ハイライフ研究所メールマガジン 第51号

2010年7月30日配信  発行責任 財団法人ハイライフ研究所 事務局

炎暑続く毎日、いかがお過ごしでしょうか。

「爆弾豪雨」とも言われる集中豪雨や、異常な気温上昇が世界各地で発生しています。緯度の高いモスクワでも39度の異常高温、ドイツのライプツィヒでも毎日35度以上の猛暑日を記録しているようです。

そうえいば6月ごろ、気象庁は8月に入ると少し気温が落ち着くような予想を出していましたが、先日やはり8月は猛暑日がつづくという予想に変更したようです。今日は7月最後の金曜日。まずはこのメルマガで情報充電し、夜は暑気払いに繰り出しては。

それでは今週の内容をご紹介いたします。

まず大好評の連載シリーズ、伝説のマーケッター立澤芳男氏による「商業と都市生活(商業業態を通じて生活の変化を探る)」の第3回。

今回は「今話題のショッピングモール、アウトレットを行く!」と題してお送りします。

繁華街の主役であった百貨店や総合スーパーの廃業・撤退により、日本各地の市街地で流通業態の新旧交代劇が演じられています。今回のレポートでは、5、6年前から郊外に次々と誕生した大型の「ショッピングモール」と、デフレ不況下であっても依然として勢いのある「アウトレットモール」について、今年のサマーセール期を中心に訪問し観察したことを報告いたします。

続いて毎月1回の動画配信セミナー、服部圭朗氏の『豊かな公共空間をつくる』。

今回は「公共空間デザイン」やそのコンサルタントとして世界的な第1人者であるヤン・ゲール(元デンマーク王立大学教授)にお話を聞くインタビュー映像の後編です。

日本の都市空間についての厳しい意見や提言、ショッピング・センターと公共空間の違いなど、聴きどころがいっぱいです。インタビュー前編・後編を通しての「まとめ」も語っていただきます。

ハイライフ研究の2009年の研究活動からは、第18回ハイライフセミナー「食生活力が高齢者の生活を変える~食の健康と世代別食アプローチに関する研究~」の講演録をPDFにまとめましたので、ぜひご覧ください。

食育の推進を計るうえで、世代別の対応が重要な課題となっています。

ハイライフ研究所では、一昨年に幼児・児童を持つ家庭に的を絞った研究を実施し、2009年度は高齢者にスポットをあてた研究を行いました。セミナーでは、その研究成果を踏まえ、高齢者世帯を対象にした食育支援展開のあり方を提案しています。今回のセミナーでは、研究報告書の内容から一歩進んださらに具体的な議論も提起しています。

そして、ドイツの高橋先生から「ライプツィヒ通信」の第4号が届きました。

今回は、ホスピタリティのテーマである「自律と共生」について、滞在するドイツと日本の現状を比較して、その問題点と対応をご指摘いただいています。 

最後は、今月1日にスウェーデン大使館で行われたセミナー「スウェーデン・EU・日本持続可能な水産行政に向けて」の模様をお送りします。

今回のセミナーはいまスウェーデンで大きな話題となっている書籍『沈黙の海』を執筆したイザベラ・ロビーン EU議会議員の来日に合わせ開催されました。

名古屋で開催されるCOP10(生物多様性国連会議)を視野に入れながら、恵み豊な海をよりよく管理する国際協力の可能性を探るセミナーです。

水産庁から講師として、大橋貴則 水産庁漁政部企画課 動向分析班課長補佐も参加。スウェーデン大使館の講堂が満席となった当日の講演およびパネルディスカッションの模様をご覧ください。(HH)


<今号の内容>
1. 立澤芳男のハイライフデータファイル2010 「商業と都市生活」
2. 豊かな公共空間をつくる|第3回 ヤン・ゲール氏インタビュー [後編]
3. 平成21年度研究報告|~食生活力が高齢者の生活を変える~[講演録]
4. 高橋順一教授のライプツィヒ通信
5. スウェーデン・EU・日本 持続可能な水産行政に向けて
6. おしらせ|国際コルチャック会議2010(東京)


1.立澤芳男のハイライフデータファイル2010
「商業と都市生活」-商業業態の現場を通じて生活の変化を探る!-

第3回 今話題のショッピングモール、アウトレットを行く!

大型商業施設といえば都心部では三越伊勢丹ホールディングスが運営する三越や伊勢丹、セブン&アイホールディングが経営する西武百貨店やそごう、J・フロントリテイリングが抱える大丸や松坂屋などの大型百貨店であるが、前回のレポートでも分析したように、都心部の百貨店でにぎわっているのは食料品売り場だけで、上層階は平日訪れると閑古鳥が鳴いている。昨今の都心部の百貨店は前年割れが続き、顧客動員力は翳りが見える。その一方、週末はもとより平日も家族連れの客でにぎわっているのが数年前から続々登場した郊外の大型のショッピングモールである。そのにぎわっているショッピングモールに共通していることは、ひとつは、集客力のある大型の専門店(家電やファッション・雑貨)、シネマコンプレックス、フードコート、ゲームセンターなどが複合化され、その複合化そのことが核店舗的になっており、かつての総合スーパーである大型量販店は影を潜めていることである。もうひとつは、大きな駐車場が設置されていることである。特にこの猛暑が続く中、平日でも子供づれの若い主婦がマイカーでSCにやってきて、ゆったりと楽しく時間をやり過ごす「場」となっている。

