ガス・ワークス・パーク(Gas Works Park)

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トーク解説:

キーワード:

アイデンティティ ,アメリカ合衆国 ,ランドスケープ ,リチャード・ハーグ ,産業遺産 ,鍼レベル 中

鍼レベル:

ストーリー:

 ガス・ワークス・パークは、シアトル市の北部、ダウンタウンのスカイラインの見事な展望が望めるユニオン湖に面した場所に位置している。面積は7.7ヘクタールとなかなか広大な公園である。この公園は、工業跡地が公園として生まれ変わった世界でも初めてのケースであり、以後の工業跡地の公共用地への転換への嚆矢となった。
 この土地には、1906年から1956年まではシアトル・ガス・ライト社(Seattle Gas Light Company)の工場があった。この工場は、周囲の環境悪化を促進したことから、閉鎖に追い込まれることになってしまった。
 1962年にはシアトル市がこの土地を購入し、そこの活用法を検討することになった。幾つかの再開発案の中から市議会議員マートル・エドワードが中心となって主張した公園として活用することが最終的に決定されることになる。市議会は、公園の設計を地元のランドスケープ・アキュテクチャーのリチャード・ハーグ氏に委託した。

ロケーション:


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都市の鍼治療としてのポイント:

 この公園の素晴らしいところは、ランドスケープ・デザインとして優れているだけでなく、シアトルという都市が有していた工業都市としての歴史という記憶を次代に伝える役割をも果たしているということである。都市がなぜ、都市としての価値を有しているのか。それは、現在においての価値だけではなく、そこで多くの営みがなされてきた歴史の積み重ねがあるからだ。しかし、それらの歴史をしっかりと現在に伝えることは難しい。博物館のような閉鎖された中での展示というよりかは、生きている都市においてそれを展示できるような仕組みがある方がより伝達力は高まる。リチャード・ハーグは、この公園を整備することで、そのような仕組みを具体化した。このガス・ワークス・パークは、単に美しい景観を創出しただけでなく、その都市の歴史を物語る工場が有していた地霊が発露するような素晴らしい空間を創造することにも成功したのである。
 この公園の何より特筆すべき価値は、それまで工場というどちらかというと人々から嫌悪されていた施設を、人々に愛され活用されるべく公園の重要な要素として活用した点である。実際、この公園を訪れると、毒性があるので機械の残骸のそばには行くことができないなど、人々の使い勝手はよくないが、それでも、この場所の力を空間デザインに活かすという考えは秀逸であった。晴れた日にはこの公園で結婚式の記念写真を撮影しているのを目撃したこともある。シアトルという都市に対する市民の愛着を高めることに貢献できたようなプロジェクトであろう。
 この公園をひとつのきっかけとして、以後、産業遺産を保全し、また公園等で活用するという流れがつくられていく。まさに、不要とされたものから価値を見出し、有用なものへと転用する「都市の鍼治療」の好例である。

事業主体:

シアトル市

事業主体の分類:

自治体

デザイナー、プランナー:

リチャード・ハーグ(Richard Haag)

開業年:

1975年

類似事例:

023 ランドシャフツ・パーク、デュースブルク(ドイツ)
088 ジズコフ駅(Zizkov Station)の再生プロジェクト
013 ローウェル・ナショナル・ヒストリック・パーク(ローウェル、アメリカ合衆国)
009 ツォルフェライン(エッセン、ドイツ)
096 カルチャーセンター・ディーポ、ドルトムント(ドイツ)
053 ハイライン、ニューヨーク(アメリカ合衆国)
134 アカデミー・モント・セニス(ドイツ)
・赤煉瓦、横浜市(日本)

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国:アメリカ合衆国
州・県:ワシントン州
市町村:シアトル市