シンガポール中心市街地照明マスタープラン

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キーワード:

シンガポール, マスタープラン, 景観デザイン, 都市デザイン, 夜間照明, 面出薫

鍼レベル:

ストーリー:

シンガポールの最近の成長ぶりは著しい。世界屈指のグローバル都市として位置づけられ、アメリカのシンクタンクが発表した世界都市ランキングではロンドン、ニューヨーク、パリに次いで世界第四位。勤労者世帯の平均世帯月収は、既に東京都のそれを大きく上回っており、実際、物価もシンガポールの方が東京よりも高い印象を受ける。

そのように都市の格が急上昇しているシンガポールであるが、世界都市としての歴史が浅いため、そのアイデンティティが確立できていないことが、そのアキレス腱ともなっている。そこで、夜間照明のデザインのマスタープランを策定することで、シンガポールの新しい都市像を創造することを企画した。

このマスタープラン、そしてそれを達成するためのガイドラインの作成を手がけることになったのは、日本を代表する照明デザイナーである面出薫氏率いるLPA(Lighting Planners Associates)であった。それまでのアジアの都市照明は、欧米風を常に意識していたのだが、LPAは「シンガポール独自の個性的な都市照明を目指すべきだ」とし、「気候風土や歴史、民族、文化などの特質が、夜景や都市照明に色濃く反映されるべきだ」(LPAのHP)と考えた。

この夜間照明マスタープランでは、シンガポールを代表する瀟洒なデパート街であるオーチャード街、シンガポール川、大規模な都心の商店街であるブギス地区、都心業務地区、そしてマリーナ湾地区という広範囲をカバーしていた。それは、計画策定からの30年後を見据えて、シンガポールという熱帯に位置するコスモポリタン都市の夜間景観を構想したものである。この計画は、LPAとシンガポール都市再開発公社との密接なチームワークと協働作業によってつくられることになった。

マスタープランの特徴であるが、まず広域での照明計画ということもあり、光で照射される建築、ランドスケープと、それが照射されないことで創り出される闇との対比によって空間にリズムをつくることをも意識した。

そして、地区ごとの特徴も照明デザインの違いによって表現することを意図した。オーチャード街は、その特徴的な街路樹さらには交差点を照射することにし、世界レベルでのブランド街のリニア−な夜景を演出した。シンガポール川では、水の存在感を表現できるようにすることが意識され、3つの波止場を光によって連結させ、また、橋の下を通る歩道を照明によって明るくし、治安向上を図ると同時に、視覚的にも人の関心を惹くような空間を創出した。そして、ブギス地区は、その活力ある文化的坩堝という祝祭性を表現できるようにダイナミックで動的な照明とし、ランドマークや玄関口をハイライトするようにした。都心業務地区、そしてマリーナ湾地区においては、コスモポリタン都市を意識し、三次元の熱帯的夜間景観を演出することにした。このマスタープランで提示された計画は、最新の省エネルギーの照明技術を用いて、建築物・ランドスケープと照明とを統合されるような形で具体化された。

同プランはシンガポールの2010年の大統領デザイン賞を受賞している。

【参考資料】

シンガポール都市再開発公社のHP
https://www.designsingapore.org/pda/award-recipients/2010/lighting-masterplan-for-singapore-city-centre

Lighting Planners AssociatesのHP
http://www.lighting.co.jp/japanese/project-detail/36

ロケーション:

都市の鍼治療としてのポイント:

2018年8月にハリウッドで公開された映画『クレイジー・リッチ(原題:Crazy Rich Asian)』は、主演俳優のほとんどがアジア人に配役されたものとしては、画期的なヒットを記録した。この映画の舞台はシンガポールであり、シンガポールの新しい見所であるマリーナ・ベイ・サンズ、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイなどが、華僑の大富豪のハチャメチャな生活ぶりを見事に彩っていた。この映画で、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの巨大な人工樹の印象深いライティングに目を取られた人もいるのではないだろうか。

現在のシンガポールを夜歩くとその夜景の美しさに魅了される。特に日本でも広く知られることとなった2010年に建ったマリーナ・ベイ・サンズ、それに隣接した2012年に開業したガーデンズ・バイ・ザ・ベイの夜間照明は、シンガポールの新しい都市の魅力として、世界に発信されている。

歴史的建築物が多くなく、都市のストーリーもそれほど豊富ではないシンガポールという新興都市が、そのアイデンティティを強化するうえでも、都市マーケティング的観点からのブランディング事業としても、極めて効果的なプロジェクトであり、絶妙な「都市の鍼治療」事例であると捉えられる。

事業主体:

シンガポール市都市再開発公社(Urban Redevelopment Authority)

事業主体の分類:

自治体

デザイナー、プランナー:

Lighting Planners Associates

開業年:

2006

類似事例:

107 御堂筋イルミネーション、大阪市(大阪府)
・ 中之島地区「光のマスタープラン」、大阪市(大阪府)
・ 光の祭典、リヨン市(フランス)
・ 税関線(フラワーロード) のライトアップ、神戸市(兵庫県)
・ JR東京駅丸の内駅舎復元ライトアップ、千代田区(東京都)

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国:シンガポール
州・県:シンガポール
市町村:シンガポール市