東京都市圏における『10㎞~20㎞圏エリア』にある街を探訪する。その魅力は?

今、東京都市圏で最も注目されるのは、最大の人口数と世帯数、高い人口密度を持つ
東京10㎞~20㎞圏エリア

東京都市圏における『10㎞~20㎞圏エリア』にある街を探訪する。その魅力は?

第9回 溝の口

溝の口の後背地は、工場地から居住地に大きく様変わり
川崎北部の下町的商業地からの脱却(都会化)はままならず

 東京10㎞~20㎞都市圏にある街がなぜ活性化しているのか?

 本探訪シリーズでは、今まで「自由が丘」「三軒茶屋」「北千住」「中野」「赤羽」「蒲田」「下北沢」をレポートしてきた。今回は東京を離れ川崎市溝の口を取り上げた。溝の口は、多摩川を挟んだ東京の向こう側に立地しているが、渋谷からは急行で約14分である。都心との距離間からいえば北千住や赤羽などと殆んど変わらない。溝の口もまた東京10㎞~20㎞都市圏の街と同様に活気のある街だ。

 溝の口は、東京都心と直結する田園都市線・大井町線の「溝の口駅」と、川崎駅と立川駅を結ぶJR南武線の「武蔵溝ノ口駅」が交錯しており、乗り換えができる。溝の口は、その2つの駅があることから、周辺は駅ビル、デパートや大型ディスカウントショップなど大型の商業施設が集まっている。周辺バス路線も充実しており、溝の口は、JR南武線沿線住民と東急田園都市線沿線住民の交通拠点・買物拠点である。溝の口駅前には、「ポレポレタウン」というかなり大きな商店街もあり、レストランや居酒屋などが充実。この商店街では、フリーマーケットも行われる。また、駅から徒歩5分ほどの場所には、幼稚園から小・中・高、大学まで集まっている洗足学園のキャンパスがあり、多彩なジャンルのコンサートが開催されている。

 しかし、現在の溝の口は大きな悩みを抱えている。かつての工業集積地区として地元地域住民を中心にして推進されてきた現行の街開発や道路建設は、2000年以降のバブル崩壊からなかなか抜け出せず、東京の通勤通学住宅地化のマンション建設の波が押し寄せ、溝の口の利用者層の属性が大きく変わってきている。新旧混在する地域住民のニーズに現在の溝の口の街づくりは必ずしもマッチしていない。

 一方、隣接する「武蔵小杉」は高層マンション街になって人気のある街となり、川を挟むすぐ近くの「二子玉川」は都心を上回る買物街になった。川崎市の都市圏の準都心である溝の口は、立地上は東京都市圏の準都心である。溝の口は今、内と外に目を向けて現在進行中な街づくりを再検討する必要に迫られている。

執筆:立澤芳男(マーケット・プレイス・オフィス代表)

 

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 第9回 溝の口|都市(街)探訪シリーズ連載

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