153 フェスケショルカ(スウェーデン王国)

153 フェスケショルカ

153 フェスケショルカ
153 フェスケショルカ
153 フェスケショルカ

153 フェスケショルカ
153 フェスケショルカ
153 フェスケショルカ

ストーリー:

 フェスケショルカはイエテボリ市の建築家ヴィクター・フォン・ゲゲアフェルトによって設計された魚市場である。彼は、ゴシック教会建築に着想を得て、柱のない大空間の屋内市場をつくることにした。フェスケショルカというのは、そのまま訳すと「魚教会」という意味になるが、これは、このゴシック教会のようなつくりから得られた名前である。1874年に開設される。しばらくは、ここで競りも行われていたが、それは1910年にMajnabbe(マインナベ)で行われるようになり、それ以降、ここでは魚の卸し市場として機能している。
 フェスケショルカはイエテボリ市の施設であると同時に、同市の観光資源にもなっている。規模はそれほど大きくはないが、現在は4軒の魚売りと建物の両端には魚料理のレストランが開業している。
 フェスケショルカは、その機能だけでなく、その特徴的な建物の形態からイエテボリ市の重要なランドマークとして位置づけられている。運河のほとりにあるフェスケショルカは対岸からだと、その名前の通り、あたかも教会のように見える。魚市場としては、日本人のように魚を多く食する国民からすると、スウェーデンで最も大きな魚市場と言われても、その規模の小ささにむしろ驚くであろう。しかし、その外観のユニークさもさることながら、大聖堂のように、柱のない広大なる屋内空間は、当時の人々にとっては驚きであっただろうが、現在においても訪れるものに強いインパクトを与える。
 魚市場という極めて生活的な都市機能に、その都市のアイデンティティになるような意匠的にインパクトのある建築をつくったことによって、その施設に特別な意味をもたらすことに成功した。

キーワード:

市場, パブリック・プレイス, 都市アイデンティティ

フェスケショルカの基本情報:

  • 国/地域:スウェーデン王国
  • 州/県:ヴェストラ・イェータランド県
  • 市町村:イエテボリ市
  • 事業主体:イエテボリ市
  • 事業主体の分類:自治体 
  • デザイナー、プランナー:Victor von Gegerfelt
  • 開業年:1874年

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

『都市の鍼治療』の「市場と祭り」という章にて、ジャイメ・レルネル氏は次のように書いている。
「市場になぜ多くの人々が引き付けられるのだろう。その理由は多く挙げられてきている。人々は人を見たいからである。市場は都市と同じくらい歴史があるからである。人々は他の人が同じようなことをしていることを見るのが好きなのである。人々は食べ物を見るのが好きなのである。人々は食べ物が調理され、用意されるのを見るのが好きなのである。
 都市が近代化され、グローバル化されることによって、過剰包装されたり、予め調理されたりしているもの、包装されているもの、工場で生産されたような規格品を買わされている。自然な状態で我々は商品をめったに見ることがない。したがって、我々は野菜、果物、肉、魚をそのままの状態で見ることに非常に引きつけられるのである。」
 この文章から分かるように、ジャイメ・レルネル氏は市場好きである。そして、市場をうまく都市の中で位置づけることで「都市の鍼治療」を見事に実践できるであろうと言う。彼が、その著書『都市の鍼治療』で紹介してきた市場としては、この「都市の鍼治療」のデータベースでも紹介させてもらったボケリア市場(http://www.hilife.or.jp/cities/?p=916)や築地市場、クリチバ公設市場、イスタンブールのグランド・バザールがあるが、このフェスケショルカもその一つである。彼はここを「とても美しい市場である」と述べている。
市場に第一に求められているのは、しっかりと物流拠点として機能することであるが、その市場に優れた建築的意匠を施すことで、それは都市を代表するランドマークになり、人々が愛着をもつ空間になることができる。市場をつくる都市が是非とも参考にして欲しい優れた「都市の鍼治療」事例であると考えられる。

類似事例:

005 パイク・プレース・マーケット
006 バロー・マーケット
073 ボケリア市場
151 オックスフォード・カバード・マーケット
172 ハッケシェ・ヘーフェの改修
192 ファニュエル・ホール・マーケットプレイス
214 ヴィクトアーリエンマルクト
・ ユニオン・スクエア・ファーマーズ・マーケット(ニューヨーク、アメリカ合衆国)
・ クリチバ公設市場(クリチバ、ブラジル)
・ サンパウロ公設市場(サンパウロ、ブラジル)
・ アルト・マルクト(デュッセルドルフ、ドイツ)
・ グランド・バザール(イスタンブール、トルコ)