ハイライフ研究所メールマガジン 第50号

2010年7月16日配信  発行責任 財団法人ハイライフ研究所 事務局

大きなイベントが2つ終わりました。
1つは7月12日の早朝まで、1カ月にわたって、あらためてサッカーの面白さを教えてくれたFIFAワールドカップ。
スペインの優勝で幕を閉じました。12日の決勝戦は未明の時間帯でしたが観戦された方も多いようです。レベルが高い競技はまさに芸術ですね。
そしていま一つのイベントは参議院選挙。予想以上(?)の展開で自民党が圧勝しました。
昨年の衆議院選挙で政治を託された民主党政権ですが、有権者からここにきて「待った」をかけられた結果となりました。それにしても今回の参議院選挙でわたしたち有権者が示したメッセージは何だったのでしょうか。ゴーギャンの大作ではありませんが、この選挙を経て「我々はどこへ行くのか?」。今回の選挙結果に、自分も責任をもって向かわねばならない、と自戒を込めております。

さて、ハイライフ研究所のメールマガジンも今号で第50号を迎えました。お読みいただいているみなさまに深く感謝申し上げます。

それでは今号の内容をご紹介します。

毎月レギュラーで連載中の東京生活ジャーナル。今回は前回に引き続き「あかりで何を照らすか」、角館政英氏へのインタビューをお送りします。住民も参加して光環境を整える「光の街づくり」。その実験(岩手県大野村・富山県八尾町)を通して見えてきたことや、それにともなう住民意識の変化などについてお話をうかがいます。

そしてシリーズ「名著・古典のある暮らし」も第4回。今回は日本におけるグレートブックス・セミナーの第一人者で、70年代より生涯学習の大切さを提唱されてきた松田義幸尚美学園大学学長を迎えたパネル討論の模様をお送りします。

松田学長は「ダンテ神曲」や「源氏物語」などの古典・名著をテーマにした生涯学習番組(森永エンゼル財団のウェブサイトにおいて無料配信中)をプロデュースされるなど、レジャー時代・知識産業時代のライフスタイルについて独自の視点からの提案を続けておられます。
今回のパネル討論では、これまでのシリーズで講演をいただいたグレートブックス・セミナーのリーダーのみなさんとともに、「名著セミナーの魅力と課題」をテーマにお話をいただきます。

さらに、ハイライフ研究所のセミナー活動からは、今年の3月にNHK教育テレビでもその一部が放送された「第19回ハイライフセミナー ~21世紀の都市型ライフスタイルを考える~ 『都市の水辺に暮らす』その未来への展望」の模様をご覧いただきます。今回は、日本語バージョンと英語バージョン(同時通訳の英語ですが)の双方をご覧いただけます。

ウォーターフロントにおける住環境の整備は、現代都市のライフスタイルを考えるうえで重要な課題です。
今回の国際シンポジウムでは、新しい住環境の可能性について、グローバルな視点から基調講演をいただき、さらに世界各国の先進実例をふまえながらのパネル討論を行ないました。

総合監修はウォーターフロント研究の第一人者である日本大学の横内憲久教授。横内教授はウォーターフロントという言葉を日本で広めた方です。また、イタリアは水の都・ベネチアより、同分野のリーダーのひとりであるリニオ・ブルットメッソ氏を招聘し、基調講演をいただきました。
パネル討論では、画家の城戸真亜子氏、さらに地中海世界の都市研究で知られる陣内秀信法政大学教授に参加いただき、モデレーターをNHK解説委員の室山哲也氏にご担当いただきました。

ドイツからの特別寄稿、高橋順一早稲田大学教授の「ライプツィヒ通信」も3回目です。今回はサッカーと野球の文化の違い、そしてそこから見えてくるホスピタリティ社会がテーマ。ワールドカップ開催中のドイツの話題とともに、高橋教授がお住まいのライプツィヒ周辺の素敵な風景もご覧いただきます。

それでは情報充電を!(HH)


<今号の内容>
1. 東京生活ジャーナル
2. 第19回ハイライフセミナー|「都市の水辺に暮らす」その未来への展望
3. 名著・古典のある暮らし|第4回 名著セミナーの魅力と課題
4. 高橋順一教授のライプツィヒ通信



