【データベース】 都市の鍼治療 No.66~No.70

「都市の鍼治療」データベース

 クリチバのジャイメ・レルネル元市長は、都市が抱える問題を手っ取り早く解決するべき方法論として「都市の鍼治療」を提唱しています。

 多くの課題に直面する都市は、さながら病人のようです。そして、都市の鍼治療とは、その都市の病を根本的に治すことは難しいけれども、効果的に「鍼療法のように治す」ことは可能であるという考え方にもとづいた方法論です。

 本データベースは、このレルネル元市長の「都市の鍼治療」という考えにのっとり、内外の「都市の鍼治療」事例をシリーズで紹介していきます。

鍼アイコン066 日本の家(Das Japanische Haus)
066 日本の家(Das Japanische Haus)

 ライプツィヒ市の中央駅の東にあるライプツィヒ・オスト地区は、19世紀後半に工場地区として開発された。その時、ここの工場の従業員のために集合住宅が建てられたのだが、社会主義時代に投資されることはなく、東西ドイツが統一された後は多くの空き家が生じ、ライプツィヒの中でも最も衰退した地区となってしまった。

鍼アイコン067 シュヴェリーンの連邦庭園博覧会 (BUGA in Schwerin)
067 シュヴェリーンの連邦庭園博覧会 (BUGA in Schwerin)

 連邦庭園博覧会は、ドイツで開催される庭園の博覧会であり、斬新なランドスケープ・アーキテクチャーのアイデアが展示される場でもある。1951年にハノーファーで第一回目が開催されて以来、二年に一度のペースで、各都市で開催されている。ドイツの都市における公園は量・質ともに日本に比べて優れていると思われるが、その背景には、この庭園博覧会のような公園整備を推進させる仕掛けが存在するからだと思われる。

鍼アイコン068 ミュア・ウッズ国定公園の保全 (Preservation of Muir Woods National Monument)
068 ミュア・ウッズ国定公園の保全 (Preservation of Muir Woods National Monument)

 サンフランシスコのゴールデンゲート橋を渡るとマリン郡になる。このマリン郡に224ヘクタールの規模のレッドウッドの森が保全されているミュア・ウッズ国定公園がある。サンフランシスコという大都市からわずか19キロメートルしか離れていないとは思えない、静寂なる大木の森である。

鍼アイコン069 花通り Rua das Flores
069 花通り Rua das Flores

 クリチバは、人口180万人の南回帰線のそばに位置する標高900メートルの高原都市で、パラナ州の州都である。クリチバは、また都市計画がうまく実現された都市としても知られている。1971年、その後、世界的に知られることになり、また「都市の鍼治療」の著者でもあるジャイメ・レルネル氏が33歳で市長にのなったばかりの頃、クリチバはブラジルでも最も人口が増加している都市の一つであり、自動車による都心の道路の渋滞が深刻な問題となり始めていた。中心道路である11月15日通りも、多くの通過交通が流入し始め、商店街のアメニティや歩行者の安全を損なうようになっていたのである。そこで、ジャイメ・レルネル氏は、都心の顔ともいえる商店街を自動車から解放し、人々に取り戻そうと考えた。

鍼アイコン070 白金台のどんぐり児童遊園(Donguri Play-park in Shiroganedai )
070 白金台のどんぐり児童遊園(Donguri Play-park in Shiroganedai )

 目黒駅から白金台駅まで目黒通り沿いに歩くと、左手に白金自然教育園がある。森が鬱蒼と生い茂る、山手線内では貴重な自然が残る公園である。その隣にある、明るい芝生とちょっとした散策路と木々がつくりだす木陰が周辺住民に親しまれる公園が、どんぐり児童遊園である。

 

取材・構成
服部圭郎 明治学院大学経済学部教授

制作・配信
公益財団法人ハイライフ研究所

■都市の鍼治療 データベース
http://www.hilife.or.jp/cities

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