ダイナミック・アース(Our Dynamic Earth)

ダイナミック・アース(Our Dynamic Earth)1

ダイナミック・アース(Our Dynamic Earth)2
ダイナミック・アース(Our Dynamic Earth)3
ダイナミック・アース(Our Dynamic Earth)4
ダイナミック・アース(Our Dynamic Earth)5
ダイナミック・アース(Our Dynamic Earth)6
ダイナミック・アース(Our Dynamic Earth)7


キーワード:

スコットランド ,博物館 ,教育施設 ,鍼レベル 中 ,集客施設

ストーリー:

 エジンバラの丘の中腹に1999年に建設されたダイナミック・アース。これは、スコットランド唯一のミレニアム・プロジェクトであり、地球とその環境に関しての展示が為されている地球環境教育施設である。
 地球の資源が有限であること、環境に配慮しないで活動することによって、必ずしっぺ返しが来ることを、強制的ではなく自らの思考の結果として得られるような見事な展示構成がなされている。ビッグバン、生命の誕生、プレートテクトニクス、氷河といったテーマでの展示がされ、来館者は地球科学について理解することができる。特に、最後の展示では、釣鐘状のドームの中で、人類が地球の環境にまで影響を与える力を有してしまい、その力の使い方によっては地球環境に相当ダメージを与えてしまうことを、ドーム全体の360度のスクリーンに映し出される映像で、我々に語りかける。このダイナミック・アース内には教室も併設されており、小学校の授業をここで行うことができる。ダイナミック・アースで知的好奇心を刺激されるために、生徒達はここでの授業は普通のそれに比べて、はるかに熱心に取り組むそうである。ダイナミック・アースの展示は小学校のカリキュラムをも意識したものとなっているため、その相乗効果は高いそうである。わくわくと知的好奇心を刺激し、地球環境の知識を習得させたあと、しんみりと環境問題への意識を向上させる、見事な仕組みである。
 同施設はエジンバラのメイン・ストリートであるロイヤル・マイルの終点に位置していたビール工場跡地につくられた。鉄骨のマストによる吊り屋根構造の印象的な建築は、イギリスの建築家マイケル・ホプキンスによって設計された。この建築は、ビール工場時代の壁も保全して使われている。同施設の前庭は、広場としても使えることができ、時折、野外パフォーマンスの舞台としても活用される。敷地面積は1.5ヘクタールで、建設費は1350万ポンド。
 ダイナミック・アースは、ダイナミック・アース・エンタープライズが運営・管理している。これは、ダイナミック・アース慈善受託団体(charitable trust)の関連組織である。非営利の方針で運営しているため、利益を取らない入場料設定をしていることもあり、これまでに400万人が同施設を訪れている(出典:ダイナミック・アースのHP)。

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 なぜ、世界遺産都市であるエジンバラにこのような施設をつくったのかというと、エジンバラは近代地質学の父であるジェームス・ハットンがまさにこの場所で研究をしていたからだそうである。スコットランドの首都であるエジンバラは、世界遺産都市であり、またイギリスでもロンドンに次いで観光客が多い屈指の観光都市でもある。そして、多くの天才達を生み出している。電話を発明したアレクサンダー・グラハム・ベル、「見えない手」で知られる経済学者アダム・スミス、古典電気磁気学を確立したジェームズ・マクスウェル、シャーロック・ホームズの産みの親であるアーサー・コナン・ドイル、『宝島』の作者であるロバート・ルイス・スティーブンソン、哲学者であるディビッド・ヒュームなどである。
 これらの天才をネタとして都市の「鍼治療」に使うのは、極めて有効であり、ジャイメ・レルネル氏もそれを奨励している。ただ、この事例で興味深いのは、ここで挙げた多くの人が知るスーパースター的な天才ではなく、ちょっといぶし銀的な人物を使ったことである。それは、天才達を使って都市を浮揚させるというアプローチではなく、都市の知名度、ブランドを活かして、エジンバラのあまり知られていない側面をプロモーションするというアプローチであると思われる。そして、そのアプローチは環境問題という時宜に適ったテーマを選ぶと同時に、教育面での効果も意識をしていた。さらにエジンバラは地質学的にも大変興味深い都市である。市街地は二度の火山活動で噴出した玄武岩溶岩の上にあり、また街を見下ろすように建つ岩山は氷河に削り取られた後の残丘である。そのようなそれほど知られていないエジンバラの側面を、ダイナミック・アースは見事にアピールしている。このように同施設は、エジンバラという魅力溢れる都市のコンテンツの幅を広げ、かつ、その都市の多様性を知らしめることに寄与した素晴らしい「都市の鍼治療」的事例であると思われる。

事業主体:

Dynamic Earth Enterprises Ltd

事業主体の分類:

民間, 市民団体

デザイナー、プランナー:

Michael Hopkins & Partners

開業年:

1999年

類似事例:

・ グラスゴー・サイエンス・センター、グラスゴー(スコットランド)
・ フェーノ・サイエンス・センター、ヴォルフスブルグ(ドイツ)
109 オスカー・ニーマイヤー博物館、クリチバ(ブラジル)
106 国立映画博物館、トリノ(イタリア)
033 ジェノサイド・メモリアル、キガリ(ルワンダ)
・ ユダヤ博物館、ベルリン(ドイツ)
027 ギラデリー・スクエア、サンフランシスコ(カリフォルニア州、アメリカ合衆国)

このページのトップに戻る


ハイライフ研究所のメールマガジン
公益財団法人ハイライフ研究所のウェブページにアクセスくださりありがとうございます。
ハイライフ研究所では新しい報告書や連載記事、無料セミナーのご案内を毎月2回メールマガジンにて配信しております。ぜひ購読をご検討ください。無料お申し込みはこちらから。

国:スコットランド
州・県:ロージアン州
市町村:エジンバラ市