
当財団では、2017年9月に「次世代高齢者研究報告書」を作成し、公開している。ここで注目したのは、『次世代高齢者』という位置づけ・考え方である。50代(50歳から59歳)を次世代高齢者層とし、高齢者層として65歳から74歳の10年間との比較を試みている。2017年(調査年月は2016年10月28日から11月14日である)においては、団塊世代(1947年~1949年生まれ)は60代後半、65歳以上であり、高齢者(世界保健機関による)に属している。その研究報告書に関しては、別途ご覧いただくとして、次世代高齢者層について、考えたい。
50代を次世代高齢者層としたわけであるが、2025年現在(2024年11月の調査実施時点)、団塊ジュニア世代(1971年から1974年生まれ)が50代前半に含まれる。参考までに申し上げると団塊世代は75歳から79歳、つまり70代後半、後期高齢者に含まれる。
そこで、2024年に実施した都市生活者意識調査の結果、及びその5年前の2019年の調査結果をもとに、次世代高齢者となった団塊ジュニア世代(調査時点で50歳から54歳の年齢層)について、その幸福度や老後観について、団塊世代とも比較し、現状について考察してみることとする。
団塊ジュニア世代は、就職氷河期世代でもある。その世代が50代になることで、老後に関する意識がどのような状況にあるのか、その実態について考察したい。特に5年前の団塊ジュニア世代とも比較することで、40代から50代へと加齢による影響もさることながら、この間に起こったパンデミック(新型コロナ感染症)の影響についても考えるべきかもしれない。但し、残念ながら、加齢とコロナ禍の影響に関しては明確な答えは得られないので、総体的な言及になる。
また、団塊ジュニア世代の親世代である、団塊世代の現在の老後意識とも比較することで次世代高齢者(特に50代前半=団塊ジュニア世代)の現状について、その実態について示唆が得られると考える。次世代高齢者は、所謂現役世代であり、団塊世代の多くが既にリタイアしているという状況において、老後意識が異なるのか、異ならないのか、興味深いと考える。
幸福度は10点満点に換算して比較している(図表1)。調査実施時の違いよりも世代による違いが明らかであり、幸福度は団塊世代の方が高得点である。
生活満足度は4段階の得点の平均で比較している(図表2)。幸福度と同様に世代による違いがあり、団塊世代が高得点を示している。
幸福度と年齢との関係においては、多くの研究において、若い人から中年期、そして高齢になる時系列においてU字型を描くとされており、50歳前後よりも75歳前後のスコアが高くなることは、先行研究と合致している。※参考:大竹文雄・白石小百合・筒井義郎編著(2010)『日本の幸福度-格差・労働・家族―』,日本評論社


5段階評価で平均得点3以上の設問グループと、平均得点3以下の設問グループに分かれたので、2つのグループごとに分けてコメントしたい。
図表3 老後の生き方(平均得点3点以上の設問グループ)

図表3は平均得点の高いグループである。この中のキーワードは、健康・自立・家族・仲間といったところであろうか。それらを重視した生き方というものを志向しており、それは団塊ジュニア世代よりも団塊世代の方がスコアとしては高い傾向にある。
図表4 老後の生き方(平均得点3点未満の設問グループ)

図表4は平均得点の低いグループである。この中のキーワードは、出会い・挑戦・貢献・自己実現といったところであろうか。後期高齢者となった団塊世代は、仕事や出会いなどは限られてくる、それらは避けられない現実とも言える。ただ、団塊ジュニア世代において、残念と言えば言い過ぎかもしれないが、「実りある時間を過ごすべく、挑戦し続けたい」といった生き方が団塊世代とほぼ同レベルであること、団塊世代よりスコアは高いものの「夢を追い、自己実現する」というスコアが最も低いスコアとなっている。
人生100年時代とも言われる昨今、幸福度などのスコアをどのように上げていくかは一つのテーマである。団塊ジュニア世代=次世代高齢者(50代前半)において、生活防衛的な意識よりも、挑戦や夢といったものへの意識の高まりが求められているのではないかと思う次第である。
利用するデータ、調査の対象者グループ、そして比較する質問項目は以下の通りである。
都市生活者意識調査2025 ※調査実施は2024年
都市生活者意識調査2020 ※調査実施は2019年=5年前との比較として利用
団塊ジュニア(2024年調査時点において50代前半=50~54歳)
団塊世代(2024年調査時点において70代後半=75~79歳)
1,幸福度と生活満足度
幸福度【11段階→0点から100点満点 ※10点刻みでの回答】
質問文は「あなたが理想と考える幸せ感・幸福感を100点満点とすると、現在の自分の幸せ感・幸福感は何点くらいと感じていますか」
※10で割って集計し、平均得点を算出して比較
生活満足度【4段階→満足、やや満足、やや不満、不満】
質問文は「あなたは、現在の生活にどの程度満足していますか」
※満足=4、やや満足=3、やや不満=2、不満=1で集計し、平均得点を比較
2.老後の生き方について ※14の設問
回答の選択肢【5段階→非常にあてはまる(5)、ややあてはまる(4)、どちらともいえない(3)、あまりあてはまらない(2)、まったくあてはまらない(1) 】
①楽しみな計画や楽しい時間がある
②健康づくりを心がけ、健康的な生活をする
③高齢者として社会貢献をしたい、役に立ちたい
④今までの老後ではなく、新たなシニアスタイルを創る
⑤時間ができるだろうから頑張る
⑥自由にのんびり楽しむ
⑦実りある時間を過ごすべく、挑戦し続けたい
⑧周囲に迷惑をかけないように自立して生きる
⑨周囲の期待に応え続けたい
⑩新たな出会いが楽しみ
⑪生涯仕事を続ける
⑫仲間との交流、友人を大事にする
⑬夫婦・家族との楽しい暮らし
⑭夢を追い、自己実現する
上記14の設問について、5段階での回答を求め、平均得点について比較