ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくりかた

コペンハーゲン市内に設置されている風力発電機


連載|ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくりかた

第6回 まとめ

明治学院大学経済学科准教授 服部圭郎

 これだけ、多くの経済指標において豊かになっている日本の都市であるにも関わらず、そこで生活している我々は、その豊かさを実感できていない。

 さらに、問題であるのは、それではどのような都市にすれば豊かになるのか、といった解答を多くの人が有していないことである。その「豊かさ」のイマジネーションの欠如が、経済効率だけを追求するような都市づくりに邁進させ、その結果、生活環境から豊かさがさらに失われていくといった悪循環に陥らせているのではないだろうか。

 それでは、そのような袋小路を脱するため、都市の将来をどのように考えるべきなのか。そのヒントを今回のシリーズではヨーロッパの都市に求めた。

「豊かさ」というのは、漠然とした言葉である。それでも、ヨーロッパの都市を訪れた日本人の多くは、日本とは異なる「豊かさ」をヨーロッパの諸都市に感じると思われる。そこには経済的な豊かさだけでは説明できない、生活の豊かさに溢れている。

 ヨーロッパの都市と日本の都市の違いは何なのか。それを探る上で、ヨーロッパの都市の豊かさを5つのキーワードを用いて検証してきた。それらは「アイデンティティ」、「脱自動車」、「豊かな公共空間」、「サステイナブル」、「縮小都市への対応」である。

 これらの5つのキーワードは、最近のヨーロッパの都市をとりまくトレンドを示すものであり、それらがヨーロッパの都市の豊かさを醸成するのにどのように寄与しているのかを、事例を通じて分析することで、ヨーロッパの豊かさの要因を少しでも理解できるではないか、と考えたのである。

 今回のシリーズのまとめとして、これらヨーロッパの豊かさをどのように日本の都市の処方箋として繋ぐことができるのかに関して、最後に論じてみたい。論じる視点も、上記の5つのキーワードごとに分類する。

キーワード
□アイデンティティ
□脱自動車
□豊かな公共空間
□サステイナブル
□縮小都市への対応


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取材・構成
服部圭郎 明治学院大学准教授

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公益財団法人ハイライフ研究所

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