豊洲の価値をはかる(1) 住民の使い勝手-1

 豊洲の隣街、東雲に2005年4月から住んでいる。職場まで東京メトロ有楽町線で1本という交通の便を考えて、豊洲を最寄り駅に選んだ。ここでは、住まい手の視点から、豊洲について“まちの使い勝手”を見る。

■都心部からは10分だが、江東区内の移動は不便

 豊洲地区に住居を移す動機のひとつは都心からのアクセスの良さ。実際、東京メトロ有楽町線を使えば、有楽町駅から7分で豊洲駅までたどり着く。ほかの主要駅までは東京駅が15分、品川駅が20分、渋谷駅と新宿駅が25分、池袋駅でも30分で行ける。乗り換えの回数が多くても1回で済むのは便利だ。
 都心からの距離的な近さのイメージと比べると、実は終電車の時間が思いのほか早い。夜遅くまで仕事をしたり、繁華街で飲み歩いたりすることが多い人には不便だ。前出の主要駅からはそれぞれ24時には電車に乗って出発しなければならない。
 とはいっても、有楽町駅から豊洲は、タクシーの深夜料金が2000円もかからない距離にある。JR山手線は1時近くまで運行しているので、現実的には主要駅を24時30分くらいに出発して、有楽町駅からタクシーで帰宅というケースも多い。
  一方、同じ江東区内への移動はそれほど便が良くない。江東区や江戸川区といった東京都東部地区では、JR・総武線や東京メトロ・東西線、都営地下鉄・新宿線など東西に走る電車は多いが、南北を走る電車はほとんど無いからだ。例えば錦糸町や門前仲町といった区内の繁華街へは、電車を3本乗り継がなければならない。そのため、時間はかかるが都バスを使うことが多くなる。豊洲での生活を充実させるには都バスの活用が欠かせないが、複雑な路線図や所要時間などを把握するのは一苦労だ。
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バス乗り場はゆったりと作られているのだが、どのバスに乗ったらいいのか、どのぐらい時間がかかるのか、どういうルートで行くのかといった情報が乏しく、使いにくい。

(森下慎一)
1999年東京工業大学大学院修士課程修了
現在、出版社記者