今回のレポートは、都心部や地方などでは繁華街の主役であった百貨店や総合スーパーが廃業したり撤退している中、日本各地の市街地で流通業態の新旧交代劇(既存店撤収と新規開設)が演じられている大型SC(モール)やアウトレットモールを取り上げた。5,6年前から郊外に次々と誕生した大型の「ショッピングモール」とデフレ不況下であっても依然として勢いのある「アウトレットモール」について、今年のサマーセール期を中心に訪問し観察した。その報告である。

「立澤芳男のハイライフデータファイル2010」は以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3810


2.豊かな公共空間をつくる

第3回 ヤン・ゲール氏インタビュー [後編]

ヤン・ゲール氏

第3回は公共空間のデザインとコンサルタントで著名なヤン・ゲール氏のインタビュー後編をお送りします。ヤン・ゲール氏はヨーロッパで最初の歩行者空間で ある、コペンハーゲンのストロイエをデザインされた人物。現在はコンサルタントとして、ニューヨーク市における公共空間のデザインに携わっておられます。

今回のインタビューでは、日本の都市空間への辛口の批評と提言に加えて、持続可能な都市へ変貌中のマンハッタンの事例などをお話いただいています。

・日本の施策
・公共空間と経済
・ショッピング・センターと公共空間の違い
・ストロイエの意義
・自動車との共存
・まとめ

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3803


3.財団法人ハイライフ研究所 平成21年度研究報告

食の健康と世代別食育支援展開に関する研究
~食生活力が高齢者の生活を変える~[講演録]

研究報告PDF

(財)ハイライフ研究所では、生活者のよりよい生活の実現をバックアップすべく、これまで食生活に関し、「食のライフスタイル」研究から、食育への注目を 受け、食育の視点から家庭の食卓におけるコミュニケーションの有り様を考える研究、そして家庭の食育を支援する生活的サポートに関する研究等を行ってきま した。

現在はこれらによって得られた知見を活用し、健全な食生活構築を実生活の場で支援する、より具体的な研究として、『食の健康と世代別食育アプローチに関する研究』を推進しております。

食育の推進を計るうえでは、各々課題が違う世代別に対応を計る事が重要であり、昨年行った幼児・児童を持つ家庭に的を絞った研究に続き、今年度は高齢者にスポットをあてた研究を行っております。

今セミナーにおきましては、研究成果を踏まえ高齢者世帯を対象にした調査結果をご報告すると同時に、その結果を踏まえた食育支援展開の有り方を考えてみたいと思います。

講演録(PDF形式)

日時:2010年2月17日(水) 開場13:30、開始14:00~16:30
会場:
ホテルヴィラフォンテーヌ汐留 1階会議室 東京都港区東新橋1-9-2
主催:
財団法人ハイライフ研究所
協賛:
社団法人日本セルフ・サービス協会
株式会社読売広告社

発表:
新津 重幸 (高千穂大学理事・大学院教授)
丹野 俊明 ((株)行動科学研究所 代表取締役)
高津 春樹 ((財)ハイライフ研究所 専務理事)


4. 高橋順一教授のライプツィヒ通信


第4回 自立と共生

10年に1回まわってくるという大学の特別研究期間により、ドイツはライプツィヒに滞在中の高橋順一早稲田大学教育学部教授。

ホスピタリティの研究 ~持続可能型の社会をめざして~」などの研究で、当サイトでもおなじみの高橋教授は、かの地で何を思い、どんな研究に没頭しているのか、「ライプツィヒ通信」と題して、連載寄稿していただくことになりました。

<寄稿文>

7月に入ったらドイツにも猛暑がやってきた。連日35度を超える暑さが続く。湿気がないとはいえ、じりじり照りつける直射日光にからだが焼けるような耐え 難さを感じる。ドイツ社会では一般的に冷房設備が普及していないので、こうなると逃げる場所がなくなる。家にいても、大学にいても暑さをひたすら我慢する だけになってしまう。とくに悲惨なのは交通機関だ。密閉型のICE(新幹線)には冷房があるのだが、ドイツ人が冷房や風を嫌う傾向があるためあまりきかな い。列車やバス、トラムなどの一般車両にはやはり冷房はついていない。一週間ほど前にはICEの冷房が故障して車内温度が50度近くになり熱中症患者が続 出するという事態も起きている。明らかに異常気象なのだが、最近のヨーロッパでは異常気象が常態化している感じもする。簡単に地球温暖化と結びつけるのは 危険だし軽率だと思うが、気になるところではある。

