ハイライフセミナー開催のおしらせ

第22回 ハイライフセミナー|「来るべきコミュニティへの予兆」
―変化への知恵はあるのか―

主催:公益財団法人ハイライフ研究所

開催日時:2012年3月13日(火)14:00~17:30

会場:ヴィラフォンテーヌ汐留ホール
(東京都港区東新橋1-9-2ヴィラフォンテーヌ汐留1階ホール) 
会場アクセス

第22回ハイライフセミナー
◆開催趣旨

世界規模では人口爆発、他方先進国と東アジア諸国は少子高齢化(人口停滞や人口減少)、という二重の過程が進んでおり、異なる問題を引き起こしています。その中で、日本では、経済的な混迷、過度の市場原理主義、競争原理主義によって、社会の絆は痛み、格差と貧困の問題は深刻化してきています。そして今社会の中に大きな不満と怒りの声が広がってきています。

この危機回避を、経済成長にすがるこれまでの問題解決の方法論に求めるには限界があることは明らかです。今、社会を構成している市場経済圏の外にあるもう一つの社会構成要素である「コミュニティ」に問題解決の新たな契機を求める動きに注目が集まってきています。

公益財団法人ハイライフ研究所の昨年からのコミュニティをテーマにした研究「次世代の都市生活を豊かにする知恵のアーカイブの研究」は市場経済圏外にある本来の社会の中心であるはずのコミュニティに問題解決の「知恵」の源泉を求め、コミュニティの再生を図ることにより、真の「豊かな生活」を生み出して行くライフスタイル(ライフリテラシー)へとつなげようとする研究です。

研究の発端は1970年に出版された「人間都市」(『別冊都市住宅No.1』鹿島出版会刊)という未来への提言書でした。高度成長型社会への批判とその解決策を10項目に分けて具体的に示したものです。1970年前後は、世界的な反体制運動があり、その後の住民運動・市民活動、NPO活動などの契機となっていきました。しかしながら現実の社会は、「人間都市」から40年、その提案とは相反するものとなってしまい、金融危機やエネルギー危機に端的にあらわれているように、都市、農業、福祉、教育、雇用など様々な分野が危機に瀕してきています。

周知のように日本の社会は多くの問題を抱え、深い痛手を負っている最中に、私たちは未曾有の複合大災害「3.11」を経験しました。多くの人々が日常という本当に大切なものを失いました。そして大惨事に対するショック以上に「信じていたものからの裏切り」に対する怒り、頼るものを失った寄る辺無さ、施され選別されることへの不信感等々は、個々人がコミュニティの持つ機能の重要性を再認識するに十分なきっかけとなりました。それは、これまでのライフスタイル(ライフリテラシー)も転換をせざるを得ないということの「気づき」でもありました。「消費」「所有」「競争」などに代表される価値から、「生産」「共有」「共助」「贈与」などの価値を重視する暮らしへの転換が求められているということではないでしょうか。

このたび、2年間の研究成果の報告・発表を目的として、「来るべきコミュニティへの予兆」と題してセミナーを開催することとなりました。上記趣旨文にあるように、人々の価値観もライフスタイルも変容しているのに、社会の基本構造は変われないでいます。この状況に、短気を起こさずに冷静に対処していくための方策の検討をこのセミナーの場で出来ればと思っております。一人でも多くの方々のご参加を期待しております。

◆プログラム

「次世代の都市生活を豊かにする知恵のアーカイブの研究」は、コミュニティの役割を再認識し、これからのライフスタイル(ライフリテラシー)への気づきとして、「高齢者の居場所」「学びの場」「住まいと暮らし」「アートとまつり」「紛争解決」5つのサブテーマを設定した研究です。

本セミナーでは、研究成果の中から「高齢者の居場所」「アートとまつり」「紛争解決」を報告させていただきます(第一部)。また、研究当初より私たちが1970年前後の市民活動に注目をする中で、総括的な座視を提供してくださった市民シンクタンクひと・まち社の池田敦子さんをゲストにお招きしてパネルディスカッションを行います(第二部)。

◇第一部 14:00~15:30  研究報告、研究総論の発表

過去との比較によるコミュニティ論
柏木博 デザイン評論家、武蔵野美術大学教授

ケアを軸としたコミュニティづくり
長沼行太郎 文化学院クリエイティブ・メディアセンター主任研究員

コミュニティに果たすアートとまつりの役割
大竹誠 現代デザイン研究室主宰

非常時(紛争と災害)から考えるコミュニティ再生
伊藤剛 有限会社ASOBOT代表取締役

休憩  15:30~15:45  

◇第二部 15:45~17:30  パネルディスカッション

研究発表者およびゲスト市民シンクタンクひと・まち社の池田敦子さん
によるパネルディスカッション

登壇者プロフィール

柏木博 (かしわぎ ひろし)

デザイン評論家。武蔵野美術大学教授。近代デザイン史専攻。
1946年神戸生まれ。武蔵野美術大学卒業。
著作:『家事の政治学』(青土社)、『モダンデザイン批判』(岩波書店)、『「しきり」の文化論』(講談社)、『玩物草子』(平凡社)、『探偵小説の室内』(白水社)ほか。6月24日から『ムサビのデザイン展』『WA展』(武蔵野美術大学美術館)監修。

長沼 行太郎 (ながぬま こうたろう)

文化学院クリエイティブ・メディアセンター主任研究員。
専門は、近代文学と思想、メディア論。
1947年長野県生まれ。早大・都立大(院)卒業。
「NPO法人くらしとお金の学校」理事として地域社会での「老い」の問題に取り組む。
著作:『思考のための文章読本』(筑摩書房)、『日本語表現のレッスン』(教育出版)、『嫌老社会 老いを拒絶する時代』(ソフトバンククリエイティブ)ほか。

大竹 誠 (おおたけ まこと)

現代デザイン研究室主宰。
東京造形大学非常勤講師。青山学院大学非常勤講師。
1944年東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。
都市をフィールドにデザインの調査・研究を続ける。
著作:『アーバン・テクスチュア』(住まいの図書館出版局)、『街の忘れがたみ』(ギャップ出版)、『現代デザインを学ぶ人のために』共著(世界思想社)ほか。

伊藤 剛 (いとう たけし)

クリエイティブ会社 ASOBOTinc.代表取締役。
東京外国語大学非常勤講師。NPO法人『シブヤ大学』理事。
1975年生まれ。明治大学法学部卒。
若者たちの不満から地域活性を行うプロジェクト『ハイジャック会議』、ジャーナル・タブロイド誌『GENERATIONTIMES』、ボスニア・イラク・アフガニスタンなど紛争国の学生と共にコミュニケーションの視点から平和構築を考える『PEACECOMMUNICATION』など、さまざまなコミュニケーション分野のプロジェクトを行う。

ゲストプロフィール

池田 敦子(いけだ あつこ)

高次脳機能障害者支援NPO法人VIVID(ヴィヴィ)代表理事。
市民シンクタンクひと・まち社理事。
1964年武蔵野美術学校(商業デザイン専攻)卒業
1983年~1987年生活クラブ生協東京理事
1985年~1997年東京都議会議員
1998年市民シンクタンクひと・まち社設立
2000年自治体政策研究会発足、主宰(現在に至る)
2002年東京都福祉サービス第三者評価機関認証 
2005年日本社会事業大学専門職大学院福祉マネージメント研究科入学(2006年卒業)
2007年高次脳機能障害者支援NPO法人VIVID(ヴィヴィ)設立
2010年新宿区に「市民後見を考える会」結成

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