シェアする時代
昨年は歴史に刻まれる出来事が内外で起こり、年が明けても「不透明」が合言葉になっています。
私たちの生活意識や行動も大きく揺さぶられたなかで、都市の居住の有り様にも少しずつ変化が訪れているようです。
リビングやキッチン、さらにバス・トイレまで共用した集合居住スタイル「シェアハウス」が若い世代にも支持されて供給が高まっています。
これまでは、住民の主体的な取り組みでセイフティネットを造り上げていこうとするNPO活動の一端に、高齢者や身障者向けのシェアハウスがありました。
若い世代向けのシェアハウスは、3.11以降に特に目立ってきているように思います。
さらに手ごたえを感じた事業主は子育て世帯への展開も検討しているようです。
「所有価値から利用価値へ」と言われて続けてきた住宅・不動産ですが、集まって住む「安心価値」に重きを置く都市生活者が芽生えてきたといえましょう。
「シェア」はこれまではマーケットシェア、マインドシェアと使われることが一般的でした。
この「シェア」は占有率というビジネス場面での熾烈な競争の目標数値です。
また都市のポテンシャルの実勢把握にも都市間競争力としてこのシェアは登場します。
この目標はイノベーションやダイナミズムを導くことから今後とも有効な指標として継続されていくものと思われます。
一方、シェアハウスの「シェア」は共有するという意味になります。
ソーシャルネットワークの世界では『その考えをシェアさせてください』というツイートが飛び交っています。
このシェアには持続可能な都市居住の知恵を感じ取ることができます。
競争と連帯が同居する「シェア」、最近の辞書では「分かち合う」と訳されています。
水と油のような概念がハイブリッドとして居心地良く収まっています。
東日本大震災後の東北の都市では、これからの都市復興、地域力組成の未来の姿に向かって今、生みの苦しみと格闘しています。
しかし、分かち合う「シェア」が必ずや個々人と地域と産業を連結していくものと確信しています。
わが国は、社会保障と消費税の一体改革、TPP、新エネルギー政策の論議が本格化します。
この中には利害の対立が先鋭化しており、足して二で割る決着が難しい政策があります。
そこに、わが国の「シェア」の体力が試されると思っています。
ハイライフ研究所は、時代とともに変化していく都市生活者の意識と行動を調査・研究するとともに、持続可能な都市居住の知恵を発信していきます。本年もよろしくお願いいたします。
2012年1月
公益財団法人ハイライフ研究所
代表理事 理事長 中田安則
ハイライフセミナー開催のおしらせ
第22回 ハイライフセミナー|「来るべきコミュニティへの予兆」
―変化への知恵はあるのか―
主催:公益財団法人ハイライフ研究所
開催日時:2012年3月13日(火) 14:00~17:30(予定)
会場:ヴィラフォンテーヌ汐留ホール
(東京都港区東新橋1-9-2 ヴィラフォンテーヌ汐留1階ホール)
◆開催趣旨
世界規模では人口爆発、他方先進国と東アジア諸国は少子高齢化(人口停滞や人口減少)、という二重の過程が進んでいて、異なる問題を引き起こしています。その中で、日本では、経済的な混迷、過度の市場原理主義、競争原理主義によって、社会の絆は痛み、格差と貧困の問題は深刻化してきています。そして今社会の中に大きな不満と怒りの声が広がってきています。
この危機回避を経済成長にすがるこれまでの問題解決の方法論に求めるには限界があることは明らかです。今、社会を構成している市場経済圏の外にあるもう一つの社会構成要素である「コミュニティ」に問題解決の新たな契機を求める動きに注目が集まってきています。
公益財団法人ハイライフ研究所の昨年からのコミュニティをテーマにした研究「次世代の都市生活を豊かにする知恵のアーカイブの研究」は市場経済圏外にある本来の社会の中心であるはずのコミュニティに問題解決の「知恵」の源泉を求め、コミュニティの再生を図ることにより、真の「豊かな生活」を生み出して行くライフスタイル(ライフリテラシー)へとつなげようとする研究です。
研究の発端は1970年に出版された「人間都市」(『別冊都市住宅No.1』鹿島出版会刊)という未来への提言書でした。高度成長型社会への批判とその解決策を10項目に分けて具体的に示したものです。1970年前後は、世界的な反体制運動があり、その後の住民運動・市民活動、NPO活動などの契機となっていきました。しかしながら現実の社会は、「人間都市」から40年、その提案とは相反するものとなってしまい、金融危機やエネルギー危機に端的にあらわれているように、都市、農業、福祉、教育、雇用など様々な分野が危機に瀕してきています。
