ハイライフ研究所メールマガジン 第48号

2010年6月11日配信  発行責任 財団法人ハイライフ研究所 事務局

本日6月11日(金)は、いよいよサッカーFIFAワールドカップの開幕日です。

サッカーファンの中には、6月19日の日本vsオランダの試合(6月14日カメルーン戦・6月24日デンマーク戦)を見に南アフリカ共和国に行くという熱心な方もいらっしゃるかと思いますが、くれぐれもお気をつけください。現地では殺人事件や、強盗事件などの被害が頻発しているとか。

銃社会のアメリカ同様に南アフリカでも銃保有が認められていることも犯罪増幅に拍車をかけているようです。
南アフリカの警察と軍はいま治安維持に一生懸命。犯罪者にゴールはないという意気込みでがんばっていただきたい。

さてそんなちょっと物騒な環境の中ではじまる今回のワールドカップ。
ブックメーカーの予想オッズによれば日本の優勝倍率は500倍だそうです。ちなみに最下位は北朝鮮とニュージーランドの2000倍。
500倍の日本、頑張れ!

それでは今回のメールマガジンの内容をご紹介いたします。

好評連載中の「東京生活ジャーナル」。今回は「光のまちづくり」を提唱している角館政英氏へのインタビューです。街中にあふれている味気ない画一的な照明灯に対してのさまざまな提案、実験の成果をお伺いしました。

そして4月から連載のはじまった「名著・古典のある暮らし ~グレート・ブックス・セミナーの先達に学ぶ」シリーズは、今回が第3回目です。
今回の講師はエコール麹町メディカルの原田広幸塾長です。原田先生は学生時代にグレート・ブックス・セミナーに参加し、その後、学生・社会人のための名著セミナー・サークル「アゴラ・ソクラティカ」を主催。数十回のセミナーを開催し、現在も活動を続けています。
今回はアゴラ・ソクラティカでの経験を通じたグレート・ブックス・セミナーの実践方法についてお話を伺います。

ハイライフ研究所の研究報告からは、最新の研究報告である「都市居住の価値を探る2009」。
都市生活者は自分の住んでいるまちの「何に」または「どこに」、どのような「価値」を見いだしているか。それを明らかにすることを目的とした研究です。
生活者が魅力的に感じる環境は、単に量の多少や経済的な評価だけでなく、気持ちよくその場で過ごすことができるかということ、つまりそこで感じる質こそが、その鍵となる。そのような問題意識の上に立ち、「評価グリット法」を用いた都市居住者への個別インタビューを行い、そのまちの好き/いいと感じる場所、およびその理由について尋ね、住民自身の言葉に基づき、地域についての評価構造を明らかにしました。
住民が住み続けたいと思うようなまちとして備えるべき物理的環境や要因とは何か。その研究報告書と研究サマリー動画をご覧いただきます。

さらに「高橋順一教授のライプツィヒ通信」。ドイツのライプツィヒ大学で1年間の予定で教鞭をとられている高橋順一早稲田大学教授からの連載寄稿です。今回は「ライプツィヒでの本拠定まる」と題して、教授が暮らす地域の街並みや季節に敏感なドイツの人々の生活風景をご紹介いただきます。

それではハイライフメールマガジン第48号で情報充電を!(HH)


<今号の内容>
1. 東京生活ジャーナル
2. 名著・古典のある暮らし|第3回 社会人を対象としたグレートブックスセミナー
3. 平成21年度研究報告|食生活力が高齢者の生活を変える
4. 高橋順一教授のライプツィヒ通信

5. 告知|スウェーデン・EU・日本 持続可能な水産行政に向けて



東京生活ジャーナル

1.東京生活ジャーナル

今回は、「光のまちづくり」を提唱されている照明家の角館政英氏にお話を伺いしました。角館氏は従来の画一的な街路灯のあり方に疑問を呈し、人々の生活に根ざした親しみのある照明を追及するため、住民を交えた照明実験ワークショップを行うなど全国各地で精力的に活動されています。

あるべき光環境とはどういうものなのか、それが実現することによって物理的な環境だけでなく、住民の気持ちがどのように変化していくのかなど、「光のまちづくり」の意義について語っていただきました。

