マイナスをプラスに変えること 全編

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マイナスをプラスに変えること 黄金町の概要

黄金町のまちづくり経緯
 
 黄金町とは、京浜急行本線で横浜より三駅目の「黄金町」駅と、手前の二駅目「日ノ出町」駅との間、大岡川沿いの地域を指します。黄金町の駅舎自体は横浜市南区に位置しますが、まちの呼び名としての「黄金町」は、大部分が横浜市中区に属します。

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黄金町の位置(編集局作成)

 伊勢佐木町は目と鼻の先、ピカピカのみなとみらい地区も近いにもかかわらず、外から見たこのまちには独特の匂いがあります。「黄金町に住んでいる」と告げると「えっ?」と驚かれ、心なしか眉をひそめられるようなまち。

 独特の匂いの理由は、このまちの歴史を知ればわかります。

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マイナスをプラスに変えること 山野真悟氏インタビュー(1)

山野真悟氏プロフィール
黄金町バザール ディレクター
NPO法人 黄金町エリアマネジメントセンター 事務局長
山野真悟事務所主宰

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1950年福岡県生まれ。
1971年美学校銅版画教場卒。1970年代より福岡を拠点に美術作家として活動。
1979年IAF芸術研究室設立。
1990年より街を使った美術展「ミュージアム・シティ・天神」をプロデュース。その後も「まちとアート」をテーマに、アート企画、ワークショップ等を多数手がける。
2004年~(財)福岡市文化芸術振興財団「ギャラリーアートリエ」の企画運営を行う。
2005年「横浜トリエンナーレ2005」ではキュレーターを務めた。

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マイナスをプラスに変えること 山野真悟氏インタビュー(2)

‐この黄金町という場所で、アートをやるといったときに、周りの反応はどうだったのでしょうか?おもしろそうだ、と受け入れられたのでしょうか?

◇地元は「とんでもない」と
 最初は「とんでもない」という感じでした。アートと街の再生がどうやってつながっていくのか、どこで結びつきがあるのか、それがわからないと言われました。「アートって、よくわからないアレでしょ? よくわからない人が来るんでしょ?」という反応です。さらに、「アーティストって貧乏でしょ? 貧乏な人が集まって、どうして経済的な活性化になるの?」など、ありとあらゆる面から半信半疑状態でした。それが最初の反応です。
 結局、「ああ、こういうことだったのか」とわかってもらえたのは、バザールがオープンしてからです。現実の場所に色々とものを起こして、やっと納得してもらえました。
 そして、一番の成果は、それで人が来てしまった、ということです。もちろん、トリエンナーレの効果もあります。単独だったらそんなに人を呼べていなかった。トリエンナーレに来た人たちが、こちらまで流れてきていたんです。特に休みの日など、人がぞろぞろとまちを歩いているという、ここ数年間ありえなかった光景が目の前にあって、驚かれました。

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マイナスをプラスに変えること 山野真悟氏インタビュー(3)

―黄金町付近の空き店舗の契約形態や運営管理の現状、今後の課題について教えてください。

◇空き店舗の活用例を100軒まで増やしたい
 かつての違法飲食店の空き店舗にNPOが関わる場合、一番多いパターンは、横浜市が所有者から3年くらいの契約で借り上げ、その管理運営をNPOに委託するというケースです。そしてNPOから、アーティストや店をやりたいという人たちに貸し出しをします。7~8割は1ヶ月や1週間の単位での短期貸し出しですね。また、高架下の建物が現在2ヶ所ありますけど、これは京浜急行が建てて、それを市が借り、NPOが管理しています。日ノ出スタジオと黄金スタジオです。

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写真左:日ノ出スタジオ、写真右:黄金スタジオ

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マイナスをプラスに変えること 山野真悟氏インタビュー(4)

-「黄金町バザール」などの活動に対する地元住民からの反応、意識の変化はどのようなものでしょうか?

◇10年まちづくり―最後の鍵は地域の意識が変わること
 いつも言うことですが、100パーセント賛成してもらえる活動は、まずあり得ません。では目安は何かというと、賛同してくれる人が増えているかどうか、です。そういう意味で言うと、徐々に増えているという感触があります。今まで距離の遠かった人たちが、近づいてきています。
 最初は距離の遠かった人たちが近づくきっかけとして一番大きいのは、黄金町バザールのサポーターをやってみて、街に来た人たちの反応を見ることです。また、バザールのことが新聞などのメディアに出て、自分たちのまちが外からどう見られているかを、第三者から言われます。そういう機会がどんどん増えていくわけです。
するとどうしても、自分たちのまちが今どういう状況にあって、NPOがどういう活動をしているかを認識していきます。そういうことでも意識が変わっていきますよね。

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