ハイライフ研究所メールマガジン 第11号

2008年11月28日配信  発行責任 財団法人ハイライフ研究所 事務局

平成20年度 研究経過報告
「地域社会の行方研究」チームがオーストリア・チロル州「未来財団」を訪問

 今年度の研究テーマの一つに、昨年から継続している「少子高齢化社会における地域社会の行方研究 その2」がある。この研究では、構造的な問題を抱え疲弊の度を高めている日本の地域社会において、再生・活性化を図るための地域イノベーションの推進戦略、とりわけ日本において多くの地域が地域振興の柱に据えている「観光」による地域イノベーションの推進をテーマにしている。

 現在、日本のみならず世界、特に日本と同様に少子高齢化が進んできているEU諸国においては、観光分野で需要増が見込まれるシニア層の「健康ニーズ」に焦点を当てた「健康ウェルネス・ツーリズム」が早くから注目されていた。

 この「健康ウェルネス・ツーリズム」の推進のためには、観光事業ばかりでなく、地域の大学・研究所や農業、林業、漁業、食品製造業や各種製造業、サービス業、エネルギー、環境など関連する地域産業・機関、更に行政・政府機関との連携が不可欠となる。つまり逆に言うと、「健康ウェルネス・ツーリズム」をキーワードとした「地域総ぐるみの連携と取り組み」(クラスター形成)が地域振興の起爆剤になりうるということである。

 このように、今後有効な地域振興策となることが明らかになっている総合的な「健康ウェルネス・ツーリズム」の目的地の姿を明確にし、そのあるべき姿への転換政策を解明するために、「健康ウェルネス・ツーリズム」のベスト・プラクティス地域と謂われているオーストリア・チロル地方と北イタリア・アオスタ地方の視察・調査を今年の9月上旬に行った。

 今回「ニュース」として取り上げられたのは、この視察・調査の最初の日の訪問先、オーストリア・チロル州の州都インスブルックにあり、我々が今回の訪問先の重要機関の一つと考えていた「チロル未来財団」(Tiroler Zukunftsstiftung)の取材の模様である。

オーストラリア写真

左)「インスブルック市内の景観」   右)「市内を流れるイン(Inn)」

 「チロル未来財団」はウェルネスクラスター、健康クラスター、再生可能エネルギークラスター、ライフサイエンスクラスター、ITクラスターなどのプロジェクトの運営、寄付講座の設置などによる人材育成、他の機関と連携した事業のスタートアップ、企業誘致など、地域振興の中核的役割を担うチロル州立財団である。

 今回の取材では、「チロル未来財団」の組織や役割、活動内容、関連機関との連携のあり方、今後の課題などについて、ウェルネスクラスターマネジャーであるRobert Ranzi氏に9月2日、3日の2日間にわたって、詳しく伺うことが出来た。この取材の成果は,他の取材先の成果と合わせて、年間の研究報告書に結実させていきたい。

『地域社会の行方研究チーム』
 中田裕久  (財)山梨総合研究所
 竹内良一  都市生活工房(FUU)
 小田輝夫  (財)ハイライフ研究所(客員)
 仙洞田伸一 (財)ハイライフ研究所

*ニュースが掲載された「チロル未来財団」のホームページURLは、次のとおり

http://www.zukunftsstiftung.at/page.cfm?vpath=cluster/wellness/news/archiv&genericpageid=1515


<今号の内容>

1. 伝説のマーケッター立澤芳男の<新・新世代レポート>vol.6「いまどきの中高生」
2. 挑戦 地域から日本を変える ―日本の環境首都への道 パートII― [動画版]
3. こんなハイライフあんなハイライフ
4. 「高齢化と情報ネットワーク」




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2.

環境首都コンテスト全国ネットワーク(主幹事団体:環境市民)が主催する「日本の環境首都コンテスト」。そのプロジェクトを通じて明らかになった、日本の市区町村の、創意ある施策を、「日本の環境首都コンテスト 先進事例集第2集」として、DVDにまとめました。DVD第2集では、水俣市、多治見市、板橋区で行われている戦略的な取り組みの事例をとりあげています。そしてこのDVDの刊行にあわせて、持続可能な社会をつくるうえでの日本の課題をともに考えるセミナーを開催いたしました。セミナーでは、日本の市区町村の先駆的な施策が紹介されたほか、ドイツの環境首都にみられる最新の施策が報告されています。

