エスプラナーデはヘルシンキの中心、フェリー乗り場とスウェーデン劇場とを結ぶ場所に位置する回廊状の公園である。その両側にはノース・エスプラナーデ、サウス・エスプラナーデという名前の一方通行の道路が走っている。ヘルシンキの住民は、この公園を「エスパ」と呼び、親しんでいる。その面積は1.75ヘクタールと決して広くはないが、その長細い形状が実際より、広いイメージを与える。フィンランドでおそらく最も有名な公園であると指摘されている。
夏にはここは格好のピクニックの場所を提供し、多くの生演奏やパフォーマンスが披露される。エスプラナーデは緑の回廊をつくることを意識してデザインされたが、それはまた火災の延焼を防ぐことをも意図していた。街路樹は直線に植樹され、花壇などもフランス庭園から影響を受けた幾何学状に配置されている。この公園のランドスケープ・デザインを担当したスワンテ・オルソンは、ヘルシンキ市の最初の市役所職員としての庭師であり、そういった点からも、エスプラナーデは特別な公園として位置づけられている。1998年には大幅な改修が行われるが、それを担当したランドスケープ・アーキテクトはリーナ・リーザキラ(Leena Lisakkila)である。
園内の施設としては、カッペリ・レストラン、メーヴェンピック・カフェ、テアッテリ・レストラン、4つのキオスク、そして2つの公衆便所がある。カッペリ・レストランはヘルシンキで最も歴史あるレストランでもある。それは1867年にハンパス・ダールシュトロームによって設計された。カッペリ・レストランの前にあるエスパ劇場では、毎年5月から8月まで音楽祭が開催されている。この音楽祭はヘルシンキ市役所の文化局が企画をしている。
この公園内には幾つかの銅像が置かれているが、最も目を惹く中央に置かれているのがフィンランドの国歌を作詞した、同国を代表する詩人、ヨハン・ルネベルグのものである。その銅像の周りは美しい花壇で囲まれている。この銅像は、またヘルシンキで最初に設置された公共記念像であり、1885年にこの公園に置かれた。
また、園内には4つのキオスクがあるが、それらは皆、1900年前後につくられている。夏の日に多くの人が腰掛けているベンチは1998年の改修時に新たにデザインされたものである。その他にはゴミ箱、そして街灯も新たにリデザインされた。ヘルシンキという歴史の浅い都市のアイデンティティを発現させる、同都市にとって極めて重要な公共空間である。
105 エスプラナーデ公園 (フィンランド共和国)







エスプラナーデはヘルシンキの中心、フェリー乗り場とスウェーデン劇場とを結ぶ場所に位置する回廊状の公園である。ヘルシンキの住民は、この公園を「エスパ」と呼び、親しんでいる。決して広くはないが、フィンランドでおそらく最も有名な公園であると指摘されている。
エスプラナーデ公園 の基本情報
- 国/地域
- フィンランド共和国
- 州/県
- ウウシマー
- 市町村
- ヘルシンキ
- 事業主体
- アレキサンダー帝政ロシア皇帝
- 事業主体の分類
- 国
- デザイナー、プランナー
- 建築:カール・ルードヴィッヘ・エンゲル(Carl Ludvig Engel)、園芸:スワンテ・オルソン(Svante Olsson)、リーナ・リーザキラ(Leena Lisakkila)
- 開業年
- 1812年(改修:1998年)
ストーリー
地図
都市の鍼治療としてのポイント
夏のエスプラナーデは人で溢れている。北欧の短い夏を貪欲に楽しもうとしているのか、人口に比して土地は広大であるにも関わらず、この狭い公園に多くの人が集まってくるのである。エスプラナーデは都市公園が必要とするもののほぼ全てが揃っている。
そこでは緑に触れる安らぎを得ることができ、芝生の上で寝そべったり、ベンチで休んだり、レストランやカフェなどで憩いを取ることもできる。銅像が多く設置されているので、ちょっとした芸術鑑賞もすることができれば、パフォーマーによる音楽等を楽しむことができる。そして、何よりここは人々を観察し、また自分が観察されるという機会を提供してくれる。さらに、トイレなども充実しているので、そのような必要性が生じた場合にも慌てる必要はない。何より、この公園の設計もそうであるが、ヘルシンキという歴史の浅い都市において、それを都市たらしめるストーリーをこの公園は集積させ、展示している。まさに、そういった点において、この公園はヘルシンキでも最も重要な空間であると捉えても大げさではないであろう。
そのように考えると、エスプラナーデのように広場的かつ公共的なスペースとして機能している公園が存在していること自体が「都市の鍼治療」である。それは、その都市で生活する人々の様々の問題を、ここに来ることで解消させるような機能をも有しているのではないかとさえ思われる。ここには明日の活力を養い、生きる気力を高めさせ、またヘルシンキで暮らしていることを肯定的に思わせる魔法のような力さえ感じられるのである。
そこでは緑に触れる安らぎを得ることができ、芝生の上で寝そべったり、ベンチで休んだり、レストランやカフェなどで憩いを取ることもできる。銅像が多く設置されているので、ちょっとした芸術鑑賞もすることができれば、パフォーマーによる音楽等を楽しむことができる。そして、何よりここは人々を観察し、また自分が観察されるという機会を提供してくれる。さらに、トイレなども充実しているので、そのような必要性が生じた場合にも慌てる必要はない。何より、この公園の設計もそうであるが、ヘルシンキという歴史の浅い都市において、それを都市たらしめるストーリーをこの公園は集積させ、展示している。まさに、そういった点において、この公園はヘルシンキでも最も重要な空間であると捉えても大げさではないであろう。
そのように考えると、エスプラナーデのように広場的かつ公共的なスペースとして機能している公園が存在していること自体が「都市の鍼治療」である。それは、その都市で生活する人々の様々の問題を、ここに来ることで解消させるような機能をも有しているのではないかとさえ思われる。ここには明日の活力を養い、生きる気力を高めさせ、またヘルシンキで暮らしていることを肯定的に思わせる魔法のような力さえ感じられるのである。
類似事例
セントラル・パーク、デービス(カリフォルニア州、アメリカ合衆国)
植物園、クリチバ(パラナ州、ブラジル)
セントラル・パーク、ニューヨーク(ニューヨーク州、アメリカ合衆国)
ハイド・パーク、ロンドン(イギリス)
大通公園、札幌市(北海道)
新宿御苑、東京(東京都)
チャプルテプック公園、メキシコシティ(メキシコ)
ボストン・コモン、ボストン(マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)
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