このように日本の社会は多くの問題を抱え、深い痛手を負っている最中に、私たちは未曾有の複合大災害「3.11」を経験しました。多くの人々が日常という本当に大切なものを失いました。そして大惨事に対するショック以上に「信じていたものからの裏切り」に対する怒り、頼るものを失った寄る辺無さ、施され選別されることへの不信感等々は、個々人がコミュニティの持つ機能の重要性を再認識するに十分なきっかけとなりました。それは、これまでのライフスタイル(ライフリテラシー)も転換をせざるを得ないということの「気づき」でもありました。「消費」「所有」「競争」などに代表される価値から、「生産」「共有」「共助」「贈与」などの価値を重視する暮らしへの転換が求められているということではないでしょうか。
このたび、2年間の研究成果の報告・発表を目的として、「来るべきコミュニティへの予兆」と題してシンポジウムを開催することとなりました。上記趣旨文にあるように、人々の価値観もライフスタイルも変容しているのに、社会の基本構造は変われないでいます。この状況に、短気を起こさずに冷静に対処していくための方策の検討をこのシンポジウムの場で出来ればと思っております。一人でも多くの方々のご参加を期待しております。
◆実施概要(予定)
◇第一部 研究概要、シンポジウム主旨、研究総論
柏木 博 武蔵野美術大学教授
「過去との比較によるコミュニティ論」
長沼行太郎 文化学院主任研究員
「介護とコミュニティ」
大竹 誠 現代デザイン研究室主宰
「コミュニティに果たすアートとまつりの役割」
伊藤 剛 有限会社ASOBOT代表取締役
「非常時(紛争と災害)から考えるコミュニティ再生」
◇第二部 研究発表者およびゲストによるパネルディスカッション
参加費:無料
お申込方法:次号(2月8日配信)のハイライフ研究所メールマガジンでお知らせします。
第3回 大震災・原発事故から約10ヶ月!都市生活者のビヘイビアとその後?
昨年の2011年3月11日に東北地方を大地震と大津波が襲った。
あれから10ヶ月経過し、現在の日本人の生活はどう変わったのか。
人々は震災で一瞬にして自分の大切な人やモノ、街を失った被災者の様子をテレビやインターネットを通して目の当たりにしたが、その後、今までにない生活行動が浮上してきた。人々は根本的価値観を共有できる人と絆を深め、それと結びつくモノやサービスに消費をするようになった。
今年度の「都市生活者意識調査2011」(2011年10月実施)では、特別に東日本大震災をテーマに東京在住者及び大阪在住者を対象に、大震災や原発事故をどう受け止めたのかどのように生活対応をしているのか、生活価値観はどう変わったのかを聞いている。
注目したことのひとつは、未曾有の大災害(東日本大震災と原発事故)を、東京在住者と大阪在住者(平成7年1月17日に阪神大震災を経験)は、それぞれどう受け止めたのか、そして現在どのようなことに関心を示すのかを「地域差」としてみること。
もう一つは、東京在住者は誰でもが直接的・間接的に被害を受けたが、震災当日の行動はどうしたのか、そして震災後の生活はどうなっているのかについて、世代差(=年齢別)を見ることであった。
実際に、アンケート調査や聞き取り調査の結果を見てみると、人々の心の変化が見えてくる。昨年2011年は「東日本大震災と原発事故が起こった年」として、おそらく100年後も人々に記憶されるだろうし、原子力発電も含め、「歴史の転換点」として位置づけられるだろうが、今年はその東日本大震災と原発事故から二年目を迎える。
今まで立ち止まって考えることがなかった「自分にとって大切な人はだれか」「自分にとって重要なことは何か」ということに思いを巡らせ根本的な自分の価値観が問われた中。今年はどうなるのか?注視する必要がある。
執筆:立澤芳男(マーケット・プレイス・オフィス代表)
詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=105
心地よい都市と地方を再創造する論点|第4回 田邉敏憲氏インタビュー
■テーマ 「 日本のエネルギー、食料、医療、そして経済の新しいカタチ 」
<主旨>
現在、日本の市場は成熟化し、かつての経済成長が期待できない中で、生産年齢人口の減少が進行し、デフレ、円高、産業空洞化などの経済的な問題、また高齢化社会に対応する医療・福祉・介護・年金の問題、そして食料の自給率やエネルギー問題、さらに地方の経済的疲弊など様々な課題に直面している。
しかしながら、現状は、我が国の持続可能な成長のための有効な政策が打ち出せず、さらなる停滞を招いているのが実態である。
今回は、これらの諸課題に対応し、豊かな日本の再生、そして快適な都市と地方の再創造を行うため、エネルギー、医療、食料、経済等の観点からインタビューを行い、その打開策を探る。
■田邉敏憲(たなべ・としのり)氏 プロフィール
埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授、(株)アジアバイオシステムズ 取締役兼地域産業金融研究所代表、(社)CRD協会理事(中小企業信用リスク情報データーベース)