東京生活ジャーナル/まちづくりフィールドレポート
http://www.hilife.or.jp/journal2/


2.名著・古典のある暮らし

第3回 社会人を対象としたグレートブックスセミナー

グレートブックスセミナーの方法論に注目し、日本で実践的な活動に関わってきた方々にお話を伺います。

講師
原田 広幸 エコール麹町メディカル 塾長

第3回目の講師は、エコール麹町メディカルの原田広幸塾長です。
原田先生は大学生のときに湘南国際村で開催されたグレート・ブックス・セミナーに参加し、その後、学生・社会人のための名著セミナー・サークル「アゴラ・ ソクラティカ」を主催。数多くのセミナーにおいてモデレーターをつとめておられます。
今回はアゴラ・ソクラティカでの経験を通じたグレートブックスセミナーの実践方法についてお話を伺います。

・グレート・ブックス・セミナーとの出会い
・セミナーの準備
・議論が盛り上がるテキストとは
・モデレーターの面白さ
・モデレーターとしての失敗談
・なぜ古典が議論の題材にふさわしいのか
・モデレータになるには

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3631


3.財団法人ハイライフ研究所 平成21年度研究報告

都市圏居住の価値を探る

  
1.研究報告書(PDF形式)


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研究報告動画

<研究の背景と目的>

本研究の目的は、都市生活者が、自分の住んでいまちの「何に」または「どこに」、どのような「価値」を見出しているのかを明らかにすることにある。「まちの価値」という観点では、近年、「住みたい街ランキング」という類の言葉を謳った書籍が多数出版されているが、それらの算出拠点とされている指標は、地価、家賃などの経済的指標や、人口当たりの施設数、住宅延べ床面積などのハードの環境を量的に評価する指標であったりする。これらの指標は定量的に比較可能という点において、ランキング算出に都合がいいものであるが、言うまでもなく、生活者が魅力的に感じる環境とは、単に量の多少や経済的な評価だけではなく、気持ちよくその場で過ごすことができるかということ、つまりそこで感じる質こそが肝要である。

本研究では、そのような問題意識の上に立ち、「評価グリッド法」を用いた都市居住者への個別インタビューを行い、そのまちの好き/いいと感じる場所、およびその理由について尋ね、住民自身の言葉に基づき地域についての評価構造を明らかにし、住民が住み続けたいと思うようなまちとして備えるべき物理的環境や要因について提言することを目指すものである。

■研究報告書 構成

第1章 研究概要
第2章 はじめに
  2-1 研究の目的
  2-2 研究体制
第3章 住民インタビュー調査
  3-1 調査目的
  3-2 調査の概要
  3-3 回答者プロフィール
  3-4 「いい」「好き」と思う場所に関する結果
  3-5 個人差、地域差の検討
第4章 住民にとって魅力ある場所とは
  4-1 住民が感じる価値・魅力の構造
  4-2 都市居住に求められる「5つの場」の提案
  4-3 今回の成果と課題・今後の提案について
第5章 まとめ
  5-1 調査結果に関する座談会・主なご意見
  5-2 まとめ

■研究体制
添田 昌志 (LLP 人間環境デザイン研究所 グランドプランナー 工学博士)
若林 直子 (有限会社 生活環境工房あくと 代表取締役 工学博士)
陶 真裕   (日本大学大学院文学研究科心理学専攻 博士後期課程)
江田 友祐 (早稲田大学大学院人間科学研究科 修士課程)

■研究協力
加藤 有美 (有限会社 ピスタチオ社)
榎本 元   (株式会社読売広告社 都市生活研究所 所長)
小島 貴矢 (早稲田大学人間科学学術院 準教授)

■研究幹事
仙洞田 伸一 (財団法人 ハイライフ研究所 主任研究員)


4. 高橋順一教授のライプツィヒ通信

第2回 ライプツィヒでの本拠定まる

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10年に1回まわってくるという大学の特別研究期間により、ドイツはライプツィヒに滞在中の高橋順一早稲田大学教育学部教授。

ホスピタリティの研究 ~持続可能型の社会をめざして~」などの研究で、当サイトでもおなじみの 高橋教授は、かの地で何を思い、どんな研究に没頭しているのか、「ライプツィヒ通信」と題して、連載寄稿していただくことになりました。

