼治療」事例をたくさんご紹介いただきました。聞き手は「都市の鍼治療」伝道師でもある、服部圭郎 明治学院大学経済学部教授です。

対談 阿部大輔 × 服部圭郎

(龍谷大学政策学部にて収録)

「市街地に孔を開けることで、都市は元気になる。」(阿部大輔 龍谷大学准教授)
データベース「都市の鍼治療」。今回はスペシャル版として、京都・龍谷大学より、対談形式の録画番組をお届けします。お話をうかがうのは、都市デザインがご専門の阿部大輔 龍谷大学政策学部政策学科准教授です。スペイン・バルセロナの都市再生に詳しい阿部先生に、バルセロナ流の「都市の鍼治療」について解説していただきました。

岡部明子氏インタビュー

(建築家・東京大学教授)

「本当に現実に向き合うと、(統計データとは)違ったものが見えてきます。この塩見という土地で、わたしたちが、大学、学生という立場を活かして何かをすることが、一種のツボ押しになり、新しい経済活動がそのまわりに生まれてくる。新たなものがまわりに出てくることが大切で、そういうことが鍼治療なのだと思います。」(岡部明子)

今回は、建築家で東京大学教授の岡部明子氏へのインタビューをお送りします。

土肥真人氏インタビュー

(東京工業大学准教授)

今回の「都市の鍼治療インタビュー」は、東京工業大学准教授の土肥真人氏へのインタビューをお送りします。土肥先生は「エコロジカル・デモクラシー」をキーワードに、人間と都市を生態系の中に位置づけなおす研究に取り組み、市民と共に新しいまちづくりを実践されています。