ハイライフ研究所メールマガジン 第47号

2010年5月28日配信  発行責任 財団法人ハイライフ研究所 事務局

今月10日に世界保健機構(WHO)が発表した長寿命データ(2008年時点)によると、ここ数年、男女ともに長寿国トップの座を守っていた日本は、単独首位から同率首位の座に並ぶこととなった。

並び立つ長寿国はイタリア半島の富裕国・サンマリノ共和国である。サンマリノ共和国は、世界で5番目に小さな国で、人口は約3万人、1人当たりのGDPは34,600ドルである。

今回の発表で、日本、サンマリノ共和国ともに平均寿命は83歳となり193の加盟国のなかで同率首位となった。

男女別のデータでは、サンマリノ共和国が男性80歳(日本79歳)と、一歩リード。一方、女性では、日本が86歳(サンマリノ共和国84歳)と、日本女性がトップを守っている。

日本の平均寿命は、男性79歳、女性86歳で、他国に比べると男女差が大きいのが特徴。

今後日本が再び長寿国単独トップの座に立つためには、男性の平均寿命をのばすか、あるいは女性の平均寿命をさらにのばすか。どちらが現実的でしょう。

それでは今週のハイライフ研究所メールマガジン第47号の内容をご紹介します。

まず、伝説のマーケッター・立澤芳男氏による連載シリーズ「商業と都市生活(商業業態の現場を通じて生活の変化を探る!)」はいよいよ第1回を配信。テーマは「都市・街での役割を終えて消えゆく百貨店」です。

つづいて今月より毎月配信の動画シリーズ、「豊かな公共空間をつくる」。

取材・構成は都市設計に詳しい、服部圭朗 明治学院大学准教授です。ヨーロッパにおける「公共空間」を核とした都市戦略の動向について、最新のレポートをいただきます。また、ヨーロッパ最初の歩行者空間であるコペンハーゲンのストロイエを設計したヤン・ゲール 元デンマーク王立大学教授ほか、有識者へのインタビューも配信の予定です。今回はシリーズ第1回目として、本連載企画の狙いについて服部先生に語っていただきます。

そして今号から3回にわたり、ハイライフ研究所 平成21年度の研究報告をお届けしてまいります。

今号は、2年間の継続研究として実施してきた「食の健康と世代別食育アプローチに関する研究」、その2年目の研究である「食生活力が高齢者の生活を変える」の研究報告をお届けします。研究報告書と動画の両方でご覧いただけます。

最後に特別企画として、ホスピタリティをテーマに、インタビューをお送りします。

お話は、社会学と身体論の立場から日本人の身体の変化を研究されている平山満紀 江戸川大学社会学部人間心理学科准教授。今回のインタビューでは、私たちが毎日の生活の中で感じている「生きにくさ」や「閉塞感」と、現代人の身体との関係について、お話を伺いました。

このインタビューはハイライフ研究所で平成18年・19年に実施されたホスピタリティ研究の検証の一環として行われたものです。

平山先生のお話を伺うと、日本人の身体がいま大変なことになっているのに驚かされます。ぜひご覧ください。(HH)


<今号の内容>
1. 立澤芳男のハイライフデータファイル2010 「商業と都市生活」
2. 新連載|豊かな公共空間をつくる
3. 平成21年度研究報告|食生活力が高齢者の生活を変える
4. 特別企画|ホスピタリティ研究チーム インタビューシリーズ


1.立澤芳男のハイライフデータファイル2010
「商業と都市生活」-商業業態の現場を通じて生活の変化を探る!-

第1回 都市・街での役割を終え消えてゆく百貨店

有楽町西武が今年の年末に閉店するが、この3月末には伊勢丹吉祥寺店がすでに閉店している。今年2010年度では全国で10店舗前後の百貨店が街から消えてゆくそうだ。百貨店が閉店するのは、仕方のないこと。もはや時代のニーズに合わない業態だからだ。昔は、百貨店の紙袋を持って家路を急ぐことがステータスだったこともあった。しかし、時代の流れは変わった。そんなものはステータスでも何でもなくなった。若い世代のブランド離れも百貨店離れに拍車をかけた。今の若い世代はブランド物も、車も必要とはしない。そんなものにステータスを感じない世代が増えている。

衣・食・住、様々なアイテムで自分に似合うものだけを取捨選択して、オリジナルブランドを作るのが今の2,30代のステータスなのである。その感性は、日本の第一ファッション世代であった団塊世代が、彼らの親であることを考えれば別におかしいことでもない。

時代はネットショッピングで世界中から簡単に素早く商品を手にすることもできるようになり、商品の選択眼・情報は売手より早く詳しく知ることもでき、商品購入の機会や購入場も増え選択権は消費者の手元にある。ブランドショップをそろえて高級感を出すというデパートの商法はもはや通用しない。この変化の激しい社会で百貨店業界の地盤沈下は止まらない。都市や街の象徴であった百貨店は今、その場を引き摺り下ろされようとしている。

