財団法人ハイライフ研究所メールマガジン

ハイライフ研究所メールマガジン 第86号

2012年1月11日配信  発行責任 公益財団法人ハイライフ研究所 事務局

シェアする時代

昨年は歴史に刻まれる出来事が内外で起こり、年が明けても「不透明」が合言葉になっています。
私たちの生活意識や行動も大きく揺さぶられたなかで、都市の居住の有り様にも少しずつ変化が訪れているようです。

リビングやキッチン、さらにバス・トイレまで共用した集合居住スタイル「シェアハウス」が若い世代にも支持されて供給が高まっています。
これまでは、住民の主体的な取り組みでセイフティネットを造り上げていこうとするNPO活動の一端に、高齢者や身障者向けのシェアハウスがありました。
若い世代向けのシェアハウスは、3.11以降に特に目立ってきているように思います。
さらに手ごたえを感じた事業主は子育て世帯への展開も検討しているようです。
「所有価値から利用価値へ」と言われて続けてきた住宅・不動産ですが、集まって住む「安心価値」に重きを置く都市生活者が芽生えてきたといえましょう。

「シェア」はこれまではマーケットシェア、マインドシェアと使われることが一般的でした。
この「シェア」は占有率というビジネス場面での熾烈な競争の目標数値です。
また都市のポテンシャルの実勢把握にも都市間競争力としてこのシェアは登場します。
この目標はイノベーションやダイナミズムを導くことから今後とも有効な指標として継続されていくものと思われます。

一方、シェアハウスの「シェア」は共有するという意味になります。
ソーシャルネットワークの世界では『その考えをシェアさせてください』というツイートが飛び交っています。
このシェアには持続可能な都市居住の知恵を感じ取ることができます。
競争と連帯が同居する「シェア」、最近の辞書では「分かち合う」と訳されています。
水と油のような概念がハイブリッドとして居心地良く収まっています。
 
東日本大震災後の東北の都市では、これからの都市復興、地域力組成の未来の姿に向かって今、生みの苦しみと格闘しています。
しかし、分かち合う「シェア」が必ずや個々人と地域と産業を連結していくものと確信しています。
わが国は、社会保障と消費税の一体改革、TPP、新エネルギー政策の論議が本格化します。
この中には利害の対立が先鋭化しており、足して二で割る決着が難しい政策があります。
そこに、わが国の「シェア」の体力が試されると思っています。

ハイライフ研究所は、時代とともに変化していく都市生活者の意識と行動を調査・研究するとともに、持続可能な都市居住の知恵を発信していきます。
本年もよろしくお願いいたします。

2012年1月
公益財団法人ハイライフ研究所
代表理事 理事長 中田安則


<今号の内容>

1.エイジングとデザイン|第4回 -「ヒアリング3」
2.2020年の都市居住、その佇まいを探る。|迫 慶一郎氏講演
3.千葉県A地区 I 地区、仮設住宅生活者 支援活動|第19回
4.講演会のご案内|TPP契機の国内産業金融の強化策


 

1.エイジングとデザイン

第4回 -「ヒアリング3」

「エイジングとデザイン」研究の調査の主な舞台となったのは、コミュニティカフェとして地域活動を展開している「コミュニティカフェみぬまハウス」です。
.エイジングとデザイン

今回のヒアリングはすべて男性(6名)が被験者となります。
前回までのヒアリングは女性対象であったのに比べ、今回のヒアリングで何が見えてくるのかが極めて興味深いものがあります。その為には男性の感覚に対する問題設定がとても肝心になります。

特に今回、ヒアリング対象者として参加頂いた高齢者予備軍(60歳前後)の方々(4名)の感覚反応は注目したいと思います。
つまり、直近まで現役として仕事してきた男性たちの「感覚」の所在です。
それは、男性の高齢者たちの加齢化と感覚を調査する上で、是非とも見ておきたいものと判断したからです。

