丸の内の価値をはかる(4)街の軸-2

■新しい軸を人々に認知させるということ
歴史的には存在しなかった、もしくは、通用路的な位置付けにあった通りを、新しいメインストリートとして広く認知させることは容易ではない。ここでは、以下に示す複数の手法を駆使しているのだが、それらはどれも多大なコストのかかることである。しかし、それをやってのけることが三菱の力なのだろう。
・手法1:イベントの開催=東京ミレナリオ
・手法2:商業の誘導(ブランドショップ)
・手法3:街路空間の一体的整備(街路樹、ペーブメント、ストリートファニチャー、看板規制、交通規制)
・手法4:情報発信(仲通りHP、ガイドブック)
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東京ミレナリオ:1999年から2005年まで、7回に渡って行われた。メディアにも大きく取り上げられ、累計1770万人が訪れた。丸の内仲通りの存在を世に知らしめた効果は計り知れない。


■徹底した空間整備
仲通りは上記のような、イベントや情報発信によって、通りの存在をまずメディアを通じて人々に認識させる手法をとっている。メディア先行型であると言えるが、大切なのは、そのようなメディアを見て、実際にその場所を訪れた人に、ここがその「特別な場所」ですよと、直感的に分からせることである。そのために、徹底した空間のデザインコントロールが行われている。
例えば、看板・標識の類は完全にコントロールされ、袖看板は一切排除されている。このことは、景観的には非常にすっきりとした落ち着いた雰囲気を醸し出すが、お店を探すという情報探索の観点からは非常に不利である。店の前まで行かない限りは、それが何の店か分からないからだ。効率よくたどり着くためには、事前の情報探索や地図などが不可欠で、そういう意味では、冷やかしのお客はお断りし、店としてのブランド性、ステータスを高めているということなのかもしれない。
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通りの端から端までデザインが統一されたペーブメントと街路樹。袖看板のない景色。
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多様で豊富なストリートファニチャーとアート
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12:00~13:00は歩行者天国になる
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袖看板が表れると、そこは丸の内ではなくなったという証し
(添田昌志)