あわら温泉の老舗旅館 光風湯圃べにやの室長。べにやは2018年に火災により全焼したが、小堀先生の設計により2021年に再建された。「旅館は地域の美術館でもあるべき」と考え、地域を知ってもらうための入り口としての役割を大切にしている。
—— 生産者さんとの繋がりが、普段の営業にどう活かされていますか?
小さな宿なので、その日の仕入れ量に合わせて献立を柔軟に変えられるのが強みです 。テリトーリオという考え方があるからこそ、臨機応変な対応ができています 。また、お米のネットワークのように、譲り先に宿のお風呂を貸したりといった、地方ならではの深い人間関係も大切にしています 。こうした繋がりを深くしていくことが、食料の需給バランスを保つ上でも大事だと考えています 。
—— 地域に対して、旅館はどのような存在であるべきだとお考えですか?
旅館は「地域の美術館」でもあるべきで、地域を知ってもらう入り口になりたいですね 。実際、地元の小学生のまち探検授業で宿を開放し、幼い頃から和室の美しさに触れてもらう「時代を超えたテリトーリオ」も意識しています 。若い世代が地域に目を向け、旅館が幸せになることで地域も幸せになる。そんな「あわら風のテリトーリオ」を目指しています 。
コロナ期は「エリアごとどこも潰すな!」というまとまりが非常に強かったです 。この地域はファミリービジネスが多く、その繋がりがエリアの魅力になっています 。
あわら温泉の老舗旅館 光風湯圃べにやの女将。べにやは2018年に火災により全焼したが、小堀先生の設計により2021年に再建された。“楽しく働く”ことが重要だと考え、お客様だけでなく、従業員、また、生産者の方との関係づくりにも力を入れている。
—— 女将さんにとって「テリトーリオ」とはどのような意味を持ちますか?
私たち自身がとにかく幸せに営むことで、それが地域の景色や「まちの見え方」になっていくのだと思います 。コロナでお祭りがなくなってしまいましたが、本来は踊って楽しむことで地域の輪が作られるものです 。
—— 伝統工芸や食についてのこだわりを教えてください。
伝統工芸の繋がりも、あわらを超えて福井県全域まで広げたいです 。実際に自分たちで若狭まで足を運び、その人の「営み」を確認して、私たちの営みと照らし合わせてから取り入れます 。
—— お客さまへのおもてなしで大切にしていることは?
たとえお米の出来が良くない年があっても、それをエピソードとしてお話しすることで、ポジティブな思い出に変えて未来に繋げます 。単なる地産地消ではなく、お互いの「営みを交換すること」を意識しています 。また、高級旅館では子供禁止のところも多いですが、べにやでは子供たちを受け入れます 。子供の時に得た心地よい体験は、将来思い出してもらえる大切なものだからです 。