エコロニアの環境共生まちづくり

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キーワード:

2014年度 ,オランダ ,コミュニティ ,ルシアン・クロール ,住宅地 ,多様性 ,環境共生 ,鍼レベル 中

鍼レベル:

ストーリー:

 エコロニア住宅団地はオランダ、アルフェン・アーン・デン・レインに位置するエコタウンである。エコロニア住宅団地は、オランダ政府のエネルギー環境庁(NOVEM)および公共住宅推進機関「Bouwfonds(住宅金融組合)」の共同により事業化された「環境にやさしい」住宅団地であった。開発面積は約2ヘクタール、供給戸数は101戸と決して大きくはないが、いろいろな実験的な試みがなされており、周辺の郊外住宅地とは一目で分かる強烈な個性を発揮している。
 その開発指針は、「省エネルギー」「資源のリサイクル」「住宅の品質」。「省エネルギー」とは超断熱、太陽エネルギー利用、建設と生活の省エネルギーを推進すること。「資源のリサイクル」とは水と材料の省資源、保守不要の高耐久性材料と有機的建築を提供すること。「住宅の品質」とは防音、健康と安全を図ることである。
 エコロニアは9人の建築家によって設計された。そして、団地の全体計画とその総合コーディネーターを務めたのがベルギーの建築家であり、ルーバン・ラ・ヌーブ大学の設計で知られるルシアン・クロールであった。
 開発においては、ここが干拓地であったために、まずはオランダの十八番の治水から始め、敷地計画はルシアン・クロールが住民参加形式の手法によってつくりあげていった。そういった点で、この全体計画を策定したのは正確にはルシアン・クロールではなくて、ルシアン・クロールの指揮によって住民達がつくりあげた、という方が正確である。2ヘクタールと大きくないということもあるが、団地特有の画一性はなく、多様性のある印象を空間が与えるのは、「環境共生」といったコンセプトは共有しているが、9人の異なる建築家によって住宅が設計されたからであろう。そして、何よりルシアン・クロールは大量生産された「同じ住宅」を嫌う。この多様性は、エコロニアを取り囲む アルペン・アンデラインの駅周辺のニュータウンが同じ家ばかり建ち並んでいるのとは極めて対照的である。
 ルシアン・クロール達は、道路計画を考えるのに当たっては自動車ではなく、歩行者のために計画を策定した。車1台に木1本というスローガンを立て、まちを樹木で覆うようにした。雨水に関しては、配水管に流して捨て去るのではなく、できるだけ長く地表にとどめるようにした。そこから雨水は、地下帯水層と接し沼生植物が群生する池へ向かうように配慮している。植栽では、2種類の樹木、「家の木」と「まちの木」を用意している。街路樹を住宅の幅とは全く関係のない、一定間隔で列植することで、各戸の家族が愛着を持てるような異なる樹木が割り当てられている。このようにして、環境にやさしいコミュニティが実現したのである。

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 エコロニアを訪れて気づくのは、太陽光を取り入れるための天窓が多く採用され、またソーラーパネルを屋根に取入られている家が多いことである。温室やガーデンループを設置している家、直接省エネルギーには結びつかないかもしれないが、屋上緑化されている家も多い。
 このエコロニアの象徴的な空間は、ほぼ敷地の真ん中に位置しているビオトープの池である。この池は、敷地から出てくる雨水を集めている調整池である。雨水は池に生息している微生物や葦などの植物によって、ここで浄化されて排水される。インドなどでみられる自然浄水と考え方は似ている。池の深さは30センチと浅く、安全面での配慮がなされている。
 エコロニアは大規模開発によってつくられたニュータウンによって周囲を囲まれている。エコロニアは外部の世界とは、まったく異質なサンクチュアリのような住空間である。それは、エコロジーを強烈に意識しているからというだけでなく、多様性を強く意識しているからであろう。この多様性、そしてそれぞれの住宅の個性を尊重するという設計思想が、ここを周辺とは違うユニークな住宅地へとさせていると考えられる。
 住人に住み具合を聞いた。「ここに住んでから1年しか経っていないけれども、非常に気に入っている。特に周辺の地区よりも値段が高いということはないなあ。エネルギー消費量が減って節約しているかは分からない。しかし、自動車がゆっくりと走らざるをえないので、子供を育てるのにはいい環境かな」。
 エコロニアの住環境は住民同士のモラルで守られていて、特に管理組合などはない。その代わり、まちの構造が管理協定のような働きをしている。例えば、洗車をするとその排水は全て池に流れ込み、魚や水草に影響を与える。その結果、池から悪臭がするようになるので、その様なことを自然としなくなるなど、住民がまちづくりと住宅づくりを良く理解していることによって、まち全体が快適に保たれていると住民が指摘する。
 大量消費・大量廃棄といったサステイナブルではない社会を変革するという点で、周辺のニュータウンと大きく特徴を異にする、規模的には大きいが鍼治療的なプロジェクトであると考え、紹介させてもらう。

事業主体:

エネルギー環境庁、公共住宅推進協会、多様性

事業主体の分類:

準公共団体

デザイナー、プランナー:

ルシアン・クロールその他

開業年:

1993年

類似事例:

089 ヴィレッジ・ホームズ、デービス(カリフォルニア州、アメリカ合衆国)
147 レッチワース田園都市ヘリテージ協会
148 ラッドバーン
・シーサイド、フロリダ州(アメリカ合衆国)
・ケントランド、メリーランド州(アメリカ合衆国)
・ファウバーン、フライブルク(ドイツ)
・ウッズランド、テキサス州(アメリカ合衆国)
・シーランチ、カリフォルニア州(アメリカ合衆国)

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国:オランダ
州・県:サウス・ホートランド県
市町村:アルフェン・アーン・デン・レイン市