今回のレポートは、百貨店が街から消えてゆくそのプロセスを追った。

「立澤芳男のハイライフデータファイル2010」は以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3571


2.新連載|豊かな公共空間をつくる

第1回 なぜ 今、公共空間なのか

取材・構成 服部圭郎 明治学院大学准教授

<本連載について>

 政権交代をした民主党の鳩山党首は、「コンクリートから人間へ」をスローガンに、土木資本に偏重していた国家予算を人に振り向ける政策を掲げた。我が国の都市空間は、土木的な社会基盤に多くの投資が為されたが、それにも関わらず、我々は依然として貧困な都市空間を享受せざるを得ないような状況にある。

 人にとっての都市空間の豊かさとは公共空間の豊かさである。政権交代をしたからといって、どのように人にとって豊かな公共空間を整備したらいいかという指針ははっきりと見えてはいない。

 その背景として、まず公共空間というところの公共性がしっかりと把握できていないことが挙げられる。公共空間の貧しさは、これまでトップダウンで「公共」空間を整備してきた行政側の問題だけでなく、「下から」公共性を立ち上げるだけの覚悟と能動性を市民が有していなかったことも理由として挙げられると思われるのである。

 こうした問題意識から、市民にとって本当に豊かな公共空間とは何かを考えていきたい。この連載シリーズでは「豊かな公共空間」の模範をヨーロッパに求めることとする。ヨーロッパはEUのもと、「ヨーロッパ的都市」(European City)の価値を検証している。その価値とは、まさにコンパクトな中心市街地を核とする「豊かな公共空間」にある。現在、ヨーロッパにおいても再検証がすすめられている公共空間の価値についてともに考えることで、日本における豊かな公共性についても問題意識を共有したい。

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=89


3.財団法人ハイライフ研究所 平成21年度研究報告

食の健康と世代別食育支援展開に関する研究
~食生活力が高齢者の生活を変える~

  
1.研究報告書(PDF形式) 2.調査報告書(PDF形式) 3.講演録(PDF形式)


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研究報告動画


<研究の目的>

2005年に食育基本法が成立し、国民自らの生涯健康と健全な食生活の習慣化、正しい食の文化継承や知恵・知識の選択・判断力の醸成を目指した指針が発表された。

21世紀の日本人の生活革新テーマは「健康」「安心」「安全」「環境保全」に集約されているが、これらの事項は「食育提言」や「メタボリックシンドローム改善」等々の諸策として開花している。

しかしながら、国民の健全な食生活・食文化の育成と定着には、具体的食生活改善と文化の定着化、生活マインドの醸成といった具体的行動の方向性を具現化するための様々な課題が多岐に渡り存在している。

この点を踏まえて、本研究では国の食育推進運動を補完すべく、食育展開のより迅速な浸透と実効性を求めて企図し、二年にわたる研究として取組んだ。

食育の推進を計る上では、各々の世代により抱える課題は大きく異なる。昨年度行なった幼児・児童を持つ家庭に絞った研究に引き続き、今年度は高齢者に焦点を当て「食生活力が高齢者の生活を変える」とし、本研究を推進した。


■研究報告書 構成

第1章 高齢者の食育を考える前提と意義
第2章 高齢者の食育とは何か ~これまでの取組みと指針・提言~
第3章 高齢者食育の方向性
第4章 高齢者の食育を捉える枠組み
第5章 高齢者の食生活の実像
第6章 食生活力でみる高齢者の食育課題とアプローチ
第7章 高齢者の食育推進への提言
・別冊 -調査報告書-


■研究体制
新津 重幸 (高千穂大学理事・大学院教授)
丹野 俊明 (株式会社行動科学研究所 代表取締役)
高津 春樹 (財団法人ハイライフ研究所 専務理事)  他


4.特別企画|ホスピタリティ研究チーム インタビューシリーズ



生きにくさ、閉塞感と現代人の身体|お話:平山満紀 江戸川大学准教授/インタビュアー:足立裕子、清家竜介



“現代日本人が急速に、身体の面から衰弱してきていることに、危機感をもったからです。そのひとつの面ですが、姿勢が悪い、呼吸が浅い。日本には「腰肚文化」の伝統があったなどと言われますが、何をするにも「姿勢」が大切だと認識されてきました。しかし、現代日本人は姿勢の重要さを忘れて、集中力なども低下し、また姿勢のせいもあって呼吸が浅くなっています。基礎代謝が低く、低体温などでしょっちゅう具合が悪くなってしまう子どもたちも多いです。(平山先生)”

「ホスピタリティ」をテーマにお話をきくインタビューシリーズ。
今回は、平山満紀 江戸川大学社会学部人間心理学科准教授にお話をうかがいます。

先生のご専門は社会学・身体論で、日本人の身体の変化について、危機感をもって研究を続けられています。私たちが毎日の生活の中で感じている「生きにくさ」や「閉塞感」と現代人の身体との関係について、平山先生よりお話を伺いたいと思います。

