[3]定年後のライフスタイル

「団塊の世代」に関するトピック 
長谷川文雄

[3]定年後のライフスタイル

現在就労している女性たちが、定年後どのようなライフスタイルを志向しているかについての調査は少ない。日本労働研究機構が2002年に行った「団塊の世代を中心とする中高年の就労とライフスタイルに関する調査研究」には、いくつかの興味深い調査結果が出ている。

(1)まず、今後の生活の中で何を大切にするかという問いで、表?1はその結果である。この表にでてくる「フル」は、正社員を意味する。男女ともに「配偶者」を第一に挙げているが、その度合いは女性(69.2%)よりも男性(72.0%)の方が高いのは興味深い。ついで、「趣味」の度合いが高い。これも男性が39.0%に対し女性が48.0%と高い点も注目に値する。さらに、「子供」をあげているが、これを逆に、男性(36.0%)よりも女性(39.4)%の度合いが高い。一方、仕事については、男女で大きな差がみられる。これはトピックス1でも指摘したように、女性は定年後、自分のライフスタイルを大事にしがちで、その傾向が数字に表れているとみられる。また、「学習」に対する意欲も高い。これは就労中に時間がなくて実現できなかったことが、定年後の時間に余裕がもてたときに、手掛けたいとする気持ちの表れであろう。

(2)次に、「60歳以降気になること」を尋ねた結果が、表2に示されている。男女ともに最も気になる事項に「自分の健康」を挙げている。成人病をはじめ、さまざまな疾病が起きやすい年齢だけに、気になることとしてうなずける。2番目に挙げているのが、やはり男女ともに「配偶者」である。表1の結果と合わせて考えてみると興味深い。女性は配偶者に対してかなり気になっているが、大切さの度合いは男性の方が高い。つまり、男性の方が妻のことを気にする度合いは相対的に低いが、妻を大事だと思っている気持ちは高い。これらに続いて、「子供」、「生活費」などが指摘されている。このいずれも女性の方が気になる度合いが高いようだ。この背景には、60歳以降の就労の意欲が反映され、男性の方が「仕事」を気にしているからだとも考えられる。

[長谷川文雄]