

出典元:real shopper SM
2025年は、食品全体で価格改定が相次いだ1年でした。主食である米も高値水準で推移しており、家計を取り巻く環境は決して軽いものではありませんでした。「値上げの年」という印象を持つ人も多かったのではないでしょうか。
総務省から発表された2025年1年間の食料品領域全体の物価上昇率は6.8%とされています。米価のほか、チョコレート・コーヒーなどの海外原材料の高騰や酒類・飲料の価格改定もメディアで話題となっていたことを思い出します。総務省の発表では上昇率が高かった食品カテゴリーは米を筆頭とした穀類、パン・麺類など加工穀物製品、乳製品・卵、そして食肉・魚介などを挙げています。原材料や飼料の値上げに加え、円安による輸入品の価格上昇が物価高に拍車をかけていました。さらに人件費上昇の影響も出てスーパー取扱い商品のほとんどの売価にダイレクトに反映された印象です。そこにコロナ禍から始まった内食需要へのシフトが、物価高の影響で生活防衛意識が高まる中で、内食需要は維持されている様子がうかがえます。このような背景もあって、生活者はスーパー店頭での物価高をひしひしと感じさせられた1年でした。
こうした市況の中で、生活者はどのように対処したのかを見るためにスーパーの購買データを確認すると、食料品価格が上がっているにもかかわらず、総購入金額は前年比100.0%と前年並みで推移しました。総購入金額の中身をみてみると総バスケット数、すなわち全体の購入回数は96.7%、一人あたり購入回数は98.5%と前年を下回っており、来店・購買頻度がやや抑制されていたことは、物価高防衛の現れかもしれません。さらに、買い物回数を減らした影響か1回あたりの購入点数は増えているものの購入単価は前年比100%となっているのは、値上げの影響でより安い商品の購入に切り替えるか、同じ商品を購入する際にも入り数やサイズの調整をするなどが想像され家計のやりくりのさまがみえてきます。
では、買い物の回数や単価を抑える中で、売場ではどのような商品を選んでいたのでしょうか。
ここでは、2024年・2025年それぞれの金額PIおよび点数PIのランキングを比較しながら確認していきます。

出典元:real shopper SM
まず点数PIを見ると、2024年、2025年両年ともに、上位には「パン惣菜」「地場野菜」「きゅうり」「玉葱」といった日常性の高い食材が並んでいます。順位や数値に多少の変動はあるものの、点数ベースでは両年で大きな入れ替わりは見られず、日々の買い物で選ばれ続けている食材の顔ぶれは比較的安定していました。毎日の食卓に上がるメイン食材は削りようがないことがわかります。
一方、金額PIのランキングに目を向けても点数でランクインしている食材、商品と違いはあるものの、両年の比較では大きな違いはありませんでした。その中で両年ともに1位となっている「寿司にぎり」は前年から金額PIが大きく上昇しており、他の商品に比べても大きな伸び率は特別といえるでしょう。昨年ずっと価格が話題の米と円安傾向の中で輸入も多い海鮮食材の寿司ですが、価格上昇の大きな影響を受けながらも変わらず購入され続けたことが見て取れます。さらに、輸入飼料の影響を受ける国産鶏正肉、国産豚切り落としのほか、塩さけといった生鮮、食肉・魚介食材に加え、弁当、丼物、巻物など惣菜カテゴリーが複数ランクインしている点も、両年に共通する特徴です。
このように、点数PI・金額PIを両年で比較して見ると、それぞれの上位に並ぶ商品の顔ぶれに大きな変化は見られませんでした。
物価高が顕著であった1年でしたが、日常的に選ばれる食材や、支出の中心となる商品構成には、前年からの連続性が確認できます。2025年のスーパーでの買い物は、大きく切り替わったというよりも、環境の変化の中で、既存の日常性の高い食材、食品だけは維持されていた1年だったと捉えることができそうです。その分、嗜好食品や加工食品の購入頻度やより安さを求めた買い物で調整していたのかもしれません。
その中で、値上げ幅が高いにもかかわらず「寿司にぎり」の1位維持は外食機会も増えない中で、家計のやりくりの判断として食卓も少し華やかにもなり家族からも支持を受け、選ばれ続けているのかもしれません。
今年度、「速報!わくわくお買い物レポート」というタイトルで食品スーパーの購買データを使ったお買い物の実態をご紹介してきました。
季節やときどきの生活のイベントを追いかけながら日々の食卓を中心に、食のお買い物を追いかけてきましたが、びっくりするような速報・発見はなかったかもしれません。
ただ、最終回となる今回、あらためて1年間のスーパーでのお買い物動向を振り返ってみて、スーパーの売り場を見つづけることは、日常をうつすカガミになると皆さんに感じていただけたとしたなら幸いです。
※本レポートでのPI(Purchase Index)値とは、購入金額、購入点数、バスケット数等を購入客1000 人当たりの指数にした値のこと。
※購買データの出典について、「出典元:real shopper SM」と記載されているものは、株式会社ショッパーインサイトが保有する食品スーパーIDPOSデータベース「real shopper SM」の購買履歴データを、本コンテンツ向けに独自に集計・加工したものです。