パリ地下鉄のアールヌーヴォー・デザイン

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キーワード:

フランス ,鍼レベル 中

鍼レベル:

ストーリー:

 パリの地下鉄は1900年につくられた。当時、アール・ヌーヴォーが時代を席巻していた。そして、オースマンの幾何学的なデザインへの抵抗もあり、地下鉄の施設の意匠は、当時、アール・ヌーヴォーの建築家として名を馳せていた建築家エクトール・ギマールが担当した。ギマールが設計した地下鉄の入り口は、繭のような形状に、花弁のようなガラスの庇が覆い被り、建物には蔦のような意匠の鋳鉄が絡みついているようなものであった。1900年はパリ万博を開催した時期とも重なり、当時の新素材である鉄やガラスを利用したことが特徴であり、それはパリッ子だけでなく、パリを訪れた多くの人に驚嘆をもって迎えられた。

 しかし、第一次世界大戦後にモダンデザインが普及し、アール・ヌーヴォーは時代遅れなデザインとして忘れ去られる。ギマール設計の地下鉄駅も二駅(16区にあるポルト・ドフィーヌ駅と18区のアベス駅)を残してすべて取り壊されてしまった。1960年代になると、今度はアール・ヌーヴォーのリバイバル運動がアメリカで起き、それが再評価されるようになると、パリのギマールが設計した地下鉄駅も見直され、それが複製されることになる。

 パリの地下鉄駅は、地下鉄という公共施設であるため、多くの人が利用する。そのような施設において、アール・ヌーヴォー時代のパリを思い起こさせるこの地下鉄駅の意匠は、都市の貴重な記憶を継承させる装置としても重要な役割を担っていると考えられる。
 特に、取壊を免れたポルト・ドフィーヌ駅とアベス駅はオリジナルな姿を今日に伝え、建築文化遺産としても重要な存在である。
 1978年にはパリに実在するアール・ヌーヴォーの作品のほとんどが歴史的記念物として登録されている。

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

 パリはフランスの首都であり、世界都市であると同時に、歴史文化都市でもある。日本でいえば、東京と京都が一緒に存在するようなものであり、その都市運営は極めて難しいものがあるだろうと思われる。そして、パリはその時代ごとに、その時代を象徴するような事件や流行の舞台ともなっており、それぞれの時代を記憶継承させる機能をも担うことが期待される。パリが世界でも突出して魅力ある都市として人々を魅了するのは、この機能をしっかりと果たしてきているからだと思われる。東京や大阪が世界的にみると今一つであるのは、この点がしっかりと出来ていないからだと思う。最近では、京都もこの点で個人的には不安を覚えている。

 1890年から1910年といった短い期間であったが、ヨーロッパに流行したアール・ヌーヴォーという芸術運動は、ドイツではユーゲント・シュティール、スペインではモデルニスモと呼ばれ一世を風靡した。ただ、それらはモダニズムが興隆するとアール・デコに置き換わり、忘れ去られ、パリにおいても古くさいものとして取り壊された。特に、公共施設であるパリの地下鉄駅などは、政策として取り壊されていった。しかし、幸いにして、ポルト・ドフィーヌ駅とアベス駅という二つの駅は保全され(ただし、アベス駅は市役所駅のものを移設したものである)、その後、シャトレ駅はこの両駅と同じように2000年に天蓋(庇)のレプリカを設置し、また、多くの駅はギマール時代の欄干を復元させている。

 オリジナルの地下鉄駅の入り口は勿論だが、これらレプリカの駅の入り口も、パリらしさを演出するのに大きな役割を担っており、1900年のパリ万博時代のパリの都市としての勢い、エネルギー、創造性を感じさせる。

事業主体:

パリ市

事業主体の分類:

自治体

デザイナー、プランナー:

エクトール・ギマール(Hector Guimard)

開業年:

1900年

類似事例:

・ プラハの地下鉄駅、プラハ(チェコ)
154 ストックホルムの地下鉄ホームのアート事業、ストックホルム(スウェーデン)
062 ストリッシュコフ駅、プラハ(チェコ)
・ ユニオン・ステーション、セントルイス(ミズーリ州、アメリカ合衆国)
・ キングス・クロス駅、ロンドン(イギリス)
099 旭川駅、旭川市(北海道)
・ ショッピング・エスタシオン、クリチバ(ブラジル)
・ アンダーグランド・アトランタ、アトランタ(ジョージア州、アメリカ合衆国)

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国:フランス
州・県:イル・ド・フランス地域圏
市町村:パリ市