銀座デザインルールとは?

編集局作成

 銀座デザイン協議会において、主に新築建物と工作物のデザインのチェックを行う上での判断基準を取りまとめたもの。銀座の人たちがめざそうとする「銀座らしさ」を、事業者と共有するためのツールである。

◇行政との連動、地元主導のまちづくり
 銀座街づくり会議では、2005年より、中央区とともに、地区計画「銀座ルール」(1998年制定)の見直しを開始し、数値で決められないデザインや色については、事業者と地元が事前協議する仕組みをつくった。2006年11月以降、銀座では中央区市街地開発事業要綱に基づき、区が事業者と開発案について協議する前に、新築または改築される建築物、および、屋上工作物等(敷地面積100㎡以上、および確認申請を行う工作物)については銀座デザイン協議会に届出が必要となった。

◇あえて定量化しない基準
銀座デザイン協議会では、届出された建築物または工作物が「銀座らしさ」を損うと判断した場合には、事業者に意見を述べ、デザインの変更を求めることもあったが、その判断基準となる「銀座らしさ」とは何かが問題となっていた。高さや容積率など、数値で決められているものもあるが、色や形、デザインの質を予め文章や数値で決めてしまうことは難しく、銀座らしさを定義することは容易ではない。また、安易に文章化や数値化すると、銀座らしさの大切な要素である先進性を自ら規制することにもなりかねない。
そこで、銀座街づくり会議では、これまでのまちづくりの経緯や銀座を考えるためのキーコンセプトや通りや地区の特徴と課題を明らかにし、銀座らしさについては、事業者の方が銀座らしい建物をつくるためのヒント、あるいは協議する上での判断基準を提案した「銀座デザインルール」という冊子を作った。その目的は、年月をかけて徐々に築かれてきた銀座のまち並みを尊重し、まち全体の空間の質の向上をめざそうとすることにある。

◇新陳代謝するルール
 このルールは、銀座のまちの姿がなだらかに継承されることに主眼を置くと同時に、創造的なデザインによってまちが変容していくことも大切であると考えてつくられている。したがって、決めごとは最小限に留め、いわゆるデザインガイドラインとして期待されるような禁止事項や、色の規定、看板の大きさ規定などは記載されていない。つまり、ルールそのものは完成形ではなく、様々な意見、具体的な協議の経験を踏まえて更新し、成熟させていくものと考えられているものである。

design_rule.jpg


<参考文献>
銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会「銀座デザインルール ver.1」、全銀座会・銀座通連合会、2008年2月
銀座都市計画会議(銀座通連合会・文化科学高等研究院)「銀座まちづくりヴィジョン」、銀座通連合会、1999年11月
銀座街づくり会議「NEWS LETER」No.50、2008年3月
竹沢えり子「決めないことを決めた銀座デザインルール」、『季刊まちづくり』19号、2008年6月
竹沢えり子「「銀座らしさ」の継承と創造:銀座デザイン協議会が提起するもの」、『日本不動産学会誌』第22巻第3号、2008年12月