高齢社会の内でも、私は特に男性の「感覚」の在り方が、老いの豊かなふるまいを実践してゆく上で大きな問題障害になるのでは、と考えています。
もう少し厳しく云えば、高齢社会での男性の感覚問題は結構、厄介な部分を大いに孕んでいると思うのです。
認知症とは、異なる形での「感覚対応不全症」とでも云うべき症候群が今回の男性ヒアリングからも既に窺うことが出来ました。

今日、感覚を巡ずる大きな問題は、加齢化してゆく上で、参照されるべきモデルとしての「感覚」像の在り方が、女性も、男性の場合も不明で、特に男性の場合は深刻で、不安を抱かせます。
云うまでもなく、なによりも、男性の場合、各自の反応の進展は各自の「仕事」の環境からの影響を受ける可能性がはるかに高いのではないか、と云うことです。加齢化と感覚の視点から、男性の感覚を理解してゆく上では、まず、現役での「感覚」と定年からの「感覚」の把握が一つの焦点になってくるでしょう。
その上で、男性の加齢化に対する感覚の在り方に提言できたら、と考えています。

今回のヒアリングで、想定されていたものの、注目すべきポイントが挙げられます。
それは、男性の「かわいい」に対する感覚反応の限定的な偏り、とでも云うべきものです。
男性の内には、かわいいの拡張化も、洗練化もほとんど、見られませんでした。
つまり、現役での感覚の内に、「かわいい」などの高揚感覚が入り込む余地が全く無かった、に違いありません。

しかし、明らかに65歳以上では、この「かわいい」感覚が生き方の上で有効に働く、と考えられます。若い年代との関係に於いても、家族の関係に於いてもかわいい感覚は、少し生き易くさせてくれるはずです。

いずれにしても、男性の高齢者の場合、現役までの感覚をどの様に定年からの感覚にトランスしてゆけるのかを各自が自覚的に構想する必要があるのではないか、と強く感じました。(真壁)

研究チーム
真壁智治(M.T.VISION)
チームカワイイ(共立女子大学)

 

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=101

 

 


2.第21回ハイライフセミナー

2020年の都市居住、その佇まいを探る。
~持続可能な都市居住をめざして

2020年の都市居住、その佇まいを探る。

2011年11月15日(火)、ホテル・ヴィラフォンテーヌ汐留(東京)において第21回ハイライフセミナー「2020年の都市居住、その佇まいを探る。~持続可能な都市居住をめざして」が開催されました。

20年におよぶわが国のデフレ経済は社会のいたるところに歪みをもたらし、人口減少時代に切りかわった今、猛スピードで超高齢化社会へ向かうところとなっています。都市生活者にとって、豊かな未来への手ごたえを実感するのが年々、困難になりつつあります。そして、3.11。東北の景色と地図が一変してしまった惨状。歴史上、都市居住の持続可能性が今日ほど問われている時代はないといえます。

こうしたなかで、都市居住の豊かさの研究と実践に取り組んできた専門家を招いて、手の届く近未来2020年、都市居住をほんの少し魅力的なものにしていくための知恵を交換するセミナーを開催することにいたしました。

セミナーの内容をシリーズでお届けしてまいります。
今回は、迫慶一郎氏のプレゼンテーション「未来のコミュニティをデザインする~スカイビレッジ構想」をお届けします。

 

◆未来のコミュニティをデザインする~スカイビレッジ構想
迫 慶一郎 SAKO建築設計工社 主宰

 

◆日時:2011年11月15日(火) 15:00~18:00
◆会場:ホテル・ヴィラフォンテーヌ汐留
◆主催:公益財団法人ハイライフ研究所
◆協力:株式会社読売広告社

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=5679

 

 


3.千葉県A地区 I 地区、仮設住宅生活者 支援活動

第19回 I地区仮設住宅訪問 12月27日(火)