<寄稿文>

 3月終りにライプツィヒに来てから早くも2ヶ月がたとうとしている。あっというまだった気もするし、日本を離れたのがもうはるか遠い昔だったような気もす る。

 5月1日には約1ヶ月滞在した大学のゲストハウスを出て新しい住居に引っ越した。市の中心部から少し北側にいった閑静な住宅街のなかの古いアパートの一 室だ。60㎡だからけっこう広々している。古い建物なので天上がやたらに高い。台所とバス・トイレを除くと扇形になった部屋がひとつだけという作りで、外 に面している扇形の弧が全部窓になっているのでたいへん明るい。出窓が小部屋になっているのが気に入っている。そこに置かれたテーブルでいつも食事をす る。目の前には地元のミヒャエリス教会の尖塔がそびえ、その前は色とりどりの花が咲いている広場になっている。真下を市電が通っているのでややうるさいの が難だが、しばらくするとそれにも慣れてきた。いよいよライプツィヒでの本拠も定まり本格的に勉強と仕事に取り組むときが来たのだと思う。

 それにしても五月のドイツはほんとうによい季節だ。ドイツの五月というと思い出すのは、シューマンの歌曲集『詩人の恋』の第一曲「美しい五月に」であ る。シューマンがハイネの詩にもとづいて作曲したこの曲には、ドイツ人が五月という季節に寄せる心情があふれるばかりの抒情性とともに伝わってくる。 ちょっと歌詞を見てみよう…

詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www.hilife.or.jp/wordpress/?p=3627


5. 告知|スウェーデン・EU・日本

持続可能な水産行政に向けて

 

『沈黙の海』著者 イサベラ・ロヴィーン欧州議会議員を迎え

2010年10月、名古屋で開催されるCOP10(生物多様性国連会議)を視野に入れながら恵み豊な海をよりよく管理する国際協力の可能性を探る。

EUが共通漁業政策のもとで管理している海域は、いまやバルト海から黒海、地中海、北海、大西洋におよび、EU加盟国の陸地の合計よりも広い。しかし2002年、EUは自分たちが行ってきた政策を振り返り、水産資源の持続可能性を考慮しないずさんな行政によってヨーロッパの海の各地で乱獲が行われてきたことを報告書の中で指摘した。それ以降、徐々にではあるが、水産資源のよりよい管理と活用のための取り組みが試みられている。

10月に名古屋で開かれる生物多様性に関する国連会議COP10では、海洋環境も重要なテーマである。そして、多様性の維持は、多種多様な魚を季節に合わせて食べてきた日本の食文化の発展と漁業の活性化とも合致する。EUと日本はこれまでの経験の中から何をお互いに学びあうことができるだろうか?今後も魚食文化を大切にし、安心して魚を食べ続けるという共通の目標のもとで、あるべき漁業政策について論じてみたい。

会場:
スウェーデン大使館オーディトリアム http://www.sweden.or.jp/
地下鉄南北線六本木一丁目駅、日比谷線神谷町駅歩いて10分

日時:
2010年7月1日(木) 14:00-17:30 (開場:13:30)

主催:
持続可能なスウェーデン協会(Sustainable Sweden Association)

協力:
水産庁、スウェーデン大使館、EU代表部、財団法人ハイライフ研究所

参加費:
無料

申込み:
6月25日までに、お名前、所属、当日の連絡メールアドレスあるいは電話番号を明記の上

vzq11450@nifty.ne.jp

にご連絡ください。

プログラム

開会挨拶

講演 14:10-15:10
「生態系の視点から見たEUとスウェーデンの漁業政策、現状と最近の動き」

イサベラ・ロヴィーン(Isabella Lovin)

「沈黙の海 最後の食用魚を求めて」著者
欧州議会議員(スウェーデン環境党)

逐次通訳:
佐藤吉宗(よしひろ)
「沈黙の海」訳者(英語/日本語)

講演 15:10-15:35
「日本の漁業や資源、海洋環境の現状と政府の対応策について」

大橋貴則(おおはし たかのり)
水産庁漁政部企画課

休憩・名刺交換の機会 15:30-15:50  

対談・質疑
「持続可能な社会に向けて」

対談者:
イサベラ・ロヴィーン
大橋貴則

モデレーター:
佐藤吉宗

司会:
佐々木晃子

 

講演者プロフィール

講師画像

Isabella Lovin  イサベラ・ロヴィーン

「沈黙の海  最後の食用魚を求めて」著者
EU議員(スウェーデン環境党)

