ギラデリ・スクエアはサンフランシスコの北部にあるフィッシャーマンズ・ワーフ地区にある、歴史的建造物であるチョコレート工場を再利用した商業施設である。スペシャリティ・ショップとレストランがテナントとして入り、スクエアからエンジェル島などのサンフランシスコ湾の美しい景色を望めることができる。サンフランシスコのウォーターフロントの歴史、そしてアイデンティティを体現するウォーターフロントのランドマークとして隣接するキャナリー・ワーフとともに重要な役割を担っている。そして、この施設はアメリカでも工場等の建物を商業施設として再利用した最初の事例でもあるのだ。
1893年にドミンゴ・ギラデリはギラデリ・チョコレート工場を現在、ギラデリ・スクエアのある場所に設置した。1916年から、この地でチョコレートを製造して、夜になるとサンフランシスコ湾からギラデリという大きな文字が燦然と輝いているのを見ることができた。しかし、1960年にチョコレート事業をギラデリー・ファミリーは手放してしまい、工場も移転することになり、その跡地は売りにだされることになった。この跡地にアパートがつくられることを懸念して、地元の商業界の重鎮であったウィリアム・ロスがこの土地を購入する。ロスは、ランドスケープ・アーキテクトのローレンス・ハルプリン、そしてウースター・バーナルディ・エモンズに、歴史的な煉瓦づくりの建物と広場を保全しつつレストランを含む商業施設へと転用するデザインをすることを依頼した。
ギラデリ・スクエアは1964年12月に開業する。夜景のランドマークであったギラデリのサインが、再びサンフランシスコ湾に点灯するようになったのである。1965年には大時計のある建物の一階部分を、後にファニュエルホール・マーケットプレイスで一世を風靡するベンジャミン・トンプソンがリノベーションする。ここは現在ではギラデリ・チョコレートの店舗が入っており、多くの観光客が訪れる観光スポットになっている。1982年にはギラデリ・スクエアは国の歴史的施設に指定された。
027 ギラデリ・スクエア(アメリカ合衆国)







ギラデリ・スクエアはサンフランシスコの北部にあるフィッシャーマンズ・ワーフ地区にある、歴史的建造物であるチョコレート工場を再利用した商業施設である。サンフランシスコのウォーターフロントの歴史、そしてアイデンティティを体現するウォーターフロントのランドマークとして隣接するキャナリー・ワーフとともに重要な役割を担っている。そして、この施設はアメリカでも工場等の建物を商業施設として再利用した最初の事例でもあるのだ。
ギラデリ・スクエアの基本情報
- 国/地域
- アメリカ合衆国
- 州/県
- カリフォルニア州
- 市町村
- サンフランシスコ市
- 事業主体
- ウィリアム・ロス
- 事業主体の分類
- 準公共団体 市民団体
- デザイナー、プランナー
- ローレンス・ハルプリン、ウースター・バーナルディ・エモンズ、ベンジャミン・トンプソン
- 開業年
- 1964
ストーリー
地図
都市の鍼治療としてのポイント
ギラデリ・スクエアの再開発は、サンフランシスコ市民が愛するランドマークを保全することに成功しただけでなく、デベロッパーとしてのビジネスとしても大成功を納め、さらに観光地としても人気の場所となり、その後時代を席巻した「フェスティバル・マーケット」の嚆矢となる。ギラデリ・スクエアの成功は、その後、多くのフェスティバル・マーケットを手がけるベンジャミン・トンプソンが売れっ子になった一つのきっかけでもあった。
ギラデリ・スクエアからみるサンフランシスコ湾は絶景である。ここのパーラーで食べるチョコレート・パフェもなかなかのお勧めである。しかも、サンフランシスコ観光名物のケーブル・カーのターミナルまである。レストランも他の都市のフェスティバル・マーケットに入っているものに比べるとはるかに上等である。
ランドスケープのデザインは、カリフォルニアが誇るローレンス・ハルプリンが手がけている。同じ様なウォーターフロントの観光施設であるピア39を嫌うサンフランシスカンは枚挙に遑がないが、ギラデリ・スクエアを嫌うものは少ない。それは、これが商業施設であるにも関わらず、地域の歴史と風土を反映させたものであり、人々の愛着を長年蓄積し続けてきたものであるからだろう。観光スポットであるけれど、ここを本心から嫌うのは難しい。地元民も足を運ばなくても、ここには懐かしさを感じているはずである。工業からサービス産業へとシフトしていく中、サンフランシスコのウォーターフロントの貴重な土地を見事に転用することに成功した「都市の鍼治療」である。
ギラデリ・スクエアからみるサンフランシスコ湾は絶景である。ここのパーラーで食べるチョコレート・パフェもなかなかのお勧めである。しかも、サンフランシスコ観光名物のケーブル・カーのターミナルまである。レストランも他の都市のフェスティバル・マーケットに入っているものに比べるとはるかに上等である。
ランドスケープのデザインは、カリフォルニアが誇るローレンス・ハルプリンが手がけている。同じ様なウォーターフロントの観光施設であるピア39を嫌うサンフランシスカンは枚挙に遑がないが、ギラデリ・スクエアを嫌うものは少ない。それは、これが商業施設であるにも関わらず、地域の歴史と風土を反映させたものであり、人々の愛着を長年蓄積し続けてきたものであるからだろう。観光スポットであるけれど、ここを本心から嫌うのは難しい。地元民も足を運ばなくても、ここには懐かしさを感じているはずである。工業からサービス産業へとシフトしていく中、サンフランシスコのウォーターフロントの貴重な土地を見事に転用することに成功した「都市の鍼治療」である。
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