ブルックリン・ブリッジ・パーク

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キーワード:

アメリカ合衆国, ウォーターフロント, 公共空間, 公園, 広場, 河川, 都市公園

鍼レベル:

ストーリー:

 ブルックリン・ブリッジ・パークはイースト・リバー沿いにある34ヘクタールの公園である。ここは、倉庫街を中心とした工業地区であり、ブルックリン・ブリッジの麓に位置しており、南北戦争時代の建築物であるエンパイア・ストア、タバコ倉庫の二つが現存していた。港湾局が地主のこの地区は、港のコンテナ化に伴い用途を失っていた。その後、再開発の話がずっと出ていたのだが、なかなか進展しなかった。ところが2002年にニューヨーク市とニューヨーク州が協働して再開発に取り組むことを合意してから、一挙に加速した。その合意内容は、イースト・リバーのウォータフロントである、アトランティック・アベニューからジェイ・ストリートに挟まれた85エーカー(約34ヘクタール)、川沿い2キロメートルの長さの土地を、公園として計画、開発、運営するというものであった。そして、ワールド・トレード・センターの瓦礫を使った埋め立て事業を2008年から開始したのである。
 ブルックリン・ブリッジ・パークはブルックリン・ブリッジ・パーク会社およびブルックリン・ブリッジ・パーク保全組織によって管理されている。前者はNPO組織であり、その目的は「レクリエーション空間であると同時に、環境をしっかりと維持し、文化的拠点としての機能を果たしながら、ニューヨーク市民だけでなく、来街者も楽しめるような世界クラスの公園をつくり、維持すること」としている。後者は当地がブルックリンの活力ある公共空間としてのポテンシャルを十二分に発揮させることを目的とし、多くのイベント・プログラムを企画、実行している。
 開発にかかった3.6億ドル(約400億円)はニューヨーク市、ニューヨーク州、ニュージャージー州、ニューヨーク港湾公社によって一部、負担された。この公園は、その維持管理を自前で賄うという方針が打ち出され、公園の土地の一部に住宅、商業開発がなされ、そこからの収入によって維持管理費を捻出している。
 開発初期においては、ニューヨーク市の公園局内で、その設計等がなされたが、2004年Michael Van Valkenburgh がランドスケープ・アーキテクトとして採用され、彼の会社によって、ブルックリン・ブリッジ・パークの全体計画が策定された。この全体計画は2006年に議会を通り、公園の建設は2008年に始まり、2010年に開園した。
 現在、ブルックリン・ブリッジ・パークには、ウォーターフロント沿いのプロムナード、広々とした芝生、ちょっとした遊び場、ビーチ・バレー用の砂場、バスケットボール・コート、インライン・スケート・リンク、簡易プール、ビオトープ、軽食レストラン、1920年につくられたメリー・ゴーランドなどがある。
 また、ここではブルックリン・ブリッジ・パーク保全組織の企画、運営による無料の映画上映、カヤック体験、マラソン大会、ヒップホップ祭り、無料フィットネス・ジム、凧大会、プロ・バスケットボール・チームの公開練習など、数多くのイベントが開催されている。これらのプログラムに参加した人は延べ100万人を上回っている。
 ブルックリン・ブリッジ・パークは2011年に「ルディ・ブルナーの傑出した都市賞」の銀メダルを授与されている。

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 2002年にブルックリン橋を渡ったことがある。そのとき、ブルックリン側の橋の麓は薄汚れた倉庫群であり、対岸のマンハッタンに比べると随分と貧相な場所であるという印象を覚えた。橋を降りて、周辺を歩いたりもしたが、人通りも少なく、治安も悪いように感じた。
 それから17年後の2019年にブルックリン橋をマンハッタンからブルックリンへ渡ると、ブルックリン側のウォーターフロントは緑に溢れており、小洒落た店舗が入っている商業ビルや洗練された集合住宅が立地している。17年前とはまったく異なる景観がそこには展開しているのである。
 この大きな変革をもたらしたキーパーソンは、この地区にあった倉庫群を20世紀後半から購入し始めた一人のデベロッパーである。このデベロッパー、デイビッド・ワレンタス氏はこの地区を変貌させる一大構想を有しており、ここに商業テナントが入る商業施設や高所得者向けの集合住宅などをつくり、この地区のイメージを一新させることに成功する。そして、現在、この地区はダンボ(DUMBO)の名称で人々に親しまれている。ダンボとはDown Under the Manhattan Bridge Overpass (マンハッタン橋の高架橋の下)の頭文字を取った呼び名である。
 このダンボ地区の北側に隣接してつくられたのが、ブルックリン・ブリッジ・パークである。ダンボ地区との相乗効果で、この一帯の地区のイメージを刷新することに成功し、衰退した工業地区を見事に情報化時代の21世紀の魅力的なウォーターフロントへと変貌させた。
 ブルックリン・ブリッジ・パークはイースト・リバーのウォーターフロントとそこから緩やかに傾斜している坂につくられており、そこからのマンハッタンのスカイラインの景色は、まさに絶景である。私が訪れた日は5月末の週末であったこともあり、多くの人がこの公園を訪れ、思い思いの憩いの時間を過ごしていた。
 もう一点、この公園の特徴は、その維持管理費用をニューヨーク市ではなく、自前で稼ぎ出していることである。一部の土地を住宅、オフィス、商業用途として開発することで、その開発から得られた利益によって公園の整備をするというスキームを考案したのである。
 このようなアプローチは公共空間のマネジメントという観点からは、いろいろと物議を醸すし、問題もある。ただ、お金がない中、住民達が公園を欲していた、そのニーズに答えるための苦肉の策であったとも考えられる。

【参考資料】
ブルックリン・ブリッジ・パークのホームページ(https://www.brooklynbridgepark.org)
取材:レジナ・マイヤー(ダウンタウン・ブルックリン・パートナーシップ)

事業主体:

The Brooklyn Bridge Park Corporation (ブルックリン・ブリッジ・パーク会社), Brooklyn Bridge Park Conservancy (ブルックリン・ブリッジ・パーク保全組織)

事業主体の分類:

自治体, 市民団体

デザイナー、プランナー:

Michael Van Valkenburgh Associates, Inc.

開業年:

2010年

類似事例:

・ パイオニア・スクエア、シアトル(ワシントン州、アメリカ合衆国)
168 アンドレ・シトロエン公園、パリ市(フランス)
044 フィニックス・ゼー、ドルトムント市(ドイツ)
110 バリグイ公園、クリチバ市(ブラジル)
098 あさひかわ北彩都ガーデン、旭川市(北海道)
・ ラビレット公園、パリ市(フランス)
・ ベルシー公園、パリ市(フランス)
・ ベルヴィル公園、パリ市(フランス)
・ ハンブルグ・ハーフェン、ハンブルグ市(ドイツ)
・ ジョルジュ・ブラッスンス公園、パリ市(フランス)
・ グエル公園、バルセロナ市(スペイン)
・ ラベット・パーク、ライプツィヒ市(ドイツ)
045 ユルバ・ブエナ・ガーデンス・エスプラナーデ、サンフランシスコ市(カリフォルニア州、アメリカ合衆国)

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国:アメリカ合衆国
州・県:ニューヨーク州
市町村:ニューヨーク市