高橋順一教授の
ライプツィヒ通信

高橋順一早稲田大学教育学部教授

第4回 自立と共生

 7月に入ったらドイツにも猛暑がやってきた。連日35度を超える暑さが続く。湿気がないとはいえ、じりじり照りつける直射日光にからだが焼けるような耐え難さを感じる。ドイツ社会では一般的に冷房設備が普及していないので、こうなると逃げる場所がなくなる。家にいても、大学にいても暑さをひたすら我慢するだけになってしまう。とくに悲惨なのは交通機関だ。密閉型のICE(新幹線)には冷房があるのだが、ドイツ人が冷房や風を嫌う傾向があるためあまりきかない。列車やバス、トラムなどの一般車両にはやはり冷房はついていない。一週間ほど前にはICEの冷房が故障して車内温度が50度近くになり熱中症患者が続出するという事態も起きている。明らかに異常気象なのだが、最近のヨーロッパでは異常気象が常態化している感じもする。簡単に地球温暖化と結びつけるのは危険だし軽率だと思うが、気になるところではある。

 さて前回サッカーと野球の比較を行い、そこから見えてくる「社会」の違いについて考えてみた。今回はさらに問題をもう少し普遍化して考えてみたいと思う。
 わたしたちがホスピタリティ問題に取り組んだのは、社会を「自律と共生」の原理を通して根本的に組み替える必要性があるという問題意識からだった。その前提となっていたのは、今わたしたちの社会が崩壊の危機にたたされているのではないかという危惧である…



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寄稿
高橋順一 早稲田大学教育学部教授

1950年、宮城県生まれ。立教大学文学部卒、埼玉大学大学院文化科学研究科修了。現在、早稲田大学教育学部(教育・総合科学学術院)教授。専攻はドイツ・ヨーロッパ思想史。
著書に、『ヴァルター・ベンヤミン : 近代の星座』(1991年、講談社現代新書)、『響きと思考のあいだ : リヒャルト・ヴァーグナーと十九世紀近代』(1996年、青弓社)、『戦争と暴力の系譜学 :〈閉じられた国民=主体〉を超えるために 』(2003年、実践社)、『ヴァルター・ベンヤミン読解 : 希望なき時代の希望の根源 』(2010年、社会評論社)などがある。

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