310 ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化(デンマーク王国)

310 ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化

310 ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化
310 ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化
310 ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化

310 ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化
310 ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化
310 ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化

ストーリー:

 ヴェスター・ヴォルゲーはコペンハーゲンのまさに中心部である市役所広場から運河へと抜ける直線上の道である。この道は並行して走るH.C.アンデルセン通りの抜け道として、自動車利用者によく利用されていた4車線道路であった。そのような中、2007年にメトロポリタン・ゾーン計画が策定された。メトロポリタン・ゾーンはコペンハーゲンの都心部の一部に相当し、それはカルベボイ橋(Kalvebod Brygge)を南端とし、西端はコペンハーゲン湖、東端はコペンハーゲン運河、そして北端は市役所広場とヴェスター・ヴォルゲーによって囲まれる中央駅を中心とする一画である。ここのネットワーク強化、特に市役所広場と運河の動線を改善することが意図され、ヴェスター・ヴォルゲーの大改良計画が策定されることになる。
 具体的には、この道の自動車交通量を削減させ、自動車ではなく歩行者優先の快適なプロムナードのような空間にすることが計画された。これによって、市民や観光客にとっても魅力的なアーバニティ溢れる広場的な場所を創造することを意図したのである。
 そして、道路車線は4車線から2車線になり、路上駐車場の多くが撤去された。そして、新たに生じた空間は歩行者、そして自転車利用者にあてがわれることになった。歩道が大幅に拡張され、街路樹が植えられ、ベンチも設置された。広幅員の自転車専用道路が整備された。歩道は3つの色の大きな花崗岩で舗装され、アメニティ溢れるプロムナードが都心に出現することになった。
 計画をする際には日光が強く意識された。歩行者空間であるプロムナードは日光がより当たる東側に設けられ、そこにベンチを置くなどして、日照時間が限られた季節において、なるべく多くの日光を楽しめるようにした。日光があまり当たらない西側に車道と数少ない路上駐車を設けるようにした。
 ヴェスター・ヴォルゲーの改造とともに3つの広場がつくられた。これらの広場は物理的、そして視覚的にヴェスター・ヴォルゲーと繋がっており、ヴェスター・ヴォルゲーの歩行者からはちょっとしたポケット・パークのような役割を担っている。これらの3つの広場は、それ以前は青空駐車場として使われていた。
 ヴェスター・ヴォルゲーのプロムナード化事業は2013年に完成する。

キーワード:

ブラウンフィールド,市民参加,都市公園,パブリック・アート

ヴェスター・ヴォルゲー(Vester Voldgade)のプロムナード化の基本情報:

  • 国/地域:デンマーク王国
  • 州/県:コペンハーゲン県
  • 市町村:コペンハーゲン市
  • 事業主体:コペンハーゲン市
  • 事業主体の分類:自治体 
  • デザイナー、プランナー:Cobe, Hall McKnight(建築), GHB landskabsarkitekter(ランドスケープ・アーキテクト)
  • 開業年:2013年

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 筆者がコペンハーゲンを最初に訪れたのは2007年である。ストロイエを訪れ、その歩行アメニティの素晴らしさに感銘を覚えたのを今でもはっきりと記憶している。しかし、ストロイエを除けば都心部であっても、それほど歩きやすいとは思わなかった。ヴェスター・ヴォルゲーは市役所の裏側のあまり綺麗でない自動車道路というイメージしかなかった。H.C.アンデルセン道路という大通りが並行に走っていることもあり、ヴェスター・ヴォルゲーは格好の抜け道になっていた。ただ、一方で抜け道であるということは、その通過目的のための道路の役割は二次的であるということでもある。
 ヴェスター・ヴォルゲーのプロムナード化は、メトロポリタン・ゾーン計画が目標としているコペンハーゲン都心部のネットワークの強化、特に都心部とウォーターフロントとの接続をよくすることに大きく寄与している。ヴェスター・ヴォルゲーはそれまで運河で行き止まりになっていたのだが、そこに2017年に集客性の高い複合ビルであるBLOX(都市の鍼治療「No.309 BLOX」)がつくられ、また、その延長線上に歩行者・自転車専用のリール・ランゲブロ橋が2019年につくられた。これによって、運河の東側からの歩行者・自転車のアクセスが断然によくなり、歩行者・自転車動線としてのヴェスター・ヴォルゲーの機能は大幅に強化された。BLOXはヴェスター・ヴォルゲーを移動する目的を提供し、リール・ランゲブロ橋は東西のネットワークを強化し、ヴェスター・ヴォルゲーの利便性・快適性を提供することになった。一つのプロジェクトが他のプロジェクトと連携し合い、シナジー効果を発揮させ、単独では発現できなかった都市の魅力を創造するというプラスのドミノ効果が具体化されている。コペンハーゲン・マジックとでも言うべき都市の魅力創造のエッセンスが凝縮されているような見事なプロジェクトである。鍼治療のツボがお互い、相互作用をして身体全体をよくするようなイメージであろうか。

【参考資料】
デンマーク建築センターのホームページ
https://dac.dk/en/knowledgebase/architecture/vester-voldgade-2/
デンマーク建築センターでの取材

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