千葉県A地区 I 地区、
仮設住宅生活者支援活動|第14・15・16回

執筆
LLPまち・コミュニケーション研究会 友田修
城西国際大学福祉総合学部 松下やえ子 森洋子

活動レポート|第14・15・16回

第14回 I 地区仮設住宅訪問記録 11月1日(火)

 被災から7ヶ月余りの時間がたった。海岸沿の更地になった土地は枯れ草に覆われ、元々そこには何も建っていなかったかのような風景である。港に積まれていた瓦礫の山はすでに瓦礫ではなく、粉砕された土のようなものに変わっていた。ブルドーザーが入ってその山の堆積もずいぶんと小さくなっている。

 今回の活動は被災者が活動のエンドユーザーで終わるのではなく、仮設住宅の外の人へ向けてのさらなる活動の準備段階という意味を持たせた。

 城西国際大学の大学祭が11月5日に開催され様々な展示がある中、子ども福祉コースの学生が地域の子どもたちを楽しませるコーナーを設けることとなった。そのコーナーの一部に、仮設住宅の高齢者が遊びの指導やプレゼントの配布をするという“外の人へ向けた”企画を持ち込んだ。紙トンボ作りと毛糸のぽんぽん人形配布である。今回はその準備として紙トンボ作りを覚えてもらい、ぽんぽん人形を作ってもらうために活動時間を使った。

 松下は、なかなか参加に踏み切れない男性にとっては、参加する理由として活動が社会に開かれた役割として意味を持つことが必要だと考えていた。そんな意図で今回の企画は持ち上がった。子どもたちに「指導をするため」「プレゼントをするため」という目的は、男性にとっての参加意欲に繋がるはずだと。

 今回は保育士を目指す二人の女子学生が同行した。集会所に着くと、すでに一人の参加者が待っていた。第1回目訪問の避難所でぽんぽん人形を4つ作ってくれた90歳の男性だ。1時間前から待っていたという。生活支援アドバイザーが常駐するようになり、集会所が開放された空間になったことの効果である。その男性は以前避難所で会ってはいたが、I地区の仮設住宅に住んでいるのかどうかすら分からなかった人である。筆者らと親しくなったNさんがその男性が仮設住宅にいることを知っていて声を掛けてくれていた。

 いつもは声掛けをして廻るのであるが、今回はその必要がなかった。二人、三人と集まってきた。合計9名、そのうち一人は常連の小2の女の子である。

 みんなでプレゼントにするぽんぽん人形を作った。カラフルな毛糸が選ばれていく。松下はその明るい色の選択に目を止めた。大きさもたっぷりとしている。避難所で同じ活動をした時は、大きさももっと小さく、色の選択も暗かった。当時一人が二つ、三つ作ったが全てを持ち帰った。今回、松下は参加者がまた人形を持ち帰りたいであろうと気遣い「どうぞ、一つはお持ち帰りください」と言うと、「だって、プレゼントにするんでしょ」と意外に何の未練もなく、置いていく。執着の仕方が全く違う…



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