第二回 都市生活者は『アベノミクス』をこう考える
ハイライフ研究所「都市生活者意識調査2013」の結果から
ほぼ1年前、「大胆な金融緩和」を掲げ安倍晋三総裁が衆院選で圧勝し、「アベノミクス」を打ち出した。その「第1の矢」、日銀の量的緩和を受けてマーケットでは一時の波乱はあっても円安・株高基調が続き、物価も上がり始めた。
アベノミクスのシナリオは、中央銀行は金融機関から国債などの金融資産を買い上げる。金融機関はそのカネで株式を買えば、株価が上がる。銀行から融資を受ける消費者は住宅や車を買う。企業は株式市場から資金調達しやすくなり、設備投資を増やす。需要がこうして増える。他方、発行量が多い通貨の値打ちは、量の少ない通貨よりも落ちるので、通貨安となる。すると輸出が有利になる。通貨レートが安くなれば、物価が上がるが、「デフレはこうして止まるし、景気もよくなる」というシナリオだ。しかし、問題はその通りコトが運ぶのかどうかだ。長期デフレに倦(う)み切った家計や企業は円安・株高だけでは動じなくなっている。
日銀の政策委員会の大勢は来年の消費者物価上昇率を消費税率引き上げの影響分を含め3%前後とみているが、銀行の1年定期預金の利率はたった0.025%。物価上昇分を勘案すると家計資産はかなり目減りする。また、円安効果の波及も遅い。勤労者は3%前後以上賃上げがないとフトコロ具合は悪くなる計算だ。
企業雇用の3分の2を担う中小企業の多くは今でも円安に伴う仕入れ原材料コストの上昇を販売価格に転嫁できない。大企業は別としても、賃上げも消費増税分の価格転嫁も容易ではない。
ちまたの高揚感は東京・銀座の欧州製高級車店をブランド物で着飾ったセレブでにぎわせてるだけのようだが、都市生活者のアベノミクスに対する実感はどのようなものなのか?
データファイル第二回では、「アベノミクス」に対する都市生活者意識を、地域別(東京、大阪)、男女別・年齢別、年収別に分析し、その結果をレポートした。(次回(1月発行)は『消費増税』について調査結果を報告)
執筆:立澤芳男(マーケット・プレイス・オフィス代表)
第2回レポート全文は以下のPDFでお読みいただけます。
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