豊洲の価値をはかる(4)街のスタイル-2

■評価3―何のための歩道?
 人が過ごすための場となっている表参道の歩道や、通路としての機能に徹している秋葉原の歩道を見た目で豊洲の歩道を見ると、なんとも中途半端である。とりあえず自動車用道路は何車線も確保した。歩道もゆったり取らねばバランスが悪い、車にやさしいなら人にも、といった風情だ。休日ともなれば、歩道を多くの人が行き交うのか。通路として、朝夕に駅やバス停に通う人の流れと、昼間や休日に商業施設に行く人の流れくらいか。しかも、歩いても別に楽しく感じないのっぺりした作りなのだから。
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左:写真を撮っている歩道を後方に進めば、ららぽーとがある。街路樹だけはたっぷりと植えられている。この街路樹が大きくなれば、それなりに立派な景観にはなるだろうが‥‥
右:さすがに、いたるところにガイドマップがあって、だいたい迷わずに歩ける。しかし、普通の都市部の歩道の倍はある歩道

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歩いて楽しい商店街はどこに?と思ったら、ショッピングモールの中にあったのだった。いま流行のやり方とはいえ、街路の無機質さとシンクロする無機質な商店街。縁日のようなショップでさえ、嘘っぽさありあり。

■評価4-「島」の交通は課題
 住民が一気に増え、しかも「島」であることから、交通が将来の大問題になることはすぐわかる。自転車は、島のなかだけを回ることを想定しているのか。バスは、増やせるのか。地下鉄は、利用客をさばききれるのか。「足」は都市開発の際に齟齬が起きやすいが、どの程度の想定をしているのだろうか。
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左:とにかく自転車。エコないまどきの人が住んでいるためではないだろうが、たいへんな自転車の量だ。広大な歩道は、自転車の人が多いことを想定していたのか。
右:広大なバスターミナル。路線はこれから増やすことを想定しているのか。だだっぴろいだけでは、交通の便が使いやすくなるわけではないのだが。

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行き先を見ると、「ここは都心なんだ」と感じさせる。東京駅八重洲口行きと丸の内口行きもある。乗ってみたら、八重洲口まで30分以上もかかってしまった。

(辰巳 渚)