マンチェスター・カーブ(ピカデリー・カーブ)

マンチェスター・カーブ(ピカデリー・カーブ)1

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キーワード:

アクセス, イングランド, , 歩道, 歩道橋, 歩車分離

鍼レベル:

ストーリー:

 マンチェスターの中央駅であるピカデリー駅は西側にロンドン・ロードという大通りが走っているため、駅から西側へ歩行者がアクセスすることは極めて難しかった。したがって、駅に近接しても、その西側はあまり投資が為されずにいた。しかし、ここにピカデリー・プレイスという複合用途のオフィス開発が計画されると、このアクセスの悪さを解消するために、この地区と駅とを分断していたロンドン・ロードに橋を架けることにした。
 この橋は10メートルの高さで、長さは38メートルに及ぶもので、デザインはベッドフォードのバタフライ橋やゲーツヘッドのミレニアム橋(File 003)などで知られる国際的なウィルキンソン・エアー建築事務所が担った。
 この橋の名前は公募によって「マンチェスター・カーブ」と命名された。
 この橋は毎年350万人が渡っている。ピカデリー駅はおよそ2,500万人の利用者がいると推測されているので、駅利用者の17% ぐらいがこの橋を使っているということになる。また、これは、一日辺りに換算すると約1万人弱となる。この橋がつくられたことで、新しくつくられたピカデリー・プレイスはもちろんのこと、マンチェスターの中心でもあるピカデリー・ガーデンスと中央駅との歩行者のアクセスも格段に改善された。

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 マンチェスター・カーブはその意匠が特徴的であり、都心部のランドマークとしても重要な機能を果たしていると思われる。二つの傾斜したアーチは、デザイナーのエアーがそれ以前に設計したベッドフォードのバタフライ橋を彷彿させるが、マンチェスター・カーブのような極めて都市的な環境の方がより強烈な存在感を放っていると思われる。その橋はデザイン的な饒舌さがなく、エレガントで現代的であり、それまで衰退の一途をたどってきたマンチェスターが再生し、新たな21世紀の都市となる、その顔にふさわしいものであると思われる。
『都市の鍼治療』を著したジャイメ・レルネル氏は都市の活力を高めるためのアクセスの重要性を再三、指摘してきている。また『City Form』という著書で望ましい都市の在り方を論じた元マサチューセッツ工科大学の教授であったケビン・リンチも、しっかりとした都市が有するべく5つの条件の一つとしてアクセスを掲げている。
 マンチェスターは1930年前後に75万人まで人口が増加するが、それ以降、一貫して人口が減少し、2000年前後には人口40万人を切りそうになるまで縮小する。しかし、21世紀になると、都心再生政策が功を奏して人口はV字回復することになり、現在は人口50万人ほどになっている。このような人口回復は、都心部の魅力を創造することに成功したことに起因していると考えられる。そして、そのような施策の中でも歩行者のアクセスの改善に注目した本事例は、まさに幾何学の問題を解くうえのブレークスルーとなる「補助線」を引くような象徴的なものでないかと考えられる。まさに優れた「都市の鍼治療」であると考えられる。

事業主体:

マンチェスター市

事業主体の分類:

自治体

デザイナー、プランナー:

ウィルキンソン・エアー建築事務所, 施行:CTS Bridge Ltd.

開業年:

2007年

類似事例:

003 ゲーツヘッド・ミレニアム・ブリッジ、ゲーツヘッド(イギリス)
・ ミレニアム・ブリッジ(ロンドン、イギリス)
・ ブルックリン・ブリッジ(ニューヨーク、アメリカ合衆国)
・ アラミリョ橋(セビージャ、スペイン)
・ ムヘール橋(ブエノスアイレス、アルゼンチン)
・ カレル橋(プラハ、チェコ)
・ カペル橋(ルッツェルン、スイス)
・ スタリ・モスト橋(モスター、ボスニア&ヘルツェゴビナ)
・ パイソン橋(アムステルダム、オランダ)
・ ロード橋(ユトレヒト、オランダ)
・ ヘリックス橋(シンガポール、シンガポール
・ 眼鏡橋(長崎市、長崎県)

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国:イギリス
州・県:グレーター・マンチェスター県
市町村:マンチェスター市