まちを作ること、人を育てること 全編

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まちを作ること、人を育てること 北本市の概要

◇ 北本市の概要

 北本市は、上野からJR高崎線で45分ほどの場所にある、埼玉県中央部のまちです。昭和46年に県内33番目の市として誕生しました。市の中央部を国道17号やJR高崎線が縦断し、これに沿って市街地が形成されています。さらに、その外側には緑豊かな田園地帯が広がり、西側には荒川が流れています。武蔵野の雑木林を今なお残している、魅力ある豊かな自然のあるまちです。JR高崎線・北本駅は、市内の唯一の鉄道駅です。

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北本の位置(編集局作成)

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まちを作ること、人を育てること 北本駅西口駅前広場改修計画の概要

編集局 添田昌志

駅前広場の現状と改修計画の概要

 現在の北本駅西口駅前広場は昭和50年に完成されたものである。当時、北本市の人口は増加が著しく、それに対応する交通インフラの整備として行われた。とは言え、当時の駅周辺は商店や住宅はなく、畑の中の広場という感じであったそうである。そこから35年あまりの時が経ち、施設の老朽化やバリアフリーへの配慮、交通量の増加、中心市街地活性化などの課題に対応するために、現在改修計画が進められている。改修計画案では、雨でも濡れずに歩けるようなシェルターの設置、交通機能を整理した機能的なレイアウト、多目的広場や植栽帯の設置など、様々な試みが提案されている。

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まちを作ること、人を育てること 北本らしい“顔”の駅前つくりプロジェクトの活動年表

北本らしい“顔”の駅前つくりプロジェクトの活動年表
<イベント開催日時、内容、ポスター>

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まちを作ること、人を育てること 貝島桃代氏インタビュー(1)

貝島桃代氏プロフィール

1991年 日本女子大学家政学部住居学科卒業
1992年 塚本由晴氏とアトリエ・ワン設立
1994年 東京工業大学大学院修士課程修了
2000年 東京工業大学大学院博士課程修了
2000-09年 筑波大学講師
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授

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インタビュー風景

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まちを作ること、人を育てること 貝島桃代氏インタビュー(2)

― 今回の改修計画では、具体的にはどのような取り組みをされてきたのでしょうか。

◇ 特に問題のない地域特性の中で
 このプロジェクトの話があった時に、ひとまず話し合いの場をつくることから始めなくてはと思いました。そこで、初年度には、月に1回市民参加のワークショップをして、広場のアイデア出しをしました。未来の駅前を構想するテーマでは、子供達から、駅前が動物園だったらというようなアイデアも出たのですが、緑豊かな特徴から、雑木林といったようなアイデアも出ました。ワークショップと並行して、市の特徴を探して、色々な調査もしました。その中で対象としたものの一つに雑木林があります。北本市でも市内の雑木林を買って資産としてちゃんと残していこうという方針もありました。なので、こういうことをもっと意識的にできないだろうかというので、今残っている雑木林の株を移植することを提案しました。そして、ワークショップを始めてちょうど半年経ったころ、まちの顔となる植栽帯や、イベントや市など市民活動のパフォーマンスの場として多目的広場、車での送迎用の停車帯、などいろいろ盛り込んだ案を、1度まとめました。それを近隣の自治会長の方などが入った検討会議そしてパブリックコメントで意見を求め修正していきました。
 こうしたまちづくりには、そこにはいろいろな人が参加してくれましたが、多いもので30〜50名ほどで、7万の人口からすればわずかでした。
 その理由を考えたとき、北本の豊かさにあるのかもしれないと思いました。埼玉は気候も厳しくありませんし、作物も取れる豊かなところで、中心市街地の空洞化、高齢化や人口減少など統計的におきているわずかながら起きていることは、まだ大きな、困るような問題になっていません。だから、まちづくりでワークショップを企画しても、地元の方も関心も危機感を持ちにくい。よそ者が、ただ、ああだこうだ言っているという反応も多かったのではないかと思います。

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ワークショップの様子

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北本駅西口駅前プロジェクトを通してまちづくりを発見する

編集局 川上正倫

■市民の利益とは何かを考える
 まちづくりにおける理想は、当たり前だが、市民の利益となる空間整備である。ところが、この「利益」の理解が非常に難しい。そこにどのような共通の目標を設定するためのアプローチこそがまちづくりの要だと考えている。今回の北本駅西口駅前広場の空間整備プロジェクトはまさしく、そのアプローチがユニークであり、それを構築するに至った経緯に非常に興味をもった。

 今回その構築を主導している貝島さんに、北本駅前広場プロジェクトを中心にまちづくりへの関わり方を聞くことができた。まずは、貝島さん自身の、大学の研究者であるという立場、教員という学生を指導する立場、建築アトリエの主宰者としての設計者の立場、という3つの立場を様々な意味で柔軟に統合する熱意が一番印象に残った。3つの立場を使い分けるというより、3つの立場を併せ持つキメラ的な状況を最大限利用し、通常では得がたい専門家のコミュニティや学生のエネルギーの投入を可能としてプロジェクトを進行させる。研究者としての分析的視点による「観察」によって独自の「発見」につなげ、その「発見」をもとに建築家として提案的「定着」を図る。また、各立場においてプロジェクトを説明し、協力を仰ぎながらそれを統括するという点でも、建築家の立場が発揮されている。

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