ハイライフ研究所 平成18年度研究報告
   都市の価値をはかる

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4分40秒

 都市では人々が集まることによって価値が生み出される。それこそが都市の発生の原点と言える。物資の交換から始まり、時代が下るにつれて情報の交換がますます重要になってきた。しかし、今日では商品や情報を手に入れるためにわざわざその場を訪れなくても、通信手段の発達によって容易に入手可能になっている。それにも関わらず、依然として人々は都市を訪れる。都市には物や情報を供給するという顕在的な役割のほかに、そこに人が身をおくことで初めて可能となる空間体験をもたらす潜在的作用も持っているようだ。21世紀は、多様な価値観が交錯する時代だと言われるが、人々が都市に求める価値もさまざまである。
 
 従来から、「景観の良い街」「安全・安心な街」「経済的効率の良い街」「地球環境に優しい街」などの都市の価値をはかるいくつかの物差しが提案され、それぞれに体系化された一定の研究成果もある。しかし、これらの価値は、都市生活の当事者ではなく、都市を客観的に捕らえている計画者や評論家としての価値ではないだろうか、そして、これらの価値基準に従うだけでは、東京だけではなく、日本全国、金太郎飴のように同じ街になってしまうのではないだろうか。「人々」の様々な価値感を反映した、個性あふれる美しい街を創造するためには、まず、価値の多様さを捉える必要があるだろう。
 
 しかし、このような「都市の価値」は、多くの場合、都市生活者自身の中でもまだ言語化されておらず、都市生活者に対するアンケートやヒヤリングで抽出することが困難であると考える。そこで、今年度は、一定の視点を持った専門家4名(建築景観、都市生活、空間認知、商業施設)が、東京を代表すると考えられる4エリア(表参道、秋葉原、谷中、渋谷)を仮説的に取り上げ、そこでのフィールドサーベイを行うものとする。それぞれの専門的な目で、かつ、自らも都市生活者として、街の特徴や人々の行動の特徴をレポートし、隠れている「都市の価値」を「言語化」することにチャレンジする。まずは、定量的な指標やアンケート調査では捉えきれない、街の微妙な表情や人々の心の動きを、そこを実際に歩き体感し、街が持つ魅力や弱点をリアリティをもって記述することを目指す。
 
 この研究を通して、いろいろな都市の見方や楽しみ方について、発見的に気付き学び、都市の価値をさらに深く味わい、上手く使いこなすための、また、その意味を読解するための新しい視点が提示できることを期待している。

研究趣旨説明:
大野隆造 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授

研究担当者:
川上正倫 ワン・オー・ワンデザイン共同主宰/東京工業大学大学院総合理工学研究科特別研究員
辰己 渚 マーケティングプランナー
添田昌志 LLP人間環境デザイン研究所チーフリサーチャー
石垣 勤 有限会社ケンズデザインアソシエイツ代表/商空間デザイナー




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11分10秒

フロントとバックの多次元的把握
「カタログ的まとまり」の街〈表参道〉
生活がありつつ外から来る人を排除しない街
メインストリートのある街
ファッション街の店舗ファサード空間




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9分29秒

小物を積んで山となす的なまとまりの街〈秋葉原〉
用ある者の街
看板とあふれ出しの街
露出過剰の秋葉原アイデンティティ
都市の変容速度




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7分45秒

懐かしさの維持と更新に苛まれるまとまりの街〈谷中〉
日本を体験する街・生活が意識化された街
近くを意識する街〈谷中〉
日常と観光が重なり合う街
「懐かしさ」を感じる街の骨格と装い




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12分8秒

すべてが流れ込むまとまりの街〈渋谷〉
坩堝の街
渋谷 ―現代のラビリンス―
街に最もあったリーシング
新しい価値を生み出すカオスか?




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13分3秒

キー・コンセプト<1> 街の粒度(ツブツブ)
キー・コンセプト<2> 街の骨格(ホネ)
キー・コンセプト<3> 街の表装(メイク)
キー・コンセプト<4> 街の譜面(メロディ)
キー・コンセプト<5> 街の変容速度(スピード)
キー・コンセプト<6> 街の演者(プレイヤー)




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