061 プラハのガス燈(チェコ共和国)

061 プラハのガス燈

061 プラハのガス燈
061 プラハのガス燈
061 プラハのガス燈

061 プラハのガス燈
061 プラハのガス燈
061 プラハのガス燈

ストーリー:

 チェコの首都、プラハの旧市街地を彩るガス燈。いかにも歴史ある町にふさわしい景観を演出しているが、これはガス燈が設置された19世紀のものが今日にまで残っているのではなく、21世紀になってから新たに設置されたものである。
 プラハ市役所が歴史ある旧市街地の雰囲気を演出することを意図して、2002年から計画を練り、2004年から実際、設置し始めた。19年ぶりのガス等の復活である。電灯はあまり暖かくもなければ、雰囲気もない。電灯より、ガス燈の方が旧市街地にはふさわしいと考えられたのである。プラハ市はまずは、「王の道」のすべての街灯をガス燈に置き換えることにした。「王の道」は市民広場からカレル橋を渡ってプラハ城にまで至る道である。
 ガス燈は電灯に比べると維持管理は高い。新しく設置されたガス燈は、手動でもマニュアルでも点灯できるようになっている。しかし、昔のように長い竹の筒を用いて手動でガス燈に点灯する係を市役所では設け、歴史的な街並みの演出に一役買っている。
 建築的な観点からも、これらガス燈のデザイン自体は貴重である。プラハ城の前に立っている女性が8つのランプを持っているものは140年以上の歴史を有している。
 プラハの最後のガス燈はヘラドチャンスケ広場のもので1985年に電灯に置き換わった。それから19年間、プラハの旧市街地からガス燈は消滅したのである。最初に復活したのは旧市街地のミハルスカ通りの12本のガス燈であった。現在では約700本のガス燈が設置されている。2012年12月には「王の道」は、市民広場からプラハ城まですべての街路灯がガス燈に置き換わった。また、ヘラドチャンスケ広場のガス燈も復活した。プラハ市街地は、徐々に昔の歴史的な街並みの夜の雰囲気を取り戻しつつあるのだ。

キーワード:

歴史保全,アイデンティティ,景観デザイン,夜間照明

プラハのガス燈の基本情報:

  • 国/地域:チェコ共和国
  • 州/県:
  • 市町村:プラハ市
  • 事業主体:プラハ市
  • 事業主体の分類:自治体 
  • デザイナー、プランナー:
  • 開業年:2004年

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 プラハの旧市街地を夜、歩くと、ガス燈の明るくも瀟洒な光に何か凛としたものを感じる。歴史的な市街地だけが有することのできるオーセンティシティを照らすには、ガス燈の清廉なる灯りがしっくりくると思うのは私だけではないだろう。流石、プラハ。歴史のある都市は貫禄が違う。と感心をしていたら、実は、このガス燈は最近、設置されたものであることを知り、再び感心をする。
 プラハは東西の壁が崩壊した後は、「絶滅種」であると言われていた。それは、プラハのよさが資本主義によって失われていくことを予測しての形容であった。プラハに私が初めて訪れたのは2005年である。それ以後、2007年、2010年、2015年と訪れているが、実は訪れるたびに旧市街地は、歴史的街並みとしての風格をより纏うようになっている印象を受けていた。その理由としては、プラハの旧市街地がより都市デザイン面で改善されているからであろう。良いところはしっかりと保全し、悪いところは改善していく。プラハは「絶滅種」であるどころか、よりオーセンティックになっているのである。
 プラハにガス燈が設置されたのは1847年である。ガス燈の光は高潔なほど明るい。この明るい光に照らされる対象は、それなりに風格がなくてはならない。どこの都市でも真似をできることではない。
 旧市街地を歩いていると、ほとんど聞き取れないほど微かではあるが、ランプにガスが吹き込んでいる音を聞くことができる。多くのプラハの人たちはガス燈は、昔の不気味な時代を彷彿させるという。この不気味な音が、より都市のアイデンティティを演出に寄与するというのは、プラハのような都市の格の高さが求められるのであろう。
 あと、感心するのは、例えばレッセ・タウン・スクエアにはガス燈と電灯が併設されていることである。これは、プラハで最初に設置された電灯だからである。ガス燈を導入するのは、プラハの旧市街地のアイデンティティ強化のためである。それであるならば、電灯でもしっかりとプラハの歴史的に重要な役割を果たしたものは残す。何でもガス燈にしない、という姿勢が、プラハは都市にとって何が大切かということをしっかりと理解をしているなということを我々に知らしめる。

類似事例:

・ ビーコン・ヒルにおけるガス燈設置、ボストン(マサチューセッツ州)
・ ワルシャワ旧市街地のガス燈設置、ワルシャワ(ポーランド)
・ 小樽運河のガス燈、小樽市(北海道)
・ 銀山温泉のガス燈、尾花沢市(山形県)
・ めいわガス燈通り、四街道市(千葉県)
・ 馬車道のガス燈、横浜市(神奈川県)