vol.1
3年目の
テリトーリオ研究
法政大学小堀研究室として3年目となるテリトーリオ研究プロジェクト。
昨年までの学びを生かし、今年度は研究の視点をさらに深め、新たな概念へと挑戦します。
「共存のテリトーリオ」へ
1年間の小堀研究室としての研究の一連の流れの概要をここにまとめます。
過去の研究から次なるステップへ
1・2年目の研究で、私たちは曖昧な概念である「テリトーリオ」を「ノンスケールの全体性」と捉え直しました。
これは、特定の地域の全体像を、地形やインフラ、そして人の営みといった要素をスケール横断的に観察し、「関係の網の目」としての都市や地域の姿を探るものでした。
地域での人々の営みは、政治的な境界線で分断されるのではなく、網目状のネットワークで広がっているという理解に基づいています。
3年目となる本年度は、この「ノンスケールの全体性」に、より生態的(エコロジカル)な視点を導入します。
共存のテリトーリオ
今年度のテリトーリオ研究のキーワードは「共存のテリトーリオ」です。
私たちは、「人間中心の都市」という枠組みを超え、「生きものや環境を含めた共同体」としてのテリトーリオを考察します。
テリトーリオを捉え直す上で、本年度は以下の2つの異なる地域を比較対象とします。
①ケニア共和国ナイロビ地域
(海外の特異な都市エリア)
②福井県あわら市周辺地域
(日本の地方都市エリア)
ケニアと福井、この二つの地域を「テリトーリオの二つの姿」として再構成することで、自然との共存という観点から、それぞれの地域構造や思想の共通点・異なる点を見つけ出し、私たち独自の結論に結びつけたいと考えています。
ケニアという未知の地域を紹介しつつ、福井(地方都市)のテリトーリオを紹介し、ケニアにみる日本の将来の可能性を探る、これまでの研究の延長線上にあり、よりスケールアップした試みです。
テリトーリオの
“見える化”に向けて
昨年度同様、フィールドワークやインタビューも行いつつ、その結果を再解釈してアウトプットしていくことで、曖昧な「テリトーリオ」を「見える化」していくことを目指します。地図やメッシュワーク図の作成、ワークショップなど、多角的な手法を検討し、議論を重ねていきます。
第2回以降の記事では、各地域の調査での活動内容や、「見える化」の模索過程などをまとめ、今年の研究テーマ「共存のテリトーリオ」について、皆さんとともに考えていきたいと思います。