昭和24年広島県生まれ。京都大学法学部卒。48年日本銀行入行後、大蔵省官房調査企画課出向、ニューヨーク駐在員、考査局、調査統計局、発券局総務課長、長崎支店長などを歴任し、平成9年日本銀行を退職。10年長崎県知事選挙立候補。同年(株)富士通総研入社、同経済研究所主席研究員。この間、中央大学専門大学院客員教授、「日本の国益委員会」代表など兼務。産業金融、地域経済、医療、環境・エネルギーなどに関する政策が専門。
著書に『アメリカの金融機関経営』(東洋経済新報社)、『アジア効果で活気づく長崎』(編著、東洋経済新報社)、『手にとるように金融のことがわかる本』(かんき出版)、『新資源大国を創る』(編著、時事通信社)、『大逆転!日本金融』(中央公論新社)などがある。
詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=103
2020年の都市居住、その佇まいを探る。
~持続可能な都市居住をめざして
2011年11月15日(火)、ホテル・ヴィラフォンテーヌ汐留(東京)において第21回ハイライフセミナー「2020年の都市居住、その佇まいを探る。~持続可能な都市居住をめざして」が開催されました。
20年におよぶわが国のデフレ経済は社会のいたるところに歪みをもたらし、人口減少時代に切りかわった今、猛スピードで超高齢化社会へ向かうところとなっています。都市生活者にとって、豊かな未来への手ごたえを実感するのが年々、困難になりつつあります。そして、3.11。東北の景色と地図が一変してしまった惨状。歴史上、都市居住の持続可能性が今日ほど問われている時代はないといえます。
こうしたなかで、都市居住の豊かさの研究と実践に取り組んできた専門家を招いて、手の届く近未来2020年、都市居住をほんの少し魅力的なものにしていくための知恵を交換するセミナーを開催することにいたしました。
セミナーの内容をシリーズでお届けしてまいります。
今回は、 服部 圭郎氏のプレゼンテーション「一億総“主人公”時代~個が未来をつくる」をお届けします。
<プレゼンテーション>
◆温故知新で豊かな東京(都市)を再生する
榎本 元 株式会社読売広告社 都市生活研究所所長
◆日時:2011年11月15日(火) 15:00~18:00
◆会場:ホテル・ヴィラフォンテーヌ汐留
◆主催:公益財団法人ハイライフ研究所
◆協力:株式会社読売広告社
詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=5679
2万人の障害者が働く、スウェーデン企業 サムハルとは
2011年11月6日、田園調布学園大学講堂(神奈川県川崎市)において講演会「2万人の障害者が働く、スウェーデン企業 サムハルとは」が開催されました。
福祉社会スウェーデンを象徴する、障害者雇用企業 サムハルの理念、歴史、実態をご紹介するとともに、日本での障害者雇用の問題を探っていきます。
ホームページでは当日のセミナーの模様を配信しています。
セミナー|2万人の障害者が働く、スウェーデン企業「サムハル」とは
会場 :田園調布学園大学講堂(神奈川県川崎市)
日時 :2011年11月6日
主催 :ノーマライゼーション推進協議会
撮影・配信協力 :公益財団法人ハイライフ研究所
詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=5845
第20回 A地区仮設住宅訪問 平成24年1月10日(火)
大震災から10ヶ月、新しい年を迎えたA地区仮設住宅への訪問である。松下と森の所属する大学は創立20周年を迎える。この創立記念事業「空飛ぶクジラ 絵本コンテスト」のため、今回も森は参加できない。また、学生も成人式で地方の実家に帰省し戻ってきていない等で参加がなかったが、今回初めて図書館のN研究員が同行した。
今回の持ち込んだメニューは、新年にふさわしく「縁起だるま」のペーパークラフトと音楽に合わせた健康体操のふたつである。
集会所に着くと、若い女性がすでに部屋を暖めてくれていた。T相談員である。昨年8月から国の施策として配置された生活支援アドバイザーとの連携もパイプが太くなり、A市児童相談所のT相談員の参加についても事前に連絡をもらっていた。暖められた集会室の中央には大きな長方形のコタツが置かれ、I地区仮設集会所と同じようにサロンの雰囲気が漂っている。車から材料やキーボードを降ろすと、松下とN研究員は早速、戸別に案内に廻ることにした…
執筆
LLPまち・コミュニケーション研究会 友田修
城西国際大学福祉総合学部 松下やえ子 森洋子
詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?cat=104