 さて前回サッカーと野球の比較を行い、そこから見えてくる「社会」の違いについて考えてみた。今回はさらに問題をもう少し普遍化して考えてみたいと思う。
 わたしたちがホスピタリティ問題に取り組んだのは、社会を「自律と共生」の原理を通して根本的に組み替える必要性があるという問題意識からだった。その前提となっていたのは、今わたしたちの社会が崩壊の危機にたたされているのではないかという危惧である…

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3807


5. スウェーデン・EU・日本 持続可能な水産行政に向けて

 

2010年7月1日、スウェーデン大使館オーディトリアムにおいて、「スウェーデン・EU・日本 持続可能な水産行政に向けて」と題するセミナーが開催されました。ホームページでは、当日の模様を配信しています。

スウェーデン・EU・日本 持続可能な水産行政に向けて

[セミナーのご案内より]
2010年10月、名古屋で開催されるCOP10(生物多様性国連会議)を視野に入れながら恵み豊な海をよりよく管理する国際協力の可能性を探る

EUが共通漁業政策のもとで管理している海域は、いまやバルト海から黒海、地中海、北海、大西洋におよび、EU加盟国の陸地の合計よりも広い。しかし 2002年、EUは自分たちが行ってきた政策を振り返り、水産資源の持続可能性を考慮しないずさんな行政によってヨーロッパの海の各地で乱獲が行われてき たことを報告書の中で指摘した。それ以降、徐々にではあるが、水産資源のよりよい管理と活用のための取り組みが試みられている。

10月に名古屋で開かれる生物多様性に関する国連会議COP10では、海洋環境も重要なテーマである。そして、多様性の維持は、多種多様な魚を季節 に合わせて食べてきた日本の食文化の発展と漁業の活性化とも合致する。EUと日本はこれまでの経験の中から何をお互いに学びあうことができるだろうか?今 後も魚食文化を大切にし、安心して魚を食べ続けるという共通の目標のもとで、あるべき漁業政策について論じてみたい。

会場 :スウェーデン大使館オーディトリアム
日時 :2010年7月1日(木) 14:00-17:30 (開場:17:30)
主催 :持続可能なスウェーデン協会(Sustainable Sweden Association)
協力 :水産庁スウェーデン大使館、EU代表部、財団法人ハイライフ研究所
撮影・配信協力 :財団法人ハイライフ研究所

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3738

 


6. おしらせ|国際コルチャック会議2010(東京)

 

8月5日(木)― 8日(日)、明治大学(お茶の水)を会場に、日本で初めての国際コルチャック会議が開催されます。

「21世紀における子供の権利」を考える国際コルチャック協会は、世界24カ国で活動を展開する国際組織。

第二次世界大戦下のポーランドで孤児施設を運営し、子供たちとともに強制収容所で亡くなったヤヌシュ・コルチャックの理想を受け継ぐNGOのネットワークです。

5日(木)は名誉会長の黒柳徹子さんによる講演がおこなわれるほか、6日以降は子供の人権に関する分科会が実施されます。

会議参加のお申込みについて、詳しくは以下のホームページをご覧ください。
http://korczak-japan.org/index.html

また、黒柳徹子さんの講演の模様をUstreamで配信することが急遽決定しました。
詳しくは以下のURLをチェックしてください。
http://bit.ly/biaxso

 


編集後記

いよいよエコカー購入の補助金の期限が迫ってまいりました(納品9月末分まで対象)。ここにきて補助金を目当てに購入を急ぐ方も多いようです。

先日ニュースを見ていたところ、今年3月にジュネーブの自動車ショーで発表されたポルシェのコンセプトカーがユニークです。

ポルシェ918スパイダー。2シーターのボディで、0-100km/h加速は3.2秒、最高速は320km/hというスーパーカーです。面白いのはプラグイン型のハイブリッドシステムを採用しており、欧州複合モード燃費が33.33km/リットルという点。

車体中央に置かれるエンジンは、レーシングカーの「RSスパイダー」をルーツとする3.4リットルV型8気筒ガソリンで、いわゆるスーパーカーのエンジン。

今回のコンセプトカーではさらに前後輪を駆動するモーターが搭載されており、後輪を駆動するガソリンエンジンとあわせて4WDになっています。

走行は4つのモードが切り替え可能。「Eドライブ」モードは、最大25kmをゼロエミッション走行可能。「ハイブリッド」モードは、モーターとエンジンを効率良く使い分け、燃費重視の走行。「スポーツハイブリッド」モードでは後輪駆動主体の走行。「レースハイブリッド」モードではガソリン+モーターのパワーで、追い越しなどの加速が得られる設定だということです。

販売予定価格は50万ユーロ(日本円で約5,500万円)と、お値段もやはりスーパーカー。ポルシェでは1,000件の注文が確定すれば生産開始する予定とか。

エネルギー問題・温暖化問題をとらえたポルシェのコンセプトカー。詳しくは以下のサイトを御覧ください。
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20100303_352460.html

こうした、草食系エコカーと肉食系スポーツカーの両方をバランスよく実現する技術に関しては、今後も各メーカーからいろいろな新提案が期待できそうですね。(HH)


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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