ハイライフ研究所メールマガジン 第9号

2008年10月24日配信  発行責任 財団法人ハイライフ研究所 事務局

日本版サブプライムローン問題発動中  「ゆとりローン」の弊害 

世界金融恐慌の発端になった、米国サブプライムローン。
これはいわば返済不可能な所得層の人々に、最初の3年間は元金の利息のみを支払えばよく4年目からそれまでのほぼ倍の返済額を課すローンですが、実は日本でも16年前に「ゆとりローン」という名の住宅ローンがありました。

その利用者は当初の3年間だけでも180万件の契約がなされ、平成12年4月にローン制度の欠陥から廃止になるまで利用されました。 「ゆとりローン」は金利が最初の5年の間、超低金利になる事から当時は「夢のマイホームローン」として脚光を浴びました。ところが平成14年頃から、このローンを利用しているひとの自己破産・個人再生が急激に増えているというのです。

そして本年、その動きがピークに達すると言われています。世に言う「平成20年問題(2008年問題)」として、深刻な社会問題にもなっています。

どこが米国のサブプライムローンに似ているのか。「ゆとりローン」は、当時の住宅金融公庫の運営で政府の肝いりの不景気対策として打ち出され、各マスコミ報道を通じて話題となり、全国で多くの利用者を得ました。
ローンの詳細は、当初5年間は超低金利(当時2%程度)の支払いですみ、非常に有効なローンであると思われていました。しかし、このローンの利用者の多くは現在の不景気の惨状を予想する事が出来ず、また公庫側もローンが成立する為の条件を十分に知らせずに契約者を増やしたのではないかと疑いがもたれています。(この辺が米国のサブプライムローンに似ているのです。)

このローンが成立する為の条件は以下の3つの条件が必要でした。
1.絶対的な終身雇用が確立されていること
2.毎年給料が昇給し且つボーナスも同様に上がること
3.購入した物件(不動産価値は上がり続ける)が将来も相応の価値を持つこと
(こうした条件もまた、米国の不動産バブルと分不相応な過剰消費を招いたサブプライムローン問題そのものです。)

当初の5年の超低金利(2%の50回払い計算)の期間中に返済出来る金額は金利のみであり、ほとんど元金が残ったまま、6年目以降には返済額が飛躍的に上がる。ここ数年の経済のグローバル化による企業経営の大きな変化により、ゆとりローンが成立する条件が実現困難になってしまいました。そしてこれにより、家庭では急激な負担増を強いられることになりました。

また、ステップ(償還)アップ金利(4%程度)である為に、11年後には超低金利の時の2倍近くの返済金額になってしまいます。これが日本のサブプライムローン「ゆとりローン」の恐怖であり、平成10年時点の利用者数が多いことから、その10年目の「平成20年問題」と呼ばれているわけです。
この問題への対策として、金融機関による「借り換え」ローンがしきりに宣伝されました。しかしほとんどの物件で「元金割れ」の状態が続いていて、多くの銀行では元金と物件の評価額との差額と実費を支払わなければ借り換えすら出来ない事態となっています。

通常マイホームを購入する一次取得の世代が30代半ば~40代前半として、10年目を迎える45歳~50歳前半の家庭は、平均的家族構成からすると子供の就学に一番お金がかかる頃と重なっているはずです。
ちょっと前までは現金を持っている人は「繰り上げ返済」をするか、「借り換え」可能な人は低金利を利用するなどすれば大分マシになるはずでした。
しかしそこに今進行中のサブプライムを発端とした金融機関の再編・破綻および世界経済の景気後退、そして家計所得の低下など、厳しい状況が続いています。

この景気後退状況はアメリカでは2010年前半まで続くといわれ、その影響は当然日本国にも大きくのしかかります。 こうした緊急事態のもと、政府には陣頭指揮をとって金融機関、企業だけでなく、国民の家計も守るためのあらゆる施策が求められています。すでに政府は2兆円の定額減税、住宅減税などの救済案を提出していますが、まだまだまだ足りない。銀行による中小企業への融資停止、貸しはがしなどの問題に対して、日本政府のより具体的な対応を期待したい。
麻生さん?小沢さん?小浜さん? 何卒お願いします!


