010 ゴー・ゴー・ゴリラス(イングランド)

010 ゴー・ゴー・ゴリラス

010 ゴー・ゴー・ゴリラス
010 ゴー・ゴー・ゴリラス
010 ゴー・ゴー・ゴリラス

010 ゴー・ゴー・ゴリラス
010 ゴー・ゴー・ゴリラス
010 ゴー・ゴー・ゴリラス

ストーリー:

 ノーリッチはロンドンの北東部にあるノーフォーク州の州都で、人口13万人ほどの都市である。ロンドンからは鉄道で2時間ほどの距離にある。
 このノーリッチに2013年の6月24日から9月7日までの期間限定で、市内に53体のゴリラの等身大の置物が設置され、それらのゴリラをめぐるトレイルがつくられた。これらのゴリラは、教会、デパート、鉄道駅、城、劇場といった市内の重要な場所に置かれ、ゴリラを巡ることで、ゴリラに導かれてノーリッチの市内観光ができるような仕掛けになっている。これらのゴリラは、例えばアフターヌーン・ティーで有名な集会所のところにあるものは、お茶のデザインがされたりするなど、その場所性を表現するようなものとなっていたりして、ノーリッチ市への理解が深まるような工夫が為されたりしている。また、ゴリラを対象としたのは、それが絶滅危惧種であるからで、自然保護といった問題へ人々の意識を向けさせようとすることも考えられている。
 ゴリラは地元の芸術家を中心に描かれ、そのデザイン料は800ポンドである。また、53のゴリラにはそれぞれ、その設置場所の地主や関係者がスポンサーとして支援している。
 このイベントは地元の企業等がスポンサーになっており、イベント終了後の10月3日にはこれらのゴリラはオークションに掛けられ、それによって得られた収入は、地元の児童福祉団体であるブレークとイギリスの動物福祉団体であるボーン・フリー財団に寄附されることになる。
 このイベントはブレークが企画し、芸術・教育事業を展開する民間企業であるワイルド・イン・アートが実施したもので、同企業が2008年にノーリッチで手かげた「ゴー・エレファント」、2010年にチェスター市で行った「リノ・マニア」など、パブリック・アートをある期間限定で都市内に展示するという一連のシリーズものの延長線上に位置づけられる。
 これら等身大の53体のゴリラに加えて、地元の学校で学生達によって絵が描かれた67体のべービー・ゴリラが、このトレイル上に設置されている。これらのべービー・ゴリラは店内などに置かれている場合が多い。

キーワード:

イベント,アイデンティティ,パブリック・アート

ゴー・ゴー・ゴリラスの基本情報:

  • 国/地域:イングランド
  • 州/県:ノーフォーク州
  • 市町村:ノーリッチ市
  • 事業主体:ワイルド・イン・アート、ブレーク
  • 事業主体の分類:民間
  • デザイナー、プランナー:アンディ・グリーブ、ダニエル・ハントン他
  • 開業年:2013

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 ゴー・ゴー・ゴリラスが「都市の鍼治療」として優れているのは、地元参加型ということである。地元のアーティスト、そして地元企業がスポンサーとなり、また学校なども巻き込むことで、地元住民が協働してつくりあげるように仕掛けている。したがって、このイベントを通じて、コミュニティが強化されることが期待される。
 さらに、芸術作品を点ではなく、それらを線で結びトレイルという形で展示したことで、市内観光を誘導する「ヘンゼルとグレーテルのパン屑」のような役割を果たしている。しかも、市内でもランドマーク的な重要な場所を結ぶことで、観光客だけでなく、地元の人達にもノーリッチ市の歴史や物語を知ることができるような工夫がされている。
 また、期間限定にすることで希少価値をつくりだし、ニュース性をもたらし、観光への強力なプロモーション効果を発現させている。加えて、これらのゴリラを、このイベントが終了するとオークションに掛け、販売することで、このイベントはチャリティとしても成立する。
 往年のロック・バンド「クィーン」のフレディ・マーキュリーを模した「ラジオ・ゴー・ゴー」が、クィーンのマネージャーから撤去の申し入れをされ、フレディにそっくりだった顔が普通のゴリラ顔に置き換わったなどの残念な事件もあったが、基本的には、観光客を増やし、芸術家だけでなく学生にも芸術作品を創出する機会を提供し、ノーリッチ市の理解を高め、地元コミュニティの強化にも繋がり、さらには福祉団体への寄付金をも集める、という各方面で「ウィン・ウィン状態(Win Win Situation)」(誰もが得をする状態)をもたらす、極めて優れた都市の鍼治療事例であると考えられる。

類似事例:

090 デッサウ「赤い糸」
169 ジュビリー・ウォーク
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327 バディー・ベア・ベルリン
・ドクメンタ(カッセル、ドイツ)
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