講師:
多治見市環境経済部環境課環境保全グループ総括主査 若尾浩好氏
特定非営利活動法人 環境市民 代表 杦本育夫氏

1. 主催者挨拶

2. 日本の環境首都コンテストの趣旨、反響等のご紹介

3. 映像版先進事例集 第2集のご紹介
  
・東京都板橋区
  
・熊本県水俣市
  
・岐阜県多治見市
4. 講演  総合的、戦略的な環境政策をつくる

5. 講演 『ドイツの環境首都のまち、更なる挑戦』

詳しくは以下のURLをご覧ください。
/?p=510″>挑戦 地域から日本を変える ―日本の環境首都への道―

本セミナーでご紹介しているDVDの内容について、詳しくは以下のページをご覧下さい:

3. こんなハイライフあんなハイライフ

世界の居住「カンボジアのトンレサップ湖」
山畑信博(東北芸術工科大学助教授)

世界中から様々なスタイルのハイライフを探します。
今回は、カンボジアのトンレサップ湖の暮らしをご紹介します。

詳しくは以下のURLをご覧ください。

4. ハイライフ研究所の研究報告書より 
「高齢者と情報ネットワーク」

1. はじめに

2. 背景-高齢化の現状
  
2.1. 高齢者の抱える困難
  
2.2. 高齢者世帯の増加
  
2.3. 高齢者の経済状態
    
2.3.1. 所得
    
2.3.2. 貯蓄
    
2.3.3. 消費者としての高齢者

3. ケース
    
3.1.1. 概要
    
3.1.2. 会議室
    
3.1.3. メンバーシップ
    
3.1.4. 会員プロフィール
  
3.2. コンピュータおばあちゃんの会 HTTP://WWW.JIJIBABA.COM/
    
3.2.1. 概要
    
3.2.2. 目的および活動
    
3.2.3. 意義
    
3.2.4. 課題

4. 高齢者とネットワーク
  
4.1. 高齢者とテクノ恐怖症
  
4.2. コンピュータ所有状況
  
4.3. シニアにおけるコンピュータ使用
  
4.4. コンピュータ利用法の習得
  
4.5. 有効なサポートの提供形態
  
4.6. 高齢者とEコマース

5. 提言-社会生活に不可欠となるコンピュータ・リテラシー

研究体制:
大塚英作(横浜国立大学経営学部教授)

研究協力:
WebProject

(敬称略・肩書は当時のもの)

PDF形式の研究報告書は以下のURLよりご覧いただけます。
http://www.hilife.or.jp/pdf/cnt.php?url=99001


編集後記

米中央情報局(CIA)などで組織する国家情報会議(NIC)が世界情勢を展望する報告書「グローバル・トレンド2025(変貌した世界)」を発表

報告書草案によれば、米国は2025年頃になっても、世界で最も強力な 国家として残るだろうが、「2025年までに世界は新興国の台頭と経済のグローバル化により「第2次世界大戦後に生まれた国際体制がほぼ跡形もなくなり、全世界に及ぼす影響力は今より小さくなる」と展望され、中東 での核兵器競争と合せて、資源をめぐる国家間の対立の危険性が増えると予測。

現在の傾向が続けば、2025年「世界で一番影響力の与える国は中国であり、中国は世界最大の資源輸入国、世界最大の汚染国になるかもしれない」と報告している。

中国は世界2位の経済大国と軍事最強国の隊列に入り、ロシアは現在のような経済成長が持続する場合、20年内に世界5大経済大国になると展望。

それと共に、西欧の政治・経済発展モデルに従うより、中国やロシアのモデルに従う国 がより増えるだろうと付け加えた。

NICは、このように2025年の世界は「多極(multipolar)体制」になると仮定し、中国、インド 、ロシアだけでなく、インドネシア、トルコ、イランなどのイスラム国家が国際社会での役割を増大していくと展望した。

また、報告書は2025年には、全世界が化石エネルギーからクリン・エネルギーへの転換 期に入るとし、問題はこのような転換がいつなされるのか、しかも急にあるいはゆっくりとなされるのかどうか不明だと指摘。

インドの人口は2025年頃に中国を追い越し、韓国と北朝鮮が2025年頃に統一され、外交的努力の結果、あるいは統一韓国に対する国際社会の承認と協力を引き出そうとする方便として、韓半島の非核化を実現するだろう。

日本については、「引き続き中の上に位置し、経済力では米国・中国・インドに次ぐ4位になる」「中国の成長が進めば日本は経済的恩恵のために接近し、中国の経済が鈍化すれば、東南アジアの諸国と組み影響力増大を目指す」「米国が安全保障面で対日関与を弱めれば、日本は中国に接近する。米中が連携を深めれば日本は追随する」
(以上、米紙ワシントンタイムズより)

さて皆様この報告書をどう思われるか、納得するか、反発するか、頑張るか、おとなしく見守るか、これからの世界変貌の中、日本がどこまでいけるか皆様次第です。


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