<今号の内容>

1. 伝説のマーケッター立澤芳男の<新・新世代レポート>vol.5「いまどきのサラリーマン」
2. 団塊世代の退職後のライフスタイルに関する研究
3. こんなハイライフあんなハイライフ
4. 「高齢化社会におけるターミネーションに関する研究」
5. 新着イベント・セミナー情報



1.新・新世代レポート>vol.5「いまどきのサラリーマン」

大正時代にサラリーマンが誕生するが、その頃のサラリーマンは、「学卒」とよばれ、「インテリや知識階級の社会的表象を形成」したが、大正時代のサラリーマンの割合は全有業人口の5~6%、また昭和初期には約30%程度であったといわれ少数派であった。
しかしながら高度経済成長期以後は、「高等教育の大衆化」「ピラミッド型学歴別労働市場の崩壊」により、しだいにサラリーマンは大衆化する。
サラリーマンのイメージは、時代背景によっても変わる。高度経済成長期のモーレツ社員や、バブル景気当時の栄養ドリンク片手に午前様も厭わず世界を股に掛けて走るビジネスマン、バブル崩壊後のリストラに怯えるサラリーマンなど様々なイメージが作られている。
戦後昭和から平成時代の今日まで話題となったサラリーマン像を追う。

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=70


2. 団塊世代の退職後のライフスタイルに関する研究 (2006年度研究報告)

2007年以降、680万人の団塊世代のうち、300万人といわれる給与生活者が退職を迎える。その退職金は韓国のGDPに匹敵する50兆円という試算もある。その膨大なキャッシュフローは日本経済にとって大きなインパクトとなるであろう。また団塊世代は数が多いだけではなく、独自の価値観を持つといわれる。そうであれば、団塊世代の退職後のライフスタイルは従来にない動きとなって現れるに違いない。いわば、2007年は時代・年代・世代の3重効果が期待できる変節点である。とすれば、ライフスタイルとライフステージが関係したいくつもの変化がおこるだろう。

そうした状況で、本研究は団塊世代の退職後のライフスタイル変化およびそれにともなう支出動向を含めた退職金の行方を占いつつ、来るべき2007年以降の日本社会に大きな影響を与える団塊世代の退職をめぐる課題に対し実効的な提案を行うことを目的としている。

報告:
中山 進 中山事務所主宰
高橋洋一郎 株式会社パワーウイングス 代表取締役

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=441


3. こんなハイライフあんなハイライフ

世界の居住「タイ北部の黒ラフ族」
山畑信博(東北芸術工科大学助教授)

世界中から様々なスタイルのハイライフを探します。今回は、タイ北部の黒ラフ族の住居を紹介します。

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/rf_windowsOS/01_vol5/04_4/


4. ハイライフ研究所の研究報告書より 
「高齢化社会におけるターミネーションに関する研究」

第1章 研究目的
  1-1 研究の背景
  1-2 研究目的

第2章 ターミネーションに関する動向
  2-1 ターミネーションの位置づけ
  2-2 ターミネーションに関するトピックス
  2-3 インターネットにみるトピックス

第3章 ターミネーションに関するヒアリング調査
  1 医師
  2 看護婦
  3 キリスト教信者
  4 墓石製造業
  5 僧職
  6 葬祭サービス業

第4章 臨死の空間とは─ホスピス病室デザインのためのイメージ調査
  4-1 序
  4-2 研究の目的
  4-3 調査研究の方法
  4-4 調査の結果と考察
  4-5 まとめ

第5章 ハイライフ座会「人生のターミネーションについて」
               

研究体制:
長谷川文雄 東北芸術工科大学副学長

研究協力:
荒井良雄 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授
大江守之 慶応義塾大学総合政策学部教授
野沢慎司 明治学院大学社会学部教授
大道寺怜奈 東北芸術工科大学大学院生
池田 肇 東北芸術工科大学大学院生

(敬称略・肩書は当時のもの)