ストックホルム在住。1985年から2005年まで、ジャーナリストとして消費者問題雑誌、料理・食品雑誌などのレポーターやコラムニスト、編集委員、編集長などを務める。90年代前半は特に環境問題を専門に扱うレポーターや文化レポーターとして活躍。さらに1994年から97年にかけては公共のスウェーデンラジオで社会問題を扱う番組のレポーターや編集長も務める。2007年夏に『沈黙の海 - 最後の食用魚を追い求めて』を出版。この直後から、スウェーデン近海やヨーロッパおよび世界の漁業に関する社会的な議論が、スウェーデン国内で沸き起こる。2007年ジャーナリスト大賞、2007年環境ジャーナリスト賞をはじめ、その他、様々な賞を受賞。2009年6月の欧州議会選挙に環境党から立候補し当選。

講師画像

大橋貴則(おおはし たかのり)

水産庁漁政部企画課

1985年水産庁国際課に配属。以後、2002年まで、日米、日加、日露などの二国間漁業交渉、鯨やマグロなどの多国間漁業交渉及び国連食糧農業機関(FAO)の各種国際会議に参画。その後、日本の漁村振興や日本周辺水域の水産資源の管理に関する政策の企画立案業務。2007年7月より水産庁企画課にて水産白書担当。1997年~2000年、在イタリア日本大使館一等書記官兼FAO常駐代表代理。1985年東京大学農学部卒。1990~1992年人事院行政官長期在外研究員として米国コーネル大学大学院に留学、行政学修士号取得。

「沈黙の海  最後の食用魚を求めて」

イサベラ・ロヴィーン著、佐藤吉宗訳、発行:新評論
魚は枯渇するのか?
海の、漁業の、そして食の未来は? 
『沈黙の春』から半世紀、衝撃の海洋環境レポート!

持続可能なスウェーデン協会 (Sustainable Sweden Association)

持続可能なスウェーデン協会は、持続可能な社会のビジョンをもって、非営利の会員組織として2000年に設立された。会員は共通の認識をもって先駆者として持続可能性に向けた社会変革プロセスに貢献をしようとしている。 協会の会員は1997年以来、学びの交流を目的とする「持続可能なスウェーデン・ツアー」を開催している。
同協会日本代表、レーナ・リンダルのホームページ:

http://sustainablesweden.jp/


編集後記

6月8日に正式に管内閣が成立しました。記者会見で、「政治の役割は最小不幸の社会をつくることにある。日本を根本から立て直して、もっと元気のいい国にしたい。強い経済、強い財政、強い社会保障を一体として実現する」と発言。組閣名称は奇兵隊内閣だそうです。その効果は抜群のようで、期待率という調査数字が、前内閣の3倍強に膨れ上がっています。

そんな期待の管内閣ですが、このところ話題となっているのが中国大使の人事。

民間から丹羽宇一朗氏の名前が早々と上がっていることが興味深いと思います。丹羽氏は1966年に伊藤忠商事に入社し、1968年から1977年にかけて米国に駐在、1998年の社長就任後は、中国企業への投融資に積極的に取り組み、2010年に相談役に就任しておられます。その間、北京市長の国際企業家顧問を務めるなど、中国との関係が深い。

これまではチャイナスクールという、外務省の中国担当者が経由するラインで人事が行われていたそうです。最終的な人事がどうなるかわかりませんが、そんな経歴を持つ丹羽氏は数多くの講演や書籍著者としても有名で、その内容に影響をうけた方も多々いらっしゃると思います。

今回は丹羽氏の名言を2つほどご紹介して後記といたします。

<成長に必要な3つのこと>
「『人は仕事で磨かれる』、『人は読書で磨かれる』、『人は人で磨かれる』、仕事と読書と人、この三つが人間を成長させていく上に、非常に大事なことではないかと思います」(学士会館報より)

<アリ、トンボ、人間になれ>
「アリ」:ありのように泥まみれになって這いつくばるように、仕事を若い時は必死にやりなさい。
「トンボ」:経験を重ねて役職がつき部下を持つようになると、トンボのように複眼的な観点から物事を見ることを心がけるべき。さまざまな角度から検証していく視点、あらゆる可能性を探る姿勢が大事。トンボは上から下を見ます。俯瞰(ふかん)する(全体を上から見る)と言う事は責任ある立場になると必要なことです。
「人間」:温かい心を持つ人間になりなさい。リーダーには人間としての心が大切。(「負けてたまるか! 若者のための仕事論」より)

丹羽宇一郎氏の実践に基づく名言。これからも十分活用できそうですね。

またまた長いメルマガ48号を最後までお読みいただきありがとうございました。

次回も御期待下さい。次回配信は6月25日(金)となります。(HH)


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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