PDF ※本インタビューはPDF形式ファイルでもご覧いただけます。

Q.はじめに、平山先生は江戸川大学でユニークなご講義をされていると聞いておりますが、具体的な内容について教えていただけますでしょうか。

平山:はい。今から4年前に人間心理学科の中に身体論コースというのを作りました。現代人の身体には色々な偏りや衰弱などの問題がありますが、それを捉えて改善していく研究をする一方で、学生自身の身体と向き合い、その身体を育てていこうという趣旨のコースです。他の大学にはない授業として、現代身体文化論、整体 の実習、日本の民俗舞踊の実習、ダンスセラピーの理論と実習、身体コミュニケーションの理論と実習、ラテン系ペアダンスの実習などがあります。

Q.それらを始めようとされたきっかけはなんでしょうか。

平山:それは、現代日本人が急速に、身体の面から衰弱してきていることに、危機感をもったからです。そのひとつの面ですが、姿勢が悪い、呼吸が浅い。日本には「腰 肚文化」の伝統があったなどと言われますが、何をするにも「姿勢」が大切だと認識されてきました。しかし、現代日本人は姿勢の重要さを忘れて、集中力など も低下し、また姿勢のせいもあって呼吸が浅くなっています。基礎代謝が低く、低体温などでしょっちゅう具合が悪くなってしまう子どもたちも多いです。子ど もたち、若い人たちは身体自体が衰弱しているために精神力も弱く、知識を受け取る力や、問題に取り組む力が乏しいと思うのです。若い人たちを、身体の基礎 から育てないといけないと思いまして、作ったわけです。

また、身体が潜在的に持っている力をもっと発揮できるような、身体の使い方の文化を、学生とともに研究しています。伝統的な身体文化を再生させることと、日本にこれまでなかった身体文化をはじめることの両面から、21世紀のIT化時代にふさわしい身体文化をこの身体論コースを拠点として作っていこうと、活動してきています。

Q.伝統的な身体文化として、日本の伝統的な民俗舞踊を取り入れてらっしゃると聞きましたが。

平山:はい。「三番叟」とか「綾子舞」など多くの民俗舞踊が古くから各地に伝わっています。プロではなく民衆が、仕事の合間に稽古をして、共同体の中で何百年も伝えてきた踊りで、地方ごとにさまざまな特色があります。

生活だけで手一杯で、 お医者さんにもかかれないような庶民たちが、そのような踊りをすることで身体や心を癒し、整えてきたと考えられます。もし、踊りで筋を傷めたり、翌日に疲 れが残るなど身体に無理がかかることがあれば、ぎりぎりの生活をしている民衆が、続けられるはずがありません。これが何百年も続いてきたのは、体調不良、 生活苦、心の苦しみなどを抱えていても、踊ることで心身が整えられて、より元気になるという要素があるからです。

民俗舞踊は、動きも合理的です。例えばバレエなどの動きは、かなり身体に無理がかかって、プロの人達は、踊った後マッサージや鍼などでメンテナンスをしないと続けられないといいます。民俗舞踊はまったく逆で、身体に無理をかけないどころか、体調不良や怪我などに治癒的な効果があるのです。そして、身体の色々な所を鍛えるようにもできていて、子ども、若者など世代ごとに踊りが違いますが、ちょうど当の年代に相応しい、身体を整える要素があるのです。

私たちも、毎回の実習授業の最初と最後に、自分の身体と心の状態を、5段階で自己評価させるのですが、全員が必ず、最初より最後の方が上がっています。

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編集後記

105年前の昨日(5月27日)、日露戦争を決する日本海海戦が行なわれた。

よく知られているように、当時、バルチック艦隊が宗谷海峡を通るか、対馬海峡を通るかで見方が分かれるなか、連合艦隊司令長官・東郷平八郎は「敵は必ず対馬を通る」と断言し、朝鮮半島の南、鎮海湾で迎え撃つ態勢を整えていた。

27日の未明、東郷元帥の予想どおり、九州の西を対馬海峡に向けて移動するバルチック艦隊を発見。有名な「本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」の打電とともに出撃した連合艦隊の、その後の戦いぶりは周知のとおりである。

105年を経て、今また日本海周辺は危機的な状況にある。

対立色を強める韓国と北朝鮮。今後の動向が非常に気がかりである。北朝鮮はすでに戦時体制に入ったと伝えられる。韓国はもとより、米国・太平洋艦隊も非常に敏感になっている。

東西の冷戦が終わって以降、日本国内では安全保障問題の切迫感が薄らいできたが、朝鮮半島の緊張が高まれば、米軍基地をめぐる国民感情も変化する。普天間をめぐる問題のさなかに今回の朝鮮危機が重なるのは、たんなる偶然だろうか。

日本海、黄海、そして東シナ海の平和を願う。(HH)


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