PDF形式の研究報告書は以下のURLよりご覧いただけます。
http://www.hilife.or.jp/pdf/cnt.php?url=20003


5. 新着イベント・セミナー情報

キルケゴール
『死にいたる病 現代の批判』を読む
 11月15日 東京

講師:今道友信 東京大学名誉教授

20世紀に盛んであった実存主義と弁証法神学の2つは、21世紀の(人間の哲学、人間の神学として)重要課題となっている。そのいずれにも先駆的テーマとなったのが、19世紀半ばに世を去ったキルケゴールが呼び起こした「不安」の概念である。この予言的哲学者について上記のテキストに基づいて学ぶ。

日時:2008年11月15日 (土)
会場:中央公論新社(東京・京橋)
授講料:2,500円(税込) 
テキスト:中公クラシックス キルケゴール『死にいたる病 現代の批判』 定価1,680円(税込)
※会場では、割引価格にて販売いたします。

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.chuko.co.jp/event/026/



編集後記

紳士、淑女の皆さん!1121日は2009年版「ミシュランガイド東京(赤ブック)」の発売日です。

2007年に初めて発行された「ミシュランガイド東京」(通称 赤ガイド)。今年は2008年11月21日に発売される。 昨年、最初のガイドブックで星を頂戴したホテル・レストランは大変繁盛したことだろう。

レストランの格付けを表わすものとして知られているミシュランの星。その評価は、(1)素材の質、(2)調理技術の高さと味付けの完成度、(3)独創性、(4)コストパフォーマンス、(5)常に安定した料理全体の一貫性という5つのポイントにもとづいている。そして各国に散らばる調査員全員で合議を行い、そこで了承されて初めて星が付与されているという。

そして、周知のとおり、その星の意味するところとはすなわち、「星3つ」はそのために旅行する価値がある卓越した料理。「星2つ」は遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理。「星1つ」はそのカテゴリーで特に美味しい料理。

さてそんな「赤ガイド」に対して、これもやはりフランスの出版社が刊行したガイドブック「ギドブルー(通称 青ガイド)」の日本旅行ガイドが話題になっている。「ギドブルー」は本格的な旅行案内書として人気だが、その日本旅行版が13年振りに新装復刊した(発売10月18日)。

「ギドブルー」を発行するのはアシュット・フィリパッキ・メディア社。フランスでは日本の漫画・寿司が大ブーム。日本を観光目的で訪れるフランス人はこの5年間で60%増え、昨年は14万人近くに達している。

今回復刊した日本ガイドは640ページのボリュームで、背表紙にアニメの少女を入れ、「マンガの国」の章も設けるなど、若者を意識したつくりになっている。価格は28.9ユーロ(約4000円)。



アシュット・フィリパッキ・メディア社は世界でも最も大きな出版社として知られ、日本では老舗出版社の婦人画報社を傘下に収め、アシェット婦人画報社として活動。「婦人画報」をはじめ「25ans」や「ELLE Japon」などの雑誌を発行している。

また教育書・教材・語学書・専門書などは「Pearson Education Japan/ピアソン エデュケーション ジャパン」において「Hachette JAPON/アシェット ジャポン」として販売促進活動を行っている。

さて、フランスに限らず世界中で日本漫画・アニメがブームとなっているが、この11月3日は日本漫画・アニメの創始者である手塚治氏の生誕80週年にあたる。

手塚氏の作品は日本文化にとっても非常に価値の高いものであると思う。(皆さんもそう思うでしょう。)

この時期に各出版社による手塚作品の復刻の動きも盛んで、出版企画やイベントなどが予定されている。 
手塚氏の漫画が現代の映像作品・漫画作品、さらには科学技術に及ぼした影響も大きく、そういったテーマのシンポジウムが各地で開催されている。皆様も参加なさってはいかがか。

手塚治虫関連のシンポジウム予定 

江戸博物館 11月2・3日 
http://www.bh-project.jp/static/jpn/image/event/film_photograph/tezuka_osamu.pdf

渋谷パルコ 10月24日から記念展
http://www.parco-art.com/web/factory/tezuka0810/index.php 

宝塚ソリオホールシンポジウム11月3日
http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezuka/sub/symposium.html


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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