073 ボケリア市場(スペイン)

073 ボケリア市場

073 ボケリア市場
073 ボケリア市場
073 ボケリア市場

073 ボケリア市場
073 ボケリア市場
073 ボケリア市場

ストーリー:

 ボケリア市場はランブラス通り沿いにある公設市場である。正式名称は、サン・ジュゼップ市場。
 13世紀に豚の市場として始まったと考えられているボケリア市場は、現在では世界でも最も魅力的な屋外市場として考えられている。魚屋、肉屋、チーズ屋、八百屋、ハムや加工食肉を取り扱う小食堂など、合計すると259店舗(出所:ボケリアのHP)が13,600?という決して大きくない面積にひしめき合っている。店舗数で多いのは、いわゆる生鮮三品で肉関係が65 店舗、魚関係が59店舗、野菜関係が58店舗で、これらで全体の7割以上を占める。このデータからも、同市場がバルセロナ市民の台所としての役割を担っていることが理解できるが、一方で、都市観光都市としてのバルセロナの人気が高まると同時に、多くの観光客も訪れる観光スポットにもなっている。ガストロノミーのメッカとしてのバルセロナを象徴する場所として、東京の築地市場のように昨今、注目されるようになっているのだ。
 ボケリア市場を魅力的な場所としているのは、その立地特性にもある。バルセロナの都心部の骨格ともいえるランブラスから、ちょっと入ったところに位置しているのでアクセスは非常に優れている。このアクセスのよさが、観光スポットとしての人気を後押ししていると考えられる。
 現在では、ボケリア市場は、バルセロナのアイデンティティの一つとさえ捉えられるほどの存在感を有しているが、その昔は闇市的なものであった。公式に認められるのは1836年で、現在でも使用されている同市場のシンボルともいえる屋根ができたのは1914年で100年ちょっと前のことである。現在、この店で営業している人達の多くが3世代もしくは4世代目である。
 都市における市場が多くの注目を最近、集めているが、ボケリア市場は、2005年にワシントンDCで開催された「世界市場大会」にて最優秀賞を受賞している。

キーワード:

歴史保全,都市観光,市場

ボケリア市場の基本情報:

  • 国/地域:スペイン
  • 州/県:カタルーニャ州
  • 市町村:バルセロナ市
  • 事業主体:Merchants Association de la Boqueria
  • 事業主体の分類:民間
  • デザイナー、プランナー:不明
  • 開業年:不明(13世紀頃)

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 『都市の鍼治療』において、レルネル氏はバルセロナを「都市の鍼治療」の宝庫であると述べている。また、素場らしい「都市の鍼治療」として市場を挙げているのだが、そこで「世界で最も魅力的な市場の一つ」として紹介しているのが、このボケリア市場である。
「ステンド・ガラスの色彩が美しく、そして商品の展示方法に実に工夫が凝らされており、人々を魅了する。肉や果物、野菜、臭い魚までもが魅力を発し、その場に活気をもたらし、売り子までをも陽気にさせる。」(『都市の鍼治療』P.88)
 ボケリア市場の魅力は、バルセロナのシンボルでもあるランブラス通り沿いにあることだろう。市場はどの都市でも迷惑施設的に、都市の周縁部に追いやられる。日本でも多くの市場は、都市が拡大して市場が立地していた場所が周縁部でなくなると、さらなる周縁部に追いやられるという歴史を繰り返してきた。そのような中、バルセロナは都心の心臓部に今でも立地し続けている。そして、ボケリア市場だけでなく、パイクス・プレイス・マーケット(シアトル)、バロー・マーケット(ロンドン)、ユニオン・スクエア・マーケット(ニューヨーク)、そして築地市場など最近、脚光を浴びて多くの観光客を集客している市場は、すべて都心部にある。そして、2013年2月にCNNが発表した「生鮮市場の世界ベスト10」ランキングでは、ボケリア市場は二位の東京の築地市場を押さえて一位であった。レルネル氏は同書で、市場の魅力をショッピング・モールと対比させて次のように述べている。
「我々は皆、ほとんど同じようなものばかり見させられることに嫌気がさしている。ショッピング・モールは我々を都心から遠ざけさせる。しかし、そのショッピング・モールはどこも同じようなもので、自分がどの都市にいるのかも分からない。ショッピング・モールとは違い、市場はいつでもその都市のランドマークであり象徴であった。」(『都市の鍼治療』P.89)
 バルセロナの都市の魅力を構成しているのは、ランブラスや王の広場、グエル公園やウォーターフロント、カタルーニャ音楽堂、そして、このボケリア市場といった公共空間である。そして、それらがほどよいヒューマン・スケールでコンパクトに都市内に収まっている。バルセロナは世界でも最も「都市の鍼治療」的なプログラムが多い都市の一つであり、レルネル氏の『都市の鍼治療』においても多くのページがバルセロナで割かれている。その中でもこのボケリア市場は、バルセロナという都市のエッセンスが集約したようなカラフルで多様、そして活力があって、人々が交歓し合っている素場らしい空間である。そこでは、バルセロナを訪れる観光客でさえ、受け入れてくれる寛容性をも有している。

類似事例:

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214 ヴィクトアーリエンマルクト
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