ポートベロ・ロード・マーケット(Portobello Road Market)

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キーワード:

アイデンティティ, コミュニティ, 都市観光, イベント, イングランド, マーケット

鍼レベル:

ストーリー:

 ロンドンの西部にあるケンジントン地区にポートベロ・ロード・マーケット(通称:ポートベロ・マーケット。以下、これで統一する)。それは、ポートベロ・ロードという通りの約1キロメートルに展開する露天市である。銀行の休日以外は、月曜日から日曜日まで毎日、何かしらの市が立っているが、最も多くの人出を見るのは土曜日の骨董市である。土曜日だとおよそ10万人が訪れると推測されている。
 この通りに市が立つようになったのは19世紀頃からであり、その時はおもに野菜や果物などが中心であった。骨董市は1960年代頃から出てくるようになり、現在ではイギリス最大の骨董市となっている。ポートベロ・マーケットはウエストボーン・グローブからゴルボーン・ロードの940メートル区間にて開催される。地下鉄の最寄り駅はノッティングヒル・ゲートとなる。
 市の開業時間は月曜から水曜が9時から18時、木曜が9時から13時、そして金曜日と土曜日が9時から19時となっている。最近では金曜日もポートベロ・ロードの南側では骨董が売られるようになっている。ポートベロ・マーケットと一言で括られているが、実際は幾つかの市から構成されている。すべての市が立っているのが土曜日である。土曜日には、大道芸人も多く出演し、賑わいを演出するのに一躍かっている。
 ポートベロ・マーケットに出店するためには2つの方法がある。1つは区役所が管理している店舗に出すことである。これらは公道である道路空間に出店するものとなる。出店料は安いが、出店するための競争率は高い。さらに販売するものも「50年以上の品」もしくは「極めて珍しいもの(very unusual goods)で他の出店者が販売していない品」などに規定されていて、狭き門となっている。もう1つは、沿道の店主に出店するスペースがあるかを直接、尋ねることである。ついていれば、出店することができるかもしれないが出店料は高いそうだ。

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 土曜日のポートベロ・マーケットを訪れると、あまりの人出の多さに驚く。人が多すぎるので、まっすぐ移動することさえ困難である。ポートベロ・マーケットを魅力的なものにしているのは、その建物群のデザインである。ビクトリアン様式のパステル・カラーのテラス住宅がファサードを彩る様子は、まるでクレヨンが連なっているようであり、ボヘミアンのいい雰囲気を醸し出している。
 ポートベロ・マーケットをはじめとしてバロー・マーケット、ブリック・レーン、カムデン・ロックなどそれまでロンドンの人達を中心として人気を集めていたところに多くの内外の観光客が訪れるようになっている。2000年頃から、ミレニアム・プロジェクト、公共空間のアップグレード、そしてオリンピックを機に、温故知新ともいうべき昔ながらのロンドンの「ハレ」的な要素を有するネイバーフッドが人気を博しているのである。
 ポートベロ・マーケットが何か新しいことを敢えてしている訳ではない。ただ、伝統的なイベントをしっかりと維持管理していくこと、ファサードを変更するような建て替えには十分に注意していることなどを通じて、伝統的な価値を次世代に継承しようとしている。この姿勢が結果的に、他の都市では追随をすることが難しい、ロンドンならではの独特の魅力を発現させることに寄与している。ただし、最近の過剰ともいえる人気は家賃の値上げを促しており、訪問客の増加による売上げでも追いつかない店舗も増えてきているそうだ。
 ポートベロ・マーケットはジュリア・ロバーツとヒュー・グラントが主演した映画『ノッティングヒルの恋人』で舞台となった。ロンドンという大都市での奇跡的なラブストーリーの舞台としてふさわしいロンドンらしさが、ポートベロ・マーケットが存在する地区には溢れている。そして、その魅力の源はこのポートベロ・マーケットなのではないだろうか。そのように来る人に感じさせるような何かがこのポートベロ・マーケットにはある。そして、それを今日まで、そして将来まで維持させようとしている姿勢こそが、ロンドンの都市の鍼治療なのではないかと思わせる事例である。

事業主体:

地主、ケンジントン・チェルシー区(The Royal Borough of Kensington and Chelsea)

事業主体の分類:

自治体, 民間

デザイナー、プランナー:

N/A

開業年:

19世紀(野菜市)、1960年代(骨董市)

類似事例:

017 デービス・ファーマーズ・マーケット、デービス(カリフォルニア州、アメリカ合衆国)
006 バロー・マーケット、ロンドン(イギリス)
・世田谷ボロ市、世田谷区(東京都)
・クリスマス・マルクト、ドルトムント(ドイツ)
・クリスマス・マルクト、エアフルト(ドイツ)
・クリスマス・マルクト、ニューンベルク(ドイツ)
・クリニャンクールの蚤の市、パリ(フランス)
・チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケット、バンコク(タイ)
・コルベノヴァ蚤の市、プラハ(チェコ)
・ユニオンスクエア・ファーマーズ・マーケット、ニューヨーク(ニューヨーク州、アメリカ合衆国)

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