東京生活ジャーナル

1.東京生活ジャーナル

今月の東京生活ジャーナルでは、先月に引き続き「光のまちづくり」を取り上げます。角館氏が岩手県大野村や富山県八尾町で行った住民参加の光の実験の概要や、そのような取り組みを都市にも広げていく際の課題について語られています。光の実験は完成予想パースによる提案とは異なり、実体験として印象の変化を住民が共有することができ、それによって街に対する意識が変化することに意義があると述べられています。

東京生活ジャーナル/まちづくりフィールドレポート
http://www.hilife.or.jp/journal2/


2.第19回ハイライフセミナー

~21世紀の都市型ライフスタイルを考える~
「都市の水辺に暮らす」その未来への展望

 古代の昔から、水辺は多くの生物の生命を育み、人間も水辺を様々な形で利用するとともに、住環境としての文明が発達し、心を癒されてもきた。未だに物流の中心は船であり、港は重要な意味を持っているが、実は船の大型化により、大型船の停留できない港は影を潜め、多くの土地が有効活用されないままになっている。また都市部から近いエリアでの埋立地域も広がってきている。そして日本は、世界でも有数の海岸線の長さ(35000km)を有する海洋国。国土の狭い日本にとって、この海岸地域は、21世紀の住環境を考える上で、最も重要な空間だといえるだろう。

 そこで、現代のライフスタイルに合致した、ウォータフロントにおける住環境開発に取り組んでいる世界各国の実例や研究を基に、グローバルな視点で考える国際シンポジウムを企画し、21世紀の住環境について考える。

 本シンポジウムは、総合監修をウォーターフロントという用語を日本で広めたウォータフロント研究の第一人者、日本大学・横内憲久教授にお願いし、海外からお招きした専門家による基調講演に続いて、国内の研究者、文化人も加わり、忌憚の無い意見を交わし、現在開発中の有明を例にパネルディスカッションを行う。また、世界の先進事例に関する学習と総合的な討論を通じて、よりよい未来への展望を模索する。

日時:2010年2月21日
会場:東京国際交流館
主催:財団法人ハイライフ研究所
企画・監修:日本大学 理工学部 横内憲久教授

司会進行 : 西原さおり氏
開会挨拶 : 財団法人ハイライフ研究所 理事長 中田安則

基調講演 :
1.横内憲久氏(日本大学教授)
2.リニオ・ブルットメッソ氏(ヴェネツィア水都国際センター所長、ヴェネツィア建築大学建築学部都市計画学科教授/イタリア)

パネルディスカッション :
進行:室山哲也氏(NHK解説委員)

横内憲久教授
リニオ・ブルットメッソ氏
陣内秀信 法政大学工学部教授
城戸真亜子氏(洋画家)

詳しくは以下のURLをご覧ください。

日本語バージョン
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3310

英語バージョン
http://www.hilife.or.jp/english/2010/07/thinking_about_urban_lifestyle.html


3.名著・古典のある暮らし

第4回 名著セミナーの魅力と課題

  

ホームページでは、グレートブックスセミナーの方法論に注目し、日本で実践的な活動に関わってきた方々にお話を伺います。

第4回は「名著セミナーの魅力と課題」と題して、グレートブックスセミナーを実践してこられた4名のリーダーによるパネル討論をお届けします。

・レジャー社会と名著セミナー
・日本におけるアドラープロジェクトの展開
・名著セミナーは何の役に立つのか
・名著セミナーの魅力

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3749


4. 高橋順一教授のライプツィヒ通信


第3回 サッカーの文化とドイツの社会

10年に1回まわってくるという大学の特別研究期間により、ドイツはライプツィヒに滞在中の高橋順一早稲田大学教育学部教授。

ホスピタリティの研究 ~持続可能型の社会をめざして~」などの研究で、当サイトでもおなじみの高橋教授は、かの地で何を思い、どんな研究に没頭しているのか、「ライプツィヒ通信」と題して、連載寄稿していただくことになりました。

