ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくりかた

デュースブルク(ドイツ)


連載|ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくりかた

第5回 人口縮小に対抗して、都市の活力を維持する

明治学院大学経済学科准教授 服部圭郎

 人口縮小問題は日本においても大きな課題である。我が国の人口は2004年にピークを迎え、以後、長期的に減少していくと予測されている。人口が減るということは、都市が縮小するということである。これは、人口密度の減少、市場の縮小、公共施設等の利用効率の低下、公共交通等の利用率の低下、行政サービスの効率の悪化などをもたらす。

 また、人口減少に高齢化も加わる場合が多いこともあり、その都市の活力を大きく削ぐことに繋がる。このトレンドに抵抗することは極めて難しく、我が国も7割の自治体が縮小していく中、ただ手をこまねいているだけのような状況にある。 

 我が国同様にヨーロッパで縮小を経験している都市が幾つかある。その中でも縮小という現実から目を逸らさないで、プラクティカルなアプローチでそれへの対応を検討しているのが旧東ドイツの幾つかの都市、そしてドイツの工業の中核であったルール地方の諸都市である。

 今回、紹介する事例は処方箋ではない。人口減少というのは長期的なプロセスであり、簡単に解決できるような問題ではないからだ。それは、じっくりと腰を据えて、まずは状況をしっかりと把握し、そしてそれへの対応を考えなくてはならない。

 ただ、手をこまねいている訳にもいかない。拙速な対応はむしろ傷口を広げるだけかもしれないが、しっかりと将来を見据えて、戦略を策定し、不断の努力と不退転の決意で対策を図ることが必要となるであろう。その道乗りは厳しいが、我が国特有の問題では決してない。

 実践的で戦略性に富むドイツの取り組みを知ることは、我々に知見だけでなく、勇気も与えてくれると考えられる。

事例)
□ デュースブルク(ドイツ)
□ドルトムント
□旧東ドイツの縮小都市
■デッサウ・ロシュラウ市
■ケドリンブルク
■コットブス


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取材・構成
服部圭郎 明治学院大学准教授

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公益財団法人ハイライフ研究所

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