仮設住宅生活者 支援活動

年末も押し詰まった開催日で、仮設住宅の住人も親戚の家などに移っているかもしれず、参加人数は期待できないと考えていた。5分遅れで集会所に入ってみると、そこにはすでに9名の方々が我々の到着を待ち構えていた。常連の7名に前回初参加の高齢女性1名と今回が初参加の男性1名である。会議机が並ぶ殺風景な集会所の部屋の様子が変わっていた。コナーにテレビがあり、その前に応接机とソファーが置いてありシクラメンの鉢植えまでが飾られていた。そこに参加者はくつろいでいた。生活支援アドバイザーが常駐する空間は安心に暖かさが加わったようであった。

今回は正月飾りを作る。金色の厚紙を扇型に切り、縁飾りをつけ松竹梅をあしらう。真ん中に漢字一文字を最後に書くというものである。活動が始まると、前回茶話会からの参加の高齢女性も高齢のための不自由さはあるものの自力での制作に没頭している。初参加の男性は絵に心得がある様子で独自に作画を試みている。それぞれが同じ材料であるが、その中でも配置、色彩を工夫してよりよいものに仕上げようとしている。

そうして出来上がったものに漢字一文字を加えてもらう。「来年への抱負でも、好きな漢字でも自由です」と森が言った。森と松下はこの被災地に4月の避難所の頃から関わってきたが、被災者に改めて言葉を求めることはしてこなかった。被災していない者が被災者の心に安易に踏み込んではならないと感じていた。しかし、今回は正月飾りの中に文字を入れてもらうことで、あえて言葉にしてもらうことにした。文字を書く段になると皆考え込んだ。家族や家を亡くした人にやはり残酷な注文であったのか。時間はかかったものの全員が完成させた。それをホワイトボードに貼り出して発表会を行う…


執筆
LLPまち・コミュニケーション研究会 友田修
城西国際大学福祉総合学部 松下やえ子 森洋子

 

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=104

 

 


4.講演会のご案内|TPP契機の国内産業金融の強化策

~EU・ユーロ加盟で“輸出と農業強化の両立”実現のドイツに学ぶ~

TPPへの関心が高まっている中で、産業金融エコノミスト、埼玉大学大学院 経済科学研究科 客員教授で、一般社団法人CRD協会理事の田邉敏憲氏に、以下のポイントでお話をいただきます。

1.TPP交渉参加表明で、日本の課題は「製造業輸出と農業強化の両立策」に移行
2.大震災・フクシマは、農業の「食料&再生可能エネルギー産業化」を可能に
3.EU・ユーロ加盟で輸出伸長と農業の総合産業化に成功したドイツの経験とは?
4.各地域特性に応じた農林水産業の「総合産業システム化」は国内投資機会を生む⑤米国自治体で普及の「レベニュー債」など新たな金融証券商品の開発に展開可能

◆講 師
田邉 敏憲(たなべ としのり)氏  
産業金融エコノミスト 
埼玉大学大学院経済科学研究科 客員教授 兼 一般社団法人CRD協会 理事

◆講師略歴
1973年京都大学法学部卒業後、日銀入行。大蔵省出向、ニューヨーク事務所、調査統計局、考査局、長崎支店長などを経て、97年日銀を退職。98年~2008年、富士通総研経済研究所 主席研究員。この間、京都大学大学院エネルギー科学研究科 客員教授、東京大学大学院工学系研究科システム創成学 非常勤講師を兼任。著書に「大逆転!日本金融」(中央公論新社03年)、「新資源大国を創る」(時事通信社02年共著)、「中国の経済構造改革」(日経06年共著)等多数。

◆日 時
平成24年1月27日(金)16:30~18:00(受付開始16:00)

◆会 場
日本証券アナリスト協会・第1セミナールーム
(東京都中央区日本橋兜町2-1東京証券取引所ビル6階)

◆主催
公益社団法人 日本証券アナリスト協会   

◆申込方法など詳しくはこちらをクリック

◆問合せ先:公益社団法人 日本証券アナリスト協会 セミナー担当
FAX 03-5640-4529 TEL 03-3666-1515

平成24年1月20日(金)までにお申込み下さい。

 

 


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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