<寄稿文>

本格的な夏がやってきた。花の季節が終り、木々の緑影が濃くなってゆく。この季節の風物詩のひとつが合歓(ねむ)の木の綿毛だ。家々の屋根も歩道の哺石も綿ぼこりのような綿毛でいっぱいになる。新聞記事を読むと車のエンジンに入り込んでエンストを起こす困りものだそうだが、やはり季節を感じさせる存在ではある。

写真
写真:今わたしが住んでいるノルトプラッツ(北広場)のアパートの窓からの風景。
正面がミヒャエリス教会。

さてサッカーのワールドカップが始まった。4年に一度のスポーツの祭典だ。日本はさておき、世界的に見れば関心も盛り上がりもオリンピックよりはるかにワールドカップのほうが大きい。ワールドカップのテレビ視聴者数はオリンピックの約10倍だそうだ。ドイツにいるとそれがよくわかる。ワールドカップでつねに8強以上の成績を残し、1990年には優勝しているドイツチームに対するドイツの人たちの熱狂ぶりは相当なものだ。テレビで試合の中継が始まると町からひとの影が消えてしまう。車も通らなくなる。その代わり試合が終わると町中がお祭り騒ぎになる。車はひっきりなしにクラクションを鳴らし、今大会ですっかり有名になったブブゼラの喧しい響きが町をおおってしまう。

わたしは日本ではあまりサッカーの試合を見ていなかったのだが、ライプツィヒに来てからは、かつて河合塾講師時代の先輩であり、今回はライプツィヒ大学で同僚になった熱烈なサッカーファン小林敏明さん(現ライプツィヒ大学東アジア研究所教授。西田哲学についての論文でライプツィヒ大学の教授資格を得て教授に就任。著書に『西田幾多郎の憂鬱』(岩波書店)など)に誘われて、彼の行きつけの大型画面のあるパブでヨーロッパクラブ選手権決勝戦(バイエルン・ミュンヘン対インテル・ミラノ)を観戦して以来完全にはまってしまった。ワールドカップの最初の試合だった対オーストラリア戦も同じパブで小林さんや大学の学生たちとわいわい盛り上がりながら観てしまった。もちろん日本の試合も観ている。対デンマーク戦には正直感動した。選手が試合ごとに成長しているのが感じられた。

ところでサッカーの試合を観ながら感じたことがある。ある意味では平凡な感想なのだが、サッカーがひとつの文化だということだ。だがそこには意外と深い問題が隠されているように思われる。今月はこの問題について考えてみたいと思う。そしてそれはわたしたちが進めているホスピタリティ社会論の根幹に関わってくる気がするのだ…

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3755


編集後記

みなさまは「ゲゲゲの女房」(今年の3月後半にはじまり、9月後半まで放送を予定しているNHKの連続テレビドラマ)というドラマをご覧になったことがあるでしょうか。

「ゲゲゲの鬼太郎」の原作漫画家として、また妖怪ものマンガの元祖として知られる水木しげる氏とその伴侶の半生(苦労と貧乏のどん底から成功への道を歩んでゆく)を描いているドラマです。原作は水木しげる夫人の武良布枝さんが実業之日本社から出版した自伝「ゲゲゲの女房」。
スタート時は朝の連ドラ史上最低の視聴率という記録を作ったらしいのですが、4月以降だんだんと視聴率が上がり、現在は20%を超えているようです。
さてこのドラマからNHK朝ドラの放送時間が大きく変わりました。BSハイビジョンでは午前7時30分から、NHK BS2では7時45分から、地上波総合では8時から(これまでは8時15分からの放送)と、同じ内容を3回、時間差で放送しています。こんな編成は今まではなかったことです。生活時間の変化や、視聴可能者の重複が少ないことを考えての編成とのことです。こうして久し振りのお化けドラマ(3回分の累積視聴率は30%を超えるのでは)になっているようです。わたくしも5月頃から7時30分からの放送を観るようになりました。このところストーリーはちょうど「貧乏編」から「勃興編」に変わりつつある段階。見ごろです。
ちなみに土曜日にはBS2で午前9時30分から11時まで、その週の6回分をまとめて放送しています。
今回の後記は、完全にNHKの番宣になってしまいました。

最後に、このドラマの原作者、武良布枝さんの名言。「人生は… 終わりよければ、すべてよし!!」。
わたくしも、そういう人生でありたいと思います。(HH)


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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