ハイライフ研究所データファイル2013年 立澤芳男の商業施設見聞記

ハイライフデータファイル2013(年6回)連載にあたって

ハイライフデータファイル2013のテーマは、「商業施設」(主にショッピングセンター)見聞記です

今年度(平成25年度)のハイライフデータファイルは、最近大きな話題を呼んでいるショッピングセンターについて、施設ごとの個別観測レポートを掲載します。
観測レポートを掲載しようとした動機は、昨年5月22日に開業したスカイツリーの展望台が1周年を前にした今月20日に入場者数が高さと同じ634万人を超え、東京タワーの開業1年目(513万人)より100万人以上も多かったことや水族館や商業施設を含む東京スカイツリータウンが、当初目標(約3200万人)より6割弱多い5000万人を超えたという報道に接したことが始まりです。

この1年間の動員数は、首都圏最大の人気スポットである東京ディズニーリゾート(入場者数約2750万人)や六本木ヒルズ(動員数約4100万人)をはるかに上回ったわけです。日本の人口1億2千万人の約半分くらいの人たちが集ったわけですが、東京では、この1年間、駅舎が復元された新「東京駅」や渋谷の新高層ビル「ヒカリエ」や臨海地区の新商業施設「ダイバーシティ」にもかなりの動員が見られたようです。久しぶりに東京の街が騒がしいというか賑わいを見せました。それもアベノミクス景気回復以前からの出来事です。

私観ですが、戦後昭和25年から今日に至るこの約60年間の大都市東京で、日常生活を過ごす都市生活者が「騒がしい」とか「とんでもないこと」と東京の人が実感した出来事は二つあったと思います。一つは昭和33年の「東京タワー」の開業、もう一つは、昭和39年の「東京オリンピック」開催ではないでしょうか。この二つの出来事で、東京という都市が復興・再生、一体化した都市として完成を見たような気がします。そして東京オリンピック以降の東京は、都市圏域を急拡大させ郊外各地に住宅だけでなく商業施設や学校・病院などの社会施設が建設されました。

東京は「一極集中から分散へ」と都市生活構造を変えます。都市生活は職住近接から「職住分離のライフスタイル」に変わりました。街づくりという観点から東京を観察すると、都心では再開発を核とする街づくりのみが実施され「とんでもない」という驚きのあることは起こりませんでした。団塊の世代が小・中学生の頃に東京という都市の象徴であった「東京タワー」「東京オリンピック」のイメージは、高齢化とともに影を失って行ったようです。一方、郊外では、車社会に対応して「多摩ニュータウン」「東京ディズニーランド」「玉川高島屋SC・船橋のららぽーとSC」といった住宅・レジャー・商業地が本格的に開発され、人の移動・流れは東京中心部依存から開放されました。
しかし、2000年代に入ると、東京は人口の都心回帰現象が起こり、再び、例えばスカイツリー、旧駅舎復元の東京駅、渋谷の新高層ビルヒカリエ、お台場の東京ダイバーシティーなどなど本気の街づくり建設がスタートし、開業の暁には、久しぶりに「とんでもない」ことを起こしています。ところが「とんでもないこと」は、実は東京の郊外でも起こっています。人口増のピークをおえ、少子高齢社会の先陣を切る東京都市圏郊外では、施設の動員力や売上高が東京都心部の商業施設を大きく上回る商業施設が次々と名を上げています。川崎のラゾーナや船橋のららぽーとは、年間の売上高が約1千億円に迫る勢いです。郊外も見逃せません。その秘密は何なのか?

本レポートでは、東京都市圏エリア(東京区部、東京多摩地区、神奈川県、千葉県、埼玉県)で強力な動員力(=売上高)があり、地域で注目を浴びる商業施設をピックアップし、各商業施設の実際とその動員力の背景(地域のポテンシャルなど)をレポートしていきます。

執筆:立澤芳男(マーケット・プレイス・オフィス代表)

 

第1回レポート全文は以下のPDFでお読みいただけます。

 第1回 ハイライフデータファイル2013(年6回)連載にあたって

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