【連載】第十一回 現代若者の「○○離れ」の実相|現代若者考・レポート

第十一回 現代若者の「○○離れ」の実相

日本の家庭における必需品は、戦後期には「三種の神器(電気冷蔵庫、電気洗濯機、白黒テレビ)」、1960年代には「3C商品(カラーテレビ・クーラー・マイカー)」であった。その日本の経済高成長期に団塊の世代という大量の若者が社会に登場し、諸説あるが、大人になるための「必須の神器」とされたのが、お金を前提にして「車」「酒・たばこ」「海外旅行」であった。

その若者の神器は、当時の若者にとっては自分と他人の「差異」を誇示するために便利なツールであり、他人との「差異」を示すことが自己顕示欲を満たすものだった。

しかし、1990年代前半以降、バブルの崩壊をキッカケに、失われた10年ともいわれた長期不況が続く中、統計上の数字でも車、お酒、海外旅行離れも明確に証明されるようになった。

さらに、2000年代には人口減少・少子高齢社会となり、量重視の社会からサービス化や情報化社会へと転じ、若者たちの間では、「車」「酒・たばこ」「海外旅行」には強い関心を持たなくなった。景気後退が長期化し企業の業績は悪化する中、企業やマーケティング業界やマスコミでは、神器に無関心を装う若者のビヘイビアを、若者の『○○離れ』と取り上げた。その背景には長期にわたる消費不振が続いたこともあるが、若者人口数そのものが団塊世代より4割近く少なく、そのことだけ見ても若者の消費量は大きく落ち込んだ。それでも経済産業界では量的拡大や高成長の再来を念じるあまり、消費の不振の原因を若者の消費行動(≒○○離れ)にあると決めてかかった。かつての若者の巨大で強烈な消費パワーが忘れられないのである。

現代の若者が置かれている社会状況は60,70年代とは全く異なり、また90年代とも全く違う。何が違うのかというと、今の若者は、バブル崩壊後に生まれた世代で、思春期にリーマンショックや東日本大震災を体験している。攻めよりは守りの意識が強くなっている世代だ。若者の不況慣れ、低成長慣れがあり、学歴や資格、肩書といった既存の社会の枠組みの中で、極力、不利な道に落ちないようにという生き方をするといった若い世代の保守化の傾向が強くなっている。そのような状況の中で、若者たちが大人になるための「憧れの神器」とされるもの、例えば、車、お金、旅行、恋愛、酒などたくさんのキーワードがあるが、それら憧れのアイテム群はほとんど現在では「〇〇離れ」と認識されている。

今、産業界やマスメディアで報道される「○○離れ」といわれている「車」、「海外旅行」、「消費(お金)」は、日本の社会のグローバル化、キャッシュレス化、IoT・AI化へと進む中どのように認識されているのか?

今回は、○○離れといわれる中で、自動運転が視野に入った「車」、インバウンドなどグローバル化か進行する中での「海外」、キャッシュレス社会へ向かう中での「消費(金銭・マネー)」、そして○○離れどころか○○離れできなくなった「スマートフォン」につてそれぞれ現代の若者との関係をみてゆく。

「○○離れ」の実相を探る。

 

執筆者 マーケット・プレイス・オフィス代表  立澤芳男(たつざわよしお)
■流通系企業の出店リサーチ・店舗コンセプトの企画立案
/都市・消費・世代に関するマーケティング情報収集と分析
■現ハイライフ研究所主任研究員
■元「アクロス」編集長(パルコ)/著書「百万人の時代」(高木書房)ほか

 

■第十一回 現代若者の「○○離れ」の実相
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=14696

 

■現代若者考・レポート
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=167

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