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世界のAKIBA

今や秋葉原は世界のAKIBAらしい。家電を買いに来る外国人観光客に加え、アニメをはじめとするオタクコンテンツ目的の外国人観光客も多いという。そこで日々、外国人を相手に日本を観光案内しているプロフェショナル(ツアーコンダクター)へミニインタヴューを試みた。

Sさん(女性)は10年以上のキャリアを持つツアーコンダクター。上野生まれの江戸っ子でありながら、日々外国人を相手に日本文化を紹介すべく日本中を駆け巡っている。

◆ Sさんが相手にする外国人はどのあたりの人々でしょうか。
主に英語圏の方々なので、北米、英国、北欧、それと最近は中国、マレーシア、シンガポール、香港、タイ、インドネシアといった東南アジアの方々、それにインド人です。会社や団体の研修もあれば、個人的なホリデーツアーもあります。だいたい15人程度の団体を相手にしています。
◆ どんなツアーなのですか。
日本人的には長期滞在のツアーです。だいたい16日間滞在します。冬だったらスキーだとか温泉だとか主な目的に13日間、残りの3日間を日本観光に費やします。
◆ 3日間の日本観光とはどんな感じですか。東京だったらどこを案内しますか
箱根、京都、金沢といった古都めぐりが多いのですが、イラク戦争の影響なのか最近は広島も人気があります。東京はやはり、明治神宮、皇居、浅草、隅田川クルーズで浜離宮。都庁や銀座というところです。東京より地方に人気があります。
◆ どんなところが人気ですか
やはり古都は人気があります。欧米人は、お地蔵様のように日常生活に密着したプチ宗教に興味を持ちます。静寂、落ち着きというものに価値を感じている様子です。残念ながら、東京は人気がありません。仕事に縛られた忙しいビジネス都市に見えるらしく、自由が感じられないと言います。満員電車なんかクレージーだと思っている様子。無料なので都庁のトップフロアに行きパノラマを見せるのですが、規模の大きさに驚いています。最近はレインボーブリッジから見える東京の風景を見せることにしています。マンハッタンよりも規模が大きいのに驚きます。
◆ 秋葉原はどうですか
中国人や東南アジアの方々は家電を観にいきたがります。インド人はパソコン。欧米の方々はリタイヤ組が多いのですが、孫を連れている人がいて、その子がどうしても秋葉原に行きたいと。オタクなのです。ジャパンアニメに詳しくて、さらにヴィジュアル系のグレーだとか、ラルク&シェルだとかロック系の音楽にもすごく詳しい。全てネットからの知識だと言っていました。オタク系には秋葉原のドンキホーテを案内します。パチンコから始まって、ガチャポン、フィギュア、占い、メイドカフェ・・・と全て揃っていますから。
◆ オタクはそんなに有名なのですか
世代によります。若い人は欧米に限らず、東南アジアの方々にも人気があるようです。日本のオタクはカッコイイという感じです。年配者はオタクのことを全く知りません。日本の伝統文化を案内するのがツアコンの主な仕事なのですが、銀座や六本木の空気は忙しすぎて人気がなく、かえって秋葉原のようなカオス的な街のほうが喜んでもらえます。一方、谷中あたりも行くことがありますが、墓地と隣接していたり、路地があったりと、けっこう楽しんでくれます。自由な空気というのは感じるものなのですね。
◆ 秋葉原はオタクの街ということですか
世代や国によりますが、若い世代にはオタクでしょうね。中国やインド人にはパソコンや家電の街だと思います。リタイヤ組にとってはノイズでしかない様子ですが、徐々にオタクの街になっていくのだと思います。

我々日本人でも、世代によってオタクについての理解に大きな隔たりがあります。世界に有名なAKIBAと言っても、世代によって理解は異なるのですね。ネットが一般的になってから世代間サブカルチャーのギャップが大きくなっているのかもしれません。いろいろ参考になりました。今日はお忙しいところをありがとうございました。

日本においてもオタクを理解できる世代とそうではない世代が存在する。その昔、タイペイの屋台で隣に座っていた台湾人ビジネスマンと70年代ロックのウンチクで盛り上がったことがある。その飲み屋は秋葉原に負けず劣らずカオス的環境だった気がする。オタクであろうと何であろうが、サブカルチャーで同世代コミュニケーションが深まることは歓迎すべきことのように思える。ネット時代においてはサブカルによる世代コミュニケーションがワールドワイドに進行し、秋葉原はその総本山ということなのかもしれない。カオスは理解できない人にとっては不気味なものに見えるが、理解している(バーチャルが見える)ものにとってはこれ以上自由な気持ちの良い